第105話 外伝㉑ ユキの姐としての功績
それはユキが組に来て、ちょっと経ったくらいの事。
カタギの皆さんは白虎組ってだけで怖がったりしちゃってるけど、いい人たちなのよね。私はそれをカタギの皆さんにもわかってほしいわ。
白虎組は絶対にクスリに手を出したりしないし、カタギの皆さんに迷惑になるようなことはしないもの!
そういうことでユキは考えた。
「皆さん!これから地域の人に私たちの事を理解してもらえるように、まずは地域のゴミ拾いをしましょう!それと、困ってる人がいたら助けましょう。金銭的じゃなくて、困ってるお年寄りとか、荷物が重そうな方とか」
「姐さんはそう言うけどよぉ。地域の人は俺たちの事を受け入れてくれるだろうか?」
「何事も少しずつですよ!頑張りましょう!」
そう言って、ユキと組員たちは地域のポイ捨てゴミ拾いを始めた。
「まぁ、ゴミがゴミ拾いをしているわぁ」
やっぱりそういう風に言ってくるオバサンっているのよね。
「このババァ!」
「ダメよ!暴力は。言わせておきなさい。ゴミを出しているのは私たちじゃないわ。地域の方だもの」
反対に私たちの事をすごく有難く思ってくれたりする人もいる。
「全く最近の若いもんてのはさぁ、その辺にポイポイゴミを捨てるんだよなぁ。ゴミ箱に捨てろって言うのに。あんたたちみたいのがいてくれて助かるよ。少しでもキレイな地域の方がいいもんな」
そういう話を聞くと、組員たちの表情も柔らかくなる。
更には年配の方には拝まれたりもする。
「俺みたいに親にも捨てられて、親族にも盥回しになるような人間でも必要とされてるんだなぁって感じがしてこれ、いいですね」
「俺も」「俺も」
皆に喜んでもらえて嬉しい。
最近では「おう、白虎の兄ちゃん。これが売れ残っちまってよぉ。食いきれないから、持っててくれよ」と八百屋さんから野菜を頂いたりもする。正直有難い。
「いやぁ、野菜って重いんだけど、傷をつけたら痛んじまうから、兄ちゃんみたいな力持ちに手伝ってもらって助かってるんだよ」
照れてたけど、嬉しそう。
「でも、ヤクザでしょう?」
なんて声が聞こえたりもするけど、八百屋のオジサンが逆に「だからどうしたんだ?こんなに親切な青年そこらにいるのか?いるのは地域にゴミを捨てるような青年だろ?しかもひょろい。とてもじゃないけど、そんなやつよりこっちの兄ちゃんの方が信用できるね」
と言い切ってくれた。
若い衆の自信になるし、そんな言葉がありがたい。
ゴミ拾いの途中で、なんだかギックリ腰になっちゃった方を見つけたので、その方を希望する場所まで送って差し上げた。病院だけど。
「すみません。職業柄これ以上は付き添う事が出来ないので、ここまでとなってしまうのですが…」
と、病院の入口で別れた。
どうやら、病院の関係者だったらしく、その病院は組の人でも診察をしてくれるようになった。
今でも地域のゴミ拾い活動は続いていて、地域の方の信頼度も上がっている(と思う)。




