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第18話 カツドンと平和

次の日、俺達は冒険者ギルドに向かうことに。


「リョウにーさま!今日はわたしもまちについてく!」


玄関でエミリアちゃんが待ち受けていた。


「エミリア、良ちゃん達はお仕事で行くんだからわがまま言わないの!」

「や!!!」


「俺は問題ないけど、多分退屈させちゃうかもしれないよ?それでもいいなら」


「うん!にーさまたちといっしょならヘーキだもん!」


「よーし!一緒に来るのだエミリア!」


「すまないね二人共、エミリアの子守させてるみたいで」


「気にしないでくれ親父殿、エミリアちゃんはしっかり守るから」


「にーさま!はやくいこっ!!」


「良平様」ズイっ


「うぉぉ…り、リサコさん?」(ち、近い…!)


「わたくしもお供させて頂きます。お嬢様が心配ですので護衛致します」


「そ、そうですか…では一緒に」


「リサコも付いていくなら安心ね。良ちゃん、リサコはこう見えて

とっても強いのよ?おなかとかもバキバキで…」

「奥様」じろ…

「う…じ、じゃあいってらっしゃいね~」


(リサコさんメイド服で分かりづらいけど結構筋肉質なのか…)


ウィンチェスター家のメイドの一人リサコさんだ。

普段物静かで落ち着いて見える女性だが

俺の風呂を覗いてきたりベットに忍び込もうとしたりと

平和なウィンチェスター家で俺の心が休まらない一因の人だ。


(綺麗な人なんだけど苦手な所あんだよなぁ…)


「…それでは行ってきます」

こうして俺達は街へ転移することになった。


~~~~~~~~

魔王領オーワリ街前


「わぁ!リョウにーさますごーい!まちまでいっしゅんだった!」

「これが例の転移魔法なのですね正直驚きました。」

「ふふん、リョーヘーはすごいのだ!」ドヤ


「先にギルドの用事済ませてしまおう。その後は色々周ろうか」

「うん!」


~~~~~~~~

冒険者ギルド


子連れでギルドに入るわけにもいかないと思ったが

エミリアちゃんは俺の手を放そうとしないので仕方なく一緒に入る事になった。


「コルトさんこんにちわ」

「あっ♡…良平さん!こんにちーーーー…」ガクゥ


子供と仲良く手を繋いでいる良平を見たコルトさんは卒倒しそうになった。


(そそそそんな…良平さんに子供が…結婚していたなんて…

そうよね…けどまだ…)


コルトさんの様子を見て察したリサコさんはコルトさんに耳打ちをした。

「私達の子です」ぼそり

「違いますよ」(半ギレ)

俺はすかさずフォローに回る。


「な、なるほど義理の妹さんとそのメイドさん…」ホッ…


「そういうわけです。ところで前回預けていたホーンドベアーの事で伺ったんですが」


「あ、はいっ報酬ですね!ホーンドベアーの状態が良く、魔石も傷が無かったので

かなりの金額になりましたよ!」


(よし!魔石があった!)


