忘却の雨編 1 偶然
賑やかな街並みを行き交う人々。
露店が並ぶ通りは収穫祭の活気で溢れている。
通りを抜けた広場には立派な噴水があり、皆の憩いの場になっていた。
その広場の片隅にある修道院の門の近くに立つ欅の木、その近くを背の高い金髪タレ目の青年レオと長い赤髪に勝気な目の少女アーシャが歩いている。
「ねぇ、アーシャってば」
呼びかけを無視して不機嫌な顔で足早に歩き続ける。
「なんでそんなに怒ってんの⁈ねぇ」
問いかけに、歩くのをやめて振り向く。
「逆に聞くけど!レオは腹立たないわけ⁈」
「あんなのいつもの事だよ。ちゃんと報酬ももらったし」
「報酬はもらって当然!むしろ足りないぐらいよ!それに、あいつらのあの態度!ありえない!」
怒りが収まらないアーシャは近くにあった欅の木に拳をぶつける。木はドスンッと鈍い音を立てた。
魔法で強化された身体能力のおかげで彼女の拳は傷一つない。
「とにかく、一度宿に戻ろう」
そんなやり取りをしていると木の上からなんらかの気配がして二人は上を見上げた。
見上げるやいなや、一匹の小さな動物が飛び出してアーシャの腰に付けてあった金貨の入った袋を盗んで走り出した。
「何だったの⁈今の…」
「あいつ、なんか咥えてない?」
「…嘘でしょ⁈」
金貨の袋が無くなっている事に気づいて慌てて走り出すアーシャ、レオも後を追う。
どれぐらい走っただろうか、景色は街中を抜けてすっかり森の中だ。木々が生い茂り、わずかな木漏れ日がふんわりと視界を照らしている。
目の前を走る動物は緑色のふわふわの毛並みで尻尾が二又に分かれた猫の様な見た目をしている。
全く疲れた様子を見せない標的に痺れを切らしたアーシャが魔装具を使って攻撃する。
圧縮された鋭い空気がカマイタチのように襲いかかる。
ヒョイヒョイと身軽に攻撃をかわしながら逃げていた猫のような動物は何かに気づくと一目散に薮の中に走り出す。
ガサガサガサッ
その先には、フードを被った人物が立っていた。
「ベル、そんなに慌ててどうした?」
どうやら逃げていた動物はベルと呼ばれていて、フードを被った人物と親しいようだ。
「それは?」
腕にしがみ付いているベルが咥えている金貨の袋を手に取る。
「下賤の輩が俺様の欅に無礼を働いたんじゃ!その輩から盗んで来てやった」
なにやら得意気なベル。
それを見てフードを被った人物はため息をついた。
そこに、息を切らしたアーシャとレオが駆け寄る。
「はぁ、やっと 追いついたわ 」
「もう無理 俺これ以上走れないよ」
街中から、かなりの距離を走って来たので二人とも疲れ切った様子でベル達を見ている。
「その子、貴方の使い魔か何か?私達、金貨を盗まれて困ってるんだけど」
アーシャの言葉を聞いてベルの毛が逆立つ。
「ぐるるるぅっ やはり無礼な奴じゃ!ノルンである俺様に使い魔だとっ!」
「おいっ」
首根っこを掴んで持ち上げると、プイッと横向いてむくれるベルを諌めるフードを被った人物。
ノルンという言葉を聞いたアーシャが怪訝な顔して尋ねる。
「今、ノルンって言った?」
「聞かなかった事にしてくれるか?」
そう言うと、持っていた金貨の袋をアーシャに握らせる。
フードを目深まで被っているので、顔は見えないが声からしてレオと同年代の男性だろう。背はレオより少し低い。
アーシャは、目の前の人物について考えを巡らせながら金貨の袋を腰に付けてあるポーチにしまい込む。
「返してくれてありがとう…」
「俺らの事は見なかった事にしてくれ」
そう言ってその場から離れようとする男の腕を掴んで制止するアーシャ。
「待って!」
