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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第76話 弟との交流

アルベルトが城を不在にしている間、自ずと屋敷に残されているノアと一緒に過ごす時間が増えた。


その日は、2人で湖の方まで足を延ばし、湖畔に立つ大木の下に座り湖を眺めていた。

2人で静かに穏やかな湖面を見つめていたが、やがてノアがポツリと呟いた。


「父上から姉さまの話を初めて聞いた時、2人でこんな穏やかな時間を過ごすことになるとは思ってもみませんでした。」

レイアはノアの顔を見た。

彼は穏やかな表情で、少し微笑んでいるようだった。

「私があなたの存在を初めて知ったのは、トーマスがレーゲンスブルクに来た日だったわ。その時は、初めて会う妹や弟と仲良く出来たらいいなと思ったわ。」


「レーゲンスブルクは平和でいい所のようですね。あなたの話を聞いていると僕もそちらで暮らせれば良かったのにと思いました。」

「王都での暮らしは幸せではなかったの?」

レイアは意外に思い尋ねた。


ノアは実の両親と暮らし、しかも跡継ぎとして大切にされていたはずだ。

それに王都では色々な物が容易く手に入るだろうし、娯楽も豊富にある。


「父上の一番は母上でしたし、母上にそっくりな姉上でしたからね。姉上はもともとの気質もあるのでしょうが、あんな感じでしたから一緒に暮らすと大変でしたよ。僕は跡継ぎとして義務や責務だけ押し付けられ放置されていました。姉上が嫁ぐ日を僕も指折り数えてましたよ。」

ノアが可笑しそうに笑った。


レイアはレーゲンスブルクに追いやられた状況こそ悲惨だったかもしれないが、クララやエルやヨハンに囲まれ、ずっと幸せだった。

「そうなの・・・。私はレーゲンスブルクでは幸せだと思って暮らしてたわ。人生って難しいわね。」


実の父母に捨てられたが代わりに乳母の愛情をたっぷり受けて育ったレイアと冷淡な実の両親の元で育ったノア。

どちらが幸福な人生だったのか。


ソフィアにしても、悪魔に連れ去られるまでは幸せで完璧な人生だったはずだ。

人生の99・9%は幸せだったが、あのような最期を迎えた。

果たしてソフィアは幸福な人生を送ったといえるのだろうか?


「そうですね・・・。」


その後、2人は何も言わずに静かに湖畔を見つめていた。


ノアの姿を見るとどうしてもクルム侯爵を思い出し微妙な感情が生まれることは否めないが、中は13歳の少年だ。


レイアは心の中で思った。


一緒に育っていたら、もしかしたらこの弟とは仲良く出来ていたかもしれないと。


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