「その魔石の事で相談があるんですが、ギルマスは今ここに?」


「はい、今応接室でザックさんをお説教中です…」


「おぉ、ザックも居るのか都合がいい。ちょっと案内してもらえますか?」


「は、はい…?」


~~~~~~~~

冒険者ギルド応接室


「っったくいい加減新人冒険者にケンカ吹っ掛ける癖をだね」


ドアの向こうでギルドマスターのブリスカヴィカさんの怒鳴る声が聞こえる。


コンコン

「失礼します…良平さん達がお見えになってギルマスにお話しがあるみたいです…」


「おー!良平にニキ!…ん?子供とメイド…?」


「お、良平じゃねーか!丁度いい助けてくれ!」


「二人共こんにちは。ちょっと前回の報酬の事で相談に…」


「ホーンドベアーの事かい?コルト、お嬢ちゃんにお茶とお菓子用意してきな」


俺は店の経緯、それによって必要になった魔石の事を相談した。



「なるほどそんな事になってたとはねぇ。

まぁあの魔石ならポータルを作るのに十分の魔力があるわな」


「それでザック、ニキちゃん、魔石なんだが…俺に譲ってもらう事は出来ないだろうか?

もちろん魔石以外の報酬は二人で分けて貰って構わない。

魔石の分結果的に俺の取り分が増える形になってしまうが…」


「あたしはかまわないぞ!」


ザックは顎に手を当て考える。


「あのクラスの魔石なら上等な馬車を買える金になるハズだ…

それをお前が…」


ギロッ

リサコさんがザックを睨みつける。


「うっ…!」

(あ、あの女…とんでもねぇ殺気を向けやがる…

ホーンドベアーの比じゃねえ程の圧だ…)

「ま、まぁおめぇが店を出せるようになるなら協力してやらんでもないがな!

その分タダ飯をご馳走しろよ?」


「もちろんだザックぅ…」

(ガラは悪いけどやっぱりいい奴だなぁ…)


「おぢちゃん、いいひと…?」


「おじちゃんて…」


「待ちな!勝手に話を進めてるけどそもそも素材はギルド預かりだよ!

もちろん魔石もね!!」


「な…!?それじゃぁ…」


「…まぁ魔石をどう使うかはーアタシに決める権限がある…」


「!」


「そこでだ。ポータルの設置場所をギルドの敷地にすれば

余計な手間も金もかからずイケるってわけだわな。…文句無いね?」


「も、もちろんです!」


カヴィさんの思いがけない提案に思わず声が上ずった。


「さすがカヴィ姉なのだ!」


「流石ですっギルマス!」


「タダ飯貰いそこなったが一番まるく収まった感じだな」


「ギルマ…カヴィさんありがとうございます!

そうだ!みんなこれから俺の店に来ませんか?料理をご馳走しますよ!」


カヴィさん達へのせめてものお礼だ。


「えっ!良平さんの料理…ぜひ行きたいですっ!」


「お、丁度腹減ってたんだ!行こうぜ!」


「へぇ、いいじゃあないか?丁度昼休憩の時間だしね…ってまだポータル無いじゃないのさ」


「ふふん!リョーヘーは転移魔法が使えるのだ!お店まで一瞬なのだ!」


「へぇ!只者じゃないと思ってたけどそんな事も出来たとはねえ!

なら早速連れてってもらおうかい!」


「では、皆俺に掴まってて下さいね」

「こうかい?」ぎゅむ

「はいっ♡」ぎゅっ

「…」がっち

「にーさまっ」ぎゅ~

「みんなずるいぞ!」ぎゅうぎゅう

「…俺掴まる所無くね?」


「あの…軽く触れる程度で大丈夫っす…」///


~~~~~~~~

まおう食堂



「いらっしゃいませなのだ!」


「へぇ!これがアンタの店かい!」


「これが良平さんのお店…素敵です!」


「質素な造りですが良い雰囲気ですね」


「すごーい!これがにーさまのおみせ!」


「いい感じじゃねえか。ところでまおうって何だ?」


「魔王様が勝手に付けたんだよ。

まだメニューが無いからこんなの食べたいってのがあったら言って下さいね。」


「うーん悩みますっ!」

「一人一人違うのだったら手間だろうねぇ?

…よし!アタシが決めてやるよ!

まずは肉!卵もあるといいねぇ!そして米!こんな所で頼むよ!皆もそれでいいね?」


「俺は美味ければ何でも構わねぇぜ?」


「はいっ大丈夫です!」


「良平様の料理は期待しててよろしいですよ」


「うん!」


「てんちょー!オーダーなのだ!」


「よしきた」


(肉に卵に米か…ならあれしかないだろうな)


生成開始…!

先に新鮮なラードを生成してお湯で加熱。時流加速魔法で水分を飛ばす。

同じく米を炊いてこれも加速魔法で早める。

上質な豚ロース肉…筋切り、叩いた状態で生成。薄力粉をまぶす

溶いた卵に肉を漬け、パン粉で覆う。

中温の油の中に肉を投入。


パチパチ…

じゅわぁぁぁ…

「お?いい香りじゃあないか…」


薄くカットした玉ねぎ、適量の水、料理酒、みりん、醤油、砂糖、ダシを

専用鍋に投入して熱す。


(よし、そろそろ肉も頃合いだな)


脂から肉を取り出し油切り、食べやすくカットする。


ザクッ!ザクッ!

(このまま食べたいが我慢だ)


鍋に肉を入れて溶き卵を回しかける。

ほんのり卵が固まってきたら更に卵を回しかける。

これをどんぶりによそった米に乗せ、仕上げに三つ葉、蓋をする。

記憶したこの工程で人数分生成、みそ汁とおしんこも用意して…


完成!カツ丼定食だ!


「みんなお待たせ!ニキちゃん、運ぶの手伝ってくれる?」

「わかったのだ!」


「お!来た来た!さて、良平の料理を楽しもうかい!」ぱかっ


蓋を開けると香ばしい香り。

茶色い衣肉を囲う鮮やかな黄色、アクセントの三つ葉の緑が映える

不思議な料理が現れた。


「ふわぁ…いい香り…」ごくり

「おお!こいつは」じゅる

「ごく…」

「おいしそー!」

「ごくっ…良平、これはなんていう料理なんだい?」

「カツ丼です。俺の世か…国で親しまれてる料理です。あ、下の米と一緒に食べて下さいね」


「カツドン…いい響きだねぇ!それじゃあ頂くとしますか!」


「「「「「「いただきます」」」」」」


パクっ


「っ~~~~~!」

(なんだいこれ!このジューシーな肉!血なまぐさくない!

