第二話 大罪
「ところで…」
「なんです?」
「なまえ…」
「あぁ、僕はダイノウって言います。良い名前でしょ?」
ジャリは少し困った様子で黙り込んだ。
なんだよ!あっちから聞いてきたのに。
気まずい。
はぁ、居心地わるいなぁ…。
「ジャ、ジャリさん!ところでどこに住んでたんですか?」
「ばい、たん。」
「梅丹?すみません。分からないです。」
「ばいたん、ばいたん、ばいたん。」
ジャリはまるで壊れた人形のようにその
梅丹という街の名前を発しつづけた。
「じゃあ、その、どうしてジャリさんは
捕まったんです?」
「……」
しまった、地雷を踏んだか?
フーフーと隙間風が吹いて僕は体を震わせた。
「ジャリと名乗ったが、」
「ジャリさん?」
「偽名があるんだ。」
「え?」
ジャリは人が変わったかのように流暢に喋りだした。
その声は絶対に何処かで聞いたことがある。
そうだおもいだしたぞ、ラジオで聞いた!
ただどうしてジャリの声がラジオで…。
犯罪者だからという理由で納得できるものでもない。
「本名はジャリだが、こっちのほうが名が通ってる「はぁ…」
「火の悪魔」
「…!?」
僕の冷や汗が地面にしたたり落ちる。
僕は目の前にあった新聞紙を手に取り開いた。
「ジャリさん…あなたってもしかして…」
「そのまさかだ。」
「は?」
「俺がクーデターを起こした張本人だ。」
淡々とジャリは俺に告げた。
新聞紙にはこう書いてあった。
国際ホテル占拠事件。
歴史上、これほど大きく悲惨な事件はないだろうと。
「なんでこんなことしたんだ!」
「ダイノウと言ったか、まぁ話を聞いてくれ。」
「聞くだと!?何でだ。」
「仲間に…頼まれたからだ。」
少し嬉しそうにジャリは言った。
だが僕にはその意図がさっぱり分からなかった。
僕には関係のない事件だ。
だが、あの事件で俺の古い友人の一人は死んだ。
こんな奴に殺された!
仲間…か。
どうせろくな奴ではないのだろう。
コイツと同じように。
だが、以外にも僕に残っていた感情は、
好奇心だった。
何故僕の友人は死ななきゃならなかったのか。
何故彼は事件を起こしたのか、
納得してみたくなった。
「分かった、話を続けろ。」
「すべての始まりは、十四年前だ。」
「…。」
「すべては俺があの街、梅丹に転校した時始まった」
ジャリの重い声が独房に響き渡った。
ジャリのその話を最後まで聞いて、
僕は何を思うのだろう。
後悔するかもしれない、
何にせよ、
途轍もない話が始まることを、
僕は悟った。
第二話大罪 終