「ねぇっ、アーシャ」
何か気になるのか辺りを見回しながらレオが声を上げる。
「この辺って確かダンジョンあったよね…俺ら宿にも戻らずに来たから魔力も回復してないし、魔物に出くわしたらまずいよ」
すると、森の中に獣の遠吠えが聞こえ始める。
「気付いとらんかったのか?とっくに囲まれておるわ」
ベルの声を聞いて慌てて周りを見回すアーシャ。茂みの中に鋭く光る無数の瞳と唸り声がだんだんと近づいて来る。
「まずいわね」
ちらっとフードの男に目をやる。
「貴方、加護は何?」
「…雷だ」
静かに答える。
「「雷…」」
声を合わせてあからさまに落胆しているレオとアーシャ。
「レイン、こやつらは放っておけ、それより」
何か言いかけたベルを遮るようにアーシャが男の腕を引っ張って走り出す。
「付いて来てっ」
「まっ、待ってよ、アーシャ」
走り出した三人の後をシャドーウルフが追いかけて来る。
黙ったまま、アーシャに従わなければならない状況に不満たっぷりな顔でくっ付いて来るベル。
森を抜ける辺りまで走って来ると、シャドーウルフは森の中へ引き返して行った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、もう…絶対…走れない」
その場にへたり込んでしまったレオをみてベルが呟く。
「驚く程 軟弱じゃな」
アーシャは少し汗ばんだ顔を片手で拭いながら男に目をやる。
「私は魔力で身体能力を強化しているから、この程度の距離ならそこまで疲労は溜まらないけど、レオは何の強化もしていないし魔装具も使ってないからこうなって当然よ」
「貴方、どうしてそんなに平然としてるの?」
十分に明るい陽の光の下でもフードの中はよく見えない。
ローブで覆われていて体格もはっきりとは分からないが、そこまで鍛え抜かれている感じもない。
「ねぇ、顔を見せてくれない?」
「やめときなよアーシャ、隠してるって事は見られたくないんだよきっと、それより早く宿に帰ろうよ」
そう言うとレオはズボンに付いた砂を払い街の方へと歩き出した。
アーシャはじっと男を見つめていたが、諦めてレオの後に続こうと振り返る。
「…なぁ、あんたらに付いていけば宿を使えるか?」
突然の発言に驚いて、二人が同時に振り返る。
「待たんかっレイン!俺様の用件がまだ済んでおらんじゃろ⁈」
肩にしがみ付いているベルが必死に訴える。
「…けどベル、当てが無さ過ぎて時間を無駄にしてるだろ、とりあえず情報集めてからでも遅くないし…いい加減 野宿は疲れた」
そして、フードを外し名乗る男。
「俺はレイン、でこいつはベル」
レインの顔を見た瞬間、アーシャの体が強張った。
その異変に気付いてレオが駆け寄る。大抵の事には動じず溌剌としている彼女にしては珍しい反応だった。
アーシャの視線の先に目をやるとその理由が分かって安堵する。
「君、もしかしてドラゴニスタの人?」
そう尋ねるレオの目には、レインの特徴的な瞳が映っていた。ドラゴニスタ特有の細長い先の尖った楕円の瞳孔。
深い紫色の愁いを帯びた瞳は妖艶でいて畏怖すら感じる。
「あぁ」
「やっぱり…あ、俺はレオナルドこっちはアーシャ」
「ごめんなさい、失礼な態度を取ったりして」
気まずそうに謝るアーシャ。
「慣れてるから、気にするな」
特に怒った様子もないレインの反応にフゥと軽く息をつく。
「確かに宿を借りるのは難しいかもしれないわね」
「だね、ドラゴニスタの人間は問題を起こしやすいから、ほとんどの場所は出入りすら断ってるんじゃないかな」
「とりあえず、一旦 私達の宿に戻ってそれからね」
§§§§§§