まるで肉自体に良い香りが付いてるかのような風味の肉!

このしっとりした衣についた汁の味付けと卵!

程よい塩味が米と合わさって噛む度胃袋にぶち込みたくなるような味だ!!

とにかく腹に…この味で腹を満たしたい!!)ガツガツ!!


ぽろぽろ

「これが…これが良平さんの料理…

誇張抜きで今まで食べてきた料理の中で一番おいしい…

ダイエット中だけど全く気にならない…感動的な美味しさですぅ」ぱくぱく


(流石は良平様…毎度食べる度に胃袋を突き抜けて

子宮にキてます…早く篭絡せねば…)もしゃ…もしゃ…


「やっぱりにーさまのおりょうり

せかいいちおいしい~~~!」ぱくぱく


「はむっ!ハフっハフッ!!ずず~~っ!!か~~~うめえ!!

この前のもうまかったが飯をかっ込む

この感覚は最高だぜ!」


「もうなくなってしまったのだ…リョーヘー…おかわりなのだ…」

「!?良平っ!アタシのも頼むよ!!」

「俺もだ!」

「…」すっ…(手を挙げる)

「うぅ…ごはん少な目でお願いしますぅ…」


「気に入って貰えて俺も嬉しいよ」

(トロ、店の裏口にお前の分も用意しとくから後で食べに来なよ)

((ウム!楽しみにしておく!))


~~~~~~~~

「いや~~食ったくった!!

良平の料理がここまで美味いとはね!

全く、アンタみたいな旦那が欲しくなるわな!!」バシバシ


「はは…どうも…そういえばお昼休憩は大丈夫です?

そろそろギルドに戻りますか?」


「あっ!そうですよギルマス!もう休憩時間過ぎちゃってます!!」


「えー?アタシは暫くここで休みたいんだけどねぇ

しょうがない良平、ギルドまで頼むよ」


~~~~~~~~

冒険者ギルドに戻り、先の報酬を受け取った俺達はカヴィさん達と別れた。


「さて、用事も済ませたけど…」

「ZZZ…」


おんぶ中の俺の背中でエミリアちゃんが寝ている。


「エミリアおなかいっぱいで眠くなっちゃったのだ。一度お屋敷に戻る?」


「いえ、お嬢様が起きたら残念がるかと思いますので

少し落ち着ける場所…そうですね、神殿前の公園へ向かいましょうか」


「神殿…」

(俺のせいで礼拝室の女神像が変わってしまったようなものだから

出来れば行きたくないな…シスターさんに見つかったら絶対詰められそうだ…)


「良平様?何か不都合でも?」

「い、いや何でもないです。向かいましょうか」


~~~~~~~~

公園


俺達はベンチに腰掛け脚を枕にエミリアちゃんを寝かせた。


「良平様、ニキ様、何か飲み物を買ってまいりますが何か希望はありますか?」


「ありがと!あたし甘いのがいい!」

「ありがとうございます。この街の飲み物には詳しくないのでお任せします」


「お任せ?…かしこまりました。少々お待ちを」シュバッ


リサコさんは一瞬で視界から消えてしまった。マジで何者なの。


「ね、リョーヘー、思い出したんだけど

あたしと出会った時に倒したポイズンサーペントってまだ残ってるの?」


「ん?まだアイテムボックスにあるはず…あっ」

「うん。もしかしたら魔石が残ってるかも…ふわぁ…(あくび)」

「すっかり忘れてたよ…後でギルドに持っていってみよう」

(なぁ、ポイズンサーペントの魔石ってポータルの発動に使えたりしないかな?)


((そういえばそんなのも狩っておったな。我にとっては

雑魚モンスターだったから存在を忘れておったわ。

多分問題ないハズだぞ?))


(それを聞いて安心したよ。ところで今トロは何をやってるんだ?)


((ウム、店周辺の敵性生物を狩ってるところだ。

かなり減らせたが、久々の戦闘で加減して倒すのに苦労しておるから

無傷の魔石はあまり期待しないでてくれ))


(いや、それでも助かるよ。安全に暮らせるに越したことはないからさ)


ぴと…

肩にニキちゃんの頭が寄りかかった。

「すーすー…」


「ニキちゃんも眠くなったかぁ」


リサコさんを待つ間、公園で遊ぶ子供や家族達を眺める。


「平和だなぁ…」


この街の平和をよそに

またしても良平にトラブルが訪れるとはこの時、思ってもみなかった。













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