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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第74話 誓いの祝杯

案内された場所は聖堂のような造りをしたホールだった。


祭壇のようなものが奥の方にあり、そこに伸びる中央の床には赤いビロードがはられていた。

通路の両脇に一定間隔に建つ太い柱には細やかな装飾が施され、窓にはカラフルなステンドグラスがはめ込まれていた。

そこはまるでベルナーの大聖堂のようだった。


魔界に聖堂?


驚くレイアに、祭壇前に立っていたアルベルトが笑顔を向けてきた。

「ああ、やはりお前にはその衣装が似合うな。我が花嫁よ。」


わがはなよめ・・・?


レイアはギョっとした。

クリスティーナに似ているレイアをコレクションのように手元に置いておきたいのだろう、くらいに考えていたのだ。


「冗談はよして。」


悪魔の寿命がどれくらいなのかは知らないが、人間とは流れる時間が違うはずだ。

実際、この悪魔は少なくとも300年前から生きている。

異なる次元を生きる者同士、添い遂げられるはずがない。


「冗談なものか。さあ、こちらへ。」

アルベルトは真面目な顔でそう言うと、右手をレイアに差し出した。


自分の意思とは関係なく足が前に動き、レイアはアルベルトの前に立たされた。

抗おうかと思ったが、今ここで彼と戦って勝てる気がせず諦めた。


黒い影の女性が、銀のトレイに乗せた赤ワインを2つ運んできた。

「レイア、誓いの祝杯だ。」

アルベルトはワインを一つ取り、残った方をレイアに取るよう促した。


血の様に赤い、その不気味な飲み物に手を付ける気にならない。

動かないレイアを見て、アルベルトはため息をついた。


そして、一度手にしていたワインをトレイに戻し自分の背後に控えていたノアに近づいた。

ノアを背後から抱えると、右手の人差し指を彼の首に当てた。

人差し指の爪がみるみるとがり始めナイフの様になった。


「さあ、ワインを取れ。どちらでもいい。」

レイアは眉をひそめ2人を見た。


ノアは目をつむり、諦めたような表情で顔を少し上に向けていた。


レイアがワインを飲まなければ、ノアの首を引き裂くという脅しか。

いや、ただの脅しではなくアルベルトなら本当にやるだろう。


レイアは唇を噛みしめ、先ほどアルベルトがトレイに戻した方のワイングラスを取った。

それを見てアルベルトはノアから手を放し、残った方のワインを手に取った。

そして嫣然とした笑みを浮かべながら、そのグラスをレイアの持つグラスへと近づけた。

グラス同士が軽く触れあい、チリンという高い音がホール中に響いた。



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