第3話 三代目と秘書
翌日、大雄さんは原田に短刀を渡してこう言った。
「全部承知で言う。その命でこれまでの罪を償え!」
「何の事です?私はこれまでもこれからも組に忠誠を誓っています」
「初代を庇ってお前の親父さんは亡くなったんだな。それからおふくろさんは廃人のようになってしまったようで……」
「本当に全部知ってるんですね。これから貴方が私に殺されることはご存じですか?丁度手元にも刃物がありますし」
原田の口角が上がっている。
そうだろうと思って、原田にはおもちゃの短刀を渡してある。見かけは本物のようだが、刺さらないし、切れない。
「なんですか?この短刀は!切れもしない、刺せもしない……」
「お前がそう出ると思って予め渡しておいたんだよ。ユキのアイディアだ。最高の姐だろ?」
「原田さん……理想の最高の上司だと思ってたのに、最低じゃないですか」
「三代目を殺そうとするなんて!」
「二代目の暗殺だって主犯のようだし」
「この組にちっとも忠誠誓ってないじゃないですか!」
若い衆は原田に理想の上司像を見ていたようでショックが大きいみたい。
「どうする?昔の映画みたいに毒を飲むか?富士の樹海に亡骸は捨てて来てやるよ。どうする?」
「クッ」
私は原田に捕まってしまった。
「この女がどうなってもいいのかよ?まだまだ若いし、イイ体してるよなぁ」
さすがにこんなオッサンに好きにされるような私ではない。
この数年、ボケーっと生活をしてきたわけではない。当然護身術も学んできているわけで…。
全力で原田の鳩尾に肘鉄を食らわせ、着物の懐に忍ばせていた鉄扇で顔を打った。
「あたしに触れようなんて10才は若返んな!」
大雄さんは愉快そうに笑っている。
「それで?どうするんだ?原田」
鼻血を隠すこともできない原田に大雄さんが問う。
結局原田は毒を呷って自死した。約束通り亡骸は富士の樹海に捨てた。
毒を呷ってって苦しいだろうけど、刃物で痛いのは嫌なんだろう。自分が殺した連中は痛かったり苦しかったりしただろうに。
「あーあ、今後は白虎商事の秘書誰がやってくれるかなぁ?」
「あたしじゃ不満?」
「不満どころかCEOの部屋がラブホに早変わりだな」
業務になんないから却下案件ですね。
「組員の中でこいつは!ってのいるか?」
「うーん、最近頭角を現しているのは、新橋かね?他の組員の信頼もあるし」
「新橋」
「はい!」
「やってくれるか?」
「御心のままに!」
「なんだかムズ痒い言葉だなぁ。チュウニか?」
「違いますよぉ、言ってみたかっただけです!出勤は何時ですか?」
「朝、8時半にここを出て、9時から業務開始だ。秘書の詳しいことは向こうに秘書長もいるから、まぁ教えてもらって使えるようになってくれ!」
「承知しました!」