ガチャ… ギィィィ…
レンガ造りの落ち着いた雰囲気の建物の扉を開く。
表の木の看板には [ ブルームーン ] と書かれていて、窓からは暖かい灯りが漏れている。
街に着いた頃にはすっかり日も暮れていて、昼間の賑わいが嘘のように辺りが静まり返っていた。
「アーシャ、おかえりなさい」
受付に立っている女性が笑顔で出迎える。
「レオもおかえりなさ…い」
レオの隣に立ったいるレインを見て驚いてアーシャに目を向けた。
「だだいまルナ、言いたい事は分かってる、分かってるんだけど ちょっと色々あって…彼に、部屋を用意してもらえない?」
「えっと…初めて見る顔だけど、彼ドラゴニスタの人だよね?アドラーリングは持ってる?」
「それが…私も帰って来る道中に確認したんだけど、どこにも所属していないの」
「う〜ん、ごめんなさい。アーシャも知ってると思うけど、うちは正規の宿だからギルドの命でアドラー以外の人の利用は違法なの」
リリエンタールとグランブールでは、アドラーのみが利用する宿や武具屋、食堂に教会などほぼ全ての施設はギルドの管理下にあり利用者はアドラーの証としてアドラーリングを見せて許可を得る必要がある。
アドラーリングは、ギルドの認定試験に合格すると儀式を通して授けられる指輪の事で生涯外れる事はない。
「一般向けの宿もあるけど、ドラゴニスタの人間じゃ門前払いだろうし」
グゥゥゥ〜
レオの空腹はどうやら限界に達しているようだ。
「まぁ最悪…闇ギルドの宿って手もあるわね、ちょうど金貨も手に入ったところだし」
アーシャはポンっと腰のポーチを叩く。
「アーシャ…」
レオが苦い顔をしている。その顔を見て苦笑しながら、ルナがアーシャに声をかけた。
「闇ギルドに行くくらいなら、レグルスを訪ねてみたら?」
その提案に、快く返事をする。
「そうね名案だわ、じゃあ荷物を部屋に置いてくるから待っててレイン…ほらっ、レオも」
二人が宿の二階へと続く階段を登って行くと、ルナは何やら書類を整理しながら 物珍しそうに辺りを見回しているレインに話しかける。
「リリエンタールは初めて?」
「…まぁ、こんな街中まで来たのは初めてだな」
「貴方にも事情があるとは思うんだけど…なるべく早くドラゴニスタに帰った方がいいと思う」
「…ご心配どうも」
「心配なのは貴方じゃなくて…」
ルナが言い淀んでいると、二階から降りて来たアーシャとレオが二人に不思議そうな顔を向ける。
「お待たせ、じゃあ行きましょう」
レオが扉を開いて先に出て行くと、ランタンを片手に持ったアーシャが続き後ろを歩くレインに視線を向けて尋ねる。
「ルナと何を話してたの?」
「特に何も」
平然とした返事が返って来る。
「そっか……そういえば、ベルはどうしたの?」
ブルームーンに着く少し前から姿が見えなかった事を思い出した。
「俺様に何か用か?」
そう言いながらレインのローブの隙間からヒョコっと顔を覗かせる。未だに不満そうな顔のままだ。
「精霊なんだから、陰に入ってればいいのに」
「どこに隠れようと俺様の勝手じゃ」
「ねぇそんな事より、お腹空いて死にそう…」
レオが会話に割って入る。
「今日はかなり走ったもんね」
「俺、久しぶりにレグルスの作ったチキンスープが食べたいなぁ」
他愛もない会話を続けながら四十分程歩いた頃、レグルスの家に着いた。街から外れた小高い丘に立つ丸太小屋だ。
家の中には灯りが灯っていて煙突からは煙が出ている。
「ただいまー」
重たい木の扉を開いて中に入る。返事は無い。
「出かけてるのかなぁ」
レオは暖炉の前にあるソファにドスンと腰掛けて脱力した。
