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骸鬼王と、幸福の花嫁たち【第13部更新中!】  作者: 雨宮ソウスケ
第13部

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第七章 魔は潜む②

 室内に入った寧子は正座をした。

 彼女の前には、同じように真刃が座っている。

 その隣には宙に浮く猿忌の姿もあった。

 緊張する寧子の様子を見やりつつ、


「このような報告が上がっておる」


 真刃はそう切り出した。

 寧子はより緊張して肩を震わせた。

 そうして真刃はエルナたちから伝えられた話を告げた。


「おじいちゃんが……」


 寧子は目を丸くした。

 祖父が無事だったのは嬉しいことだが、まさか自分が攫われたと誤解して、ここの襲撃を計画しているなど思ってもいなかった。

 しかもあの悪名高い《イーターズ》と交渉してまでだ。


「わ、わたしが」


 寧子は真刃の顔を真っ直ぐ見つめた。


「わたしが、おじいちゃんを説得します。わたしが行けば、きっと、おじいちゃんも安心してくれるはずだから」


 そもそも争う必要などない。話し合いをするだけで解決するはずだった。


「うむ。やはりそれが最善だろうな」


 真刃が双眸を細めた。


「お前の無事な姿を見せることが、何よりも説得力がある。さすれば話し合いの場を設けることも出来よう。それに」


 言葉を選ぶように一呼吸入れて、


「これも報告を受けておる。お前の祖父は心臓の病を抱えているそうだな」


「は、はい……」


 寧子は心配そうに眉をひそめた。


「おじいちゃん、心臓、わるいです。お薬がもうないかも……」


「この天雅楼には医師たちもいる」真刃は言う。


「治癒術を会得している引導師もまたいる。症状によっては薬の調合も出来よう。お前の祖父の保護も急いだ方がよいだろうな」


「い、いいの……?」寧子は目を見開いた。


「おじいちゃん、ここを壊そうと思ってるのに」


「元々は迂闊にも(オレ)がお前を連れた姿を見られたのが原因のようだからな。祖父ならば孫娘の身を案ずるのは当然だ」


 そこで少し皮肉気に口角を上げて、あごを擦った。


(オレ)が悪人顔であることにも起因しておるかもな」


「そんなことはないです」


 それには寧子はどもることもなく即答した。


「おにいさんは優しい人です。とてもかっこいい人です」


「……そうか」


 真刃は笑みを見せた。それから寧子を真っ直ぐに見つめて、


「案ずるな。お前を保護するということは、お前に関わる者も救うということだ。お前の祖父も、その仲間たちも見捨てるつもりはない」


「……おにいさん」


 寧子の胸の奥がきゅうっと鳴った。

 胸元を両手で握りしめて、頬を赤らめて視線を逸らす。

 本当に与えられてばかりだった。

 何かお礼をしなければならないと思うのに何も出来ない。


「大丈夫だ。寧子」


 そんな中、真刃は立ち上がると、ポンと彼女の頭に手を乗せた。


「すべて(オレ)に任せておくがよい」


 優しい眼差しでそう告げる。


「……はい」


 寧子はこくんと頷いた。



       ◆



 五分後。

 真刃は猿忌を伴って渡り廊下を一人歩いていた。


『主よ』


 猿忌が問う。


『此度の一件。主自らが動くつもりか?』


「そうだ」真刃は即答する。


「寧子を連れてきたのは(オレ)だからな。(オレ)が祖父の元に送り届けるべきだろう」


『確かにそれは筋だと思うが』


 一拍おいて、猿忌は眉をひそめた。


『獅童や綾香たちからは異論が出るだろうな。最低でも護衛を兼ねた従者は付けられるか。しかし主よ。寧子のためでもあるが、主自らが赴くのは、やはりエルナたちの身を案じてのことではないか?』


「ああ。それがないと言えば嘘になるな」


 真刃は猿忌を見やる。


「《イーターズ》だったか。力量においてエルナたちが遅れを取るとは思えんが、気がかりなのは相手が一般人であることだ。下手な我霊どもよりも、相手が武装しただけの只人であることが迷いとなってエルナたちに隙を生むやもしれん」


 引導師は理の守護者としての誇りを持っている。

 いかに異能を持っていようとも一般人が相手では多少の迷いは生まれるものだ。

 例えば獅童ほどの人生経験を持つ引導師ならば、完全に割り切ることも出来るだろうが、エルナたちは若い。最年長者である蒼火さえまだ二十代だった。


「それに性格もある。エルナもかなたも刀歌も優しき娘だ。武宮も情に厚い。扇は使命と道義を重んじる男だ。引導師としての使命が足枷になるやもしれん」


『……それを言われると、反論はできんな』


 猿忌はかぶりを振った。


『時に英雄もただの民草に背を刺されることもあるからな。ましてや相手は力に溺れている愚者だと聞く。主が最悪の事態を危惧する気持ちも分かるが』


 そこで眉をしかめて主を見やる。


『餓者髑髏はどうするのだ? 彼奴(きゃつ)は間違いなく主の動きを注視しているはずだぞ。だからこそ主はこれまで直接動くことを避けていたのではないか』


「それも含めて、これはよき機会だと思っておる」


 真刃は言う。


「果たして奴は(オレ)の動きに対し、どこまで介入してくるのか。いつ、どう介入してくるのか。奴自身が動くのか、それとも眷属どもか。それを見極めるよき機会だとな」










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