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聖女ちゃんは免れたい!〜力の為のR18展開なんて断固拒否します〜  作者: そらいろさとり


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66.聖女ちゃん着飾る



「プルプルのピンクレッド色の唇。そしてナタリーさんの元々クリクリとした瞳は、アイラインをひいて少し大人っぽく。頬紅を薄らと入れることで血色を整わせて、化粧をしていてもその愛らしさは損なわせず、ドレスはナタリーさんの可愛らしさを引き立たせる為に愛らしい薄ピンク色を選び、誰よりも目いっぱい輝かせましたわ!」



 ドヤァァァァァとばかりのシャルティエ様の説明を聞いて拍手を送るのは、笑顔のクレープと笑顔の中に不満を滲ませたダリアン。



「ただ……朝早くから磨きに磨いたのでお疲れみたいで、顔がブサ……………芳しい顔をなさらないのですの」



 シャルティエそれ言っちゃってるからね、とか言う気も起きない、卒業式当日の夕方。それはつまり、これから卒業パーティーが開催されるという時間。


 しかし私をお疲れだと言う卒業生のシャルティエ様は、私より早起きして、私がシャルティエ様の専属メイドさん達に磨きに磨かれてる間に卒業式を終え、挨拶やら何やらをされてきて、大忙しなはずなのに今は既にお着替えになり、お疲れなど見えないほど眩しい輝きと美しさを兼ね備えていらっしゃる。

 そんなシャルティエ様が、出来上がったわたしを一旦寮まで送り届けて下さってる事は感謝するべきだとわかっているのだが、いかんせんわたしが必要以上に可愛く仕上げられている。


「……ありがとうございました。シャルティエ様」

「あら喋ったわ。ふふふ、いいのよわたくしがして差し上げたかっただけですもの」


 美しく微笑むシャルティエ様に、「……アタシもしてあげたかったんだけど!!」そんなダリアンの小さな声はクレープによって塞がれた。


「ではお友達へのお披露目も終わったし、ナタリーさんはわたくしと共に馬車でパーティー会場まで向かいましょうか?」

「え……えっとぉ〜〜」


 ニッコリと笑うシャルティエ様に、自分で歩いていってどっかで転んで骨でも砕いたら行かなくてすみますか?とか聞きたいけど、心でも読んでるのかクレープが小さく首を振る。


 たしかにイーサック先輩に聖女である弱みを握られてる今、行かないという選択肢は無いのだと心で涙し拳を握る。



「行きます。わたし、このまま皆さまに元気で卒業してもらうため、なんとか最後まで踏ん張ります!!!」

「ふんば……? コホン、頑張りましょうねナタリーさん。コルセット苦しいかもしれないけど、終わるまでですわよ」


 そう言って優しくわたしの腰とお腹を撫でるシャルティエ様に首を振ると不思議そうな顔を返される。



「あ、してないです。コルセット」

「え!?じゃぁこの硬いのは?」

「……う〜ん、強いて言うなら腹筋?」

「 ふ っ き ん 」



 メイドさんがコルセットで締めようと頑張ってくれたが、元々締まった腹筋をこれ以上細くは出来なかったらしく、「な……ナタリー様は元々細くていらっしゃいますから、このままで大丈夫そうですね」とか褒められた。わたしの一番の自慢のウエストです。


「ふっきん……」



 何故か繰り返したシャルティエ様に笑顔で頷けば、不思議にも更に引き攣った笑みを浮かべて御自分のウエストを触ると、クレープが「シャルティエ様、全女子がナタリーと比べてはいけないと思いますわ」そう微笑み告げれば、「そ、そうよね?」と口元を隠しながらホホホと笑っていらっしゃる。



「まぁ……ナタリーさんが苦しくないならよろしいですわ。だからって食べ過ぎない……ようにね?」

「パーティーなのに!!?」

「………」


 驚きの発言に思わず言葉を返すと、シャルティエ様は何も言わずにクレープを見る。するとクレープは「沢山食べても細いところがナタリーの良いところです」と、褒めてるのかよくわからないけど褒められてると思って大きく頷く。



「……わかりましたわ。ちょっとわたくしの価値観とナタリーさんは違うところ、とても魅力だと思いますし、ドレスの紐が切れない程度になさってね」

「大丈夫です緩める方法も聞いてきました!!!」


 いつでも制服に着替えられる様にとメイドさんに聞いてきたことも告げれば、シャルティエ様はまたクレープを見てから、なんかアイコンタクトして遠い目をしてから切り替えたように笑顔でこちらを見ると、


「じゃ・行きましょうか。……あら?ナタリーさんその荷物は?」

「あっ、ちょっと私物を……」



 制服を小さく折り畳みしまったバッグは、やはりそれでもやはりドレスには合わないと注意をされてしまったが、無いと困ると胸に抱きしめ首を振ればシャルティエ様の眉尻を下げて困らせてしまった。



「やはりその大きなカバンではパーティー会場では浮いてしまうわ。それはどうしても?……それならば持って行きたいなら、馬車にでも置いて置くか……会場に着いたら誰かに頼むとでもいいわ。一年生ですもの。裏方に知り合いは?」

「居ます」


 アルフが居ると目を輝かせれば、シャルティエ様もホッとした様に頷いてくれた。


「それなら安心ね。では行きましょうか。ごきげんよう、クレープさん、ダリアンさん」

「いってくるね!」



 アルフが居ると思い出せばウキウキしてこの可愛い格好も苦ではないと廊下に出ると、部屋の中ではシャルティエ様がコッソリと、



「あの可愛いナタリーが今晩帰って来なかったら、寮長には上手く言ってあげて頂戴ね」



 そんな風にイタズラっぽくシャルティエ様が告げていったというのは、クレープたちから後から聞いた話だった。








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― 新着の感想 ―
[一言] アスリート体型であって色々貧弱貧弱〜ではない?
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