New world
平成から、令和になる中で書きあげました。
平成は戦争のない年号でした。
明治・大正・昭和と戦争がありましたか゜、この年号だけは戦争がありませんでした。
だから、令和でも戦争がないようにしたいです。
その為に、私はこの小説を書き続けます。
それが、私に課せられた命題だと思うからです。
いつも、拙いものを読んでいただいてありがとうこざいます。
しばらく、書き続けます。
結構、重いものですが・・・
Rechardの危惧する通り、朝鮮半島では不穏な空気が漂っていた。
旧仏印においても、旧宗主国のフランスとの戦闘状態に陥り、ベトナム革命派に請われる形で旧日本軍が軍事教練と武器の供与をしていた。
インドネシアにおいても、オランダ軍とインドネシア革命派に自ら参加した旧日本軍もいた。
いずれも、公式には語られない。
あってはならない歴史だからだ。
第二次大戦後に、再び植民地化に動いた諸国は、アジアに置いて強烈な抵抗を受けることになる。
旧日本における統治は、皮肉なことに国という概念を諸国に芽生えさせた。
インドネシアにおいては、3万丁以上の三八式歩兵銃、数百の野砲・トラック、食料、弾薬、軍刀など多くの資材が独立派の手に渡ったといわれている。日本に引き揚げずに独立派に身を投じた元日本兵は数千人に上ったともいわれている。
戦勝国側は、アジアの共産主義化をひどく恐れた。
アメリカを除く、西洋諸国は国土が戦火により荒廃しており、植民地から利潤により復興を画策していたからだ。
唯一、戦火を逃れたアメリカだけが、繁栄を約束されていた。
ただ、アジアというマーケットを失うことをひどく恐れていた。
第二次大戦以前は、旧宗主国で固められたアジアとマーケットの独占が目先にあったアメリカは自国の経済投資をアジアに拡大させるためには、共産主義というものが、障害となっていた。
日本というベース基地を得たアメリカは、どうしてもアジアの共産化を防ぐ必要があった。
そんな、戦いに巻き込まれていく日本があった。
新谷が授業を終えて、学校を出たところで、ジープに乗ったRechardが待っていた。
「Did work end?(仕事は終わったか)」
とRechardに言われて、新谷は手を振った。
「Let's go」
横で静子が笑っていた。
新谷はやれやれといった風で、ジープの後ろに乗った。
ホテルのレストランに着くと、新谷は一人の人物を紹介された。
背広を着ていたので、軍人ではなさそうだった。
「新谷、この人は外務省の書記官だ。今日は新谷に話がある」
書記官と紹介された男は、新谷に握手を求めた。
食事か運ばれてきて、食事をとりながら男は、
「私は、合衆国の外交官で Louis B. Gerstner と言います。Rechardとはハイスクールから友人です。新谷さん、あなたのことは、Rechardからよく聞かされています。優秀なバイロットでいたことも」
親しみを込めて、Louisは話した。
「過去の話です。」
と新谷は苦笑いをした。
和やかに、Rechardとの学生時代の話などをしていた。
食事が終わって、コーヒーが運ばれてくると、唐突にlouisが
「新谷さん、アメリカに留学する気はありませんか」
と言われた。
一瞬 新谷はあっけに取られた。
終戦からまだ、数年しかたたない日本で、いまだに占領国であり主権もない国の人間が留学などありえな
い話だ。
「まだ、この日本には主権もなく、私自身 生活するのがやっとです。留学などとても無理です。」
と新谷は言った。
「いいえ、国費ではなく。財団から援助での留学です。もちろん向こうでの生活の面倒も見ます」
といって、louisは書類を新谷に見せた。
内容は、占領国あての基金で、占領国の優秀な人間を留学させて、その後の復興に役立てようとする狙いがあった。
おそらくは、Rechardが手をまわしたと思った。
「どうして、私なのですか」
と新谷はlouisに聞いた。
「あななら、この国の復興に尽力されると思ったからです。あの戦争を生き抜き、Rechardの命を助けたことで十分な資格があります。この国は復興しなければならない。自分の力で、国際社会に再び参加しなければならない。わたしは、その為には、資金ではなく人材だと考えています。その実践は、あなた達日本人が、アジアに種をまいた。その種はいま確かに実ろうとしている。字を教え知識を教えることで人は考えて行動することになる。私は、人材こそが国の基本であると考えます。」
「新谷、louisは、もと大学の助教授だ。いずれは大学に帰る。日本に来て、この文化にふれてそう思ったらしい。こいつなりの戦争への参加として書記官などしてるが、いずれは、教授になってどでかいことをすると思うぞ」
とRechardはいって、意味深に笑っていた。
ふと、新谷の頭の中に"新谷少尉達が、その後を作るんです。"という、竹部の言葉が響いた。
「新谷さん、私たち日本人は、戦争の悲惨さを知っています。知っているから、平和というものが何なのかも知っていると思います。きっと、新谷さんなら何かを未来に残せると思います。これはあの戦いを生き残ったものの、責務です。」
と静子は、新谷を見つめた。
新谷は、天井を見上げた。
この瞬間のためだけに生かされたのかもしれない。
弾幕の中を飛び、落とされていく機体と曳光弾の光の中を飛びつづけたことの意味はこれだったのかもしれない。
「竹部さん、やっと生きる意味が分かりました。ありがとうこざいます。」
と新谷は、溢れる涙をこらえながら、つぶやいた。