「レインも座ってて、私庭を見て来るから」
「分かった」
アーシャが裏庭に続くドアを開けると、薪割りをするレグルスの姿があった。身長がゆうに二百センチ程ありそうな筋骨隆々とした初老の大男は、これまた大きな斧を軽々と振り下ろしている。夜の肌寒い空気の中にも関わらず、腕の出ている薄着で汗さえかいていた。
「レグルスっ」
その声に気づいて振り返る。
「おぉ、アーシャ、帰っとったか」
「レオも一緒よ、それからもう一人連れて来たんだけど今晩泊めてもいいかな?」
しおらしいアーシャの問いに、ガハハハと豪快に笑いながら快諾する。
「遠慮なんかせんで、いくらでも泊まってけ」
裏庭から二人が戻ると、うなだれたレオが情け無い声でご飯の催促をした。
「レグルスゥ〜、お腹空いた〜」
「なんとだらしの無い」
呆れた顔でレオを見てから、その隣に座っているレインに挨拶する。
「初めましてだの、ワシはレグルス、この二人の親代わりみたいなもんだ」
するとレインは立ち上がってローブを脱ぎ軽く頭を下げた。
「俺はレイン、急に訪ねてすまない」
「二人の連れなら大歓迎だ、今飯を用意するから少し待っとれ」
「ありがとう」
ニコリと微笑むとレグルスは台所に向かう。
「私も手伝うよ」
しばらくして台所からいい匂いが漂いはじめた。
「出来たわよー、二人とも」
台所にある四人掛けのテーブルに座り、食卓を囲む。
レオは目の前に出されたチキンスープを夢中で口に頬張った。鶏肉を野菜やキノコと一緒にクリームで煮込んだ温かいスープは絶品であっという間に食べ終わってしまう。
「おかわりある?」
返事も聞かぬ間に、お皿を持って鍋に向かう。
「忙しない奴だの、落ち着いて食わんか」
「やっぱり、レグルスのチキンスープは世界一だね」
そのやり取りを見てフフッとアーシャが笑うと、レインの顔も緩んだ。
「どう?美味しい?」
「あぁ」
「ところで、お前達はどういう知り合いなんだ?」
レグルスが不思議そうに三人を見る。
「…なんて言うか、今日知り合ったばっかりで」
言葉を濁すアーシャ。
「レインはアドラーじゃないから宿に泊めてもらえなくて困ってたんだよ」
「それはまた珍しいの、アドラーでないドラゴニスタの人間なんぞ初めて会ったかもしれん」
四人の間になんとも言えない空気が流れる。
「俺様はもっと珍しいんじゃぞ!」
沈黙を切り裂く様にベルの声が響いた。
「ベルッ!」
慌てるアーシャ。
「あ…」
まずいと下を向くレオ。
「…」
レインはまたかといった表情だ。
「おぉぉ、こりゃ本当に珍しい!ノルンによう似とる」
その言葉に驚いて、三人ともレグルスの顔を見る。
「知ってるの⁈」
「ワシはウルと名乗るノルンに会った事がある」
「本当か⁈」
「確かお前さんより毛並みの落ち着いた青色の精霊だったのぅ、とんでもない魔力を持っとるが…」
そう言いながらベルに困惑の表情を向ける。
「まず人前には姿を現さなんだ、それに尾も三又で落ち着いた思慮深い印象だったのぅ」
レグルスの言葉を聞いたアーシャとレオがベルに困惑の目を向ける。
「もしかして、ノルンて嘘だったの?」
「お、俺様はれっきとしたノルンじゃ!」
今にも暴れ出しそうなベル。
「落ち着けベル」
レインが手を伸ばしてベルを捕まえる。
「ベルは本物だよ」
「そうじゃっ!」
「それより、別のノルンに会ったのは確かか?」
「確かだ、だいぶ前になるがの」
「何処で会ったか覚えてるか?」
「あれは…グランブールとリリエンタールの境にある森の中のダンジョンだったのぅ、ワシもまだ現役だった頃に30階層まで潜った事があってな…そこで会った」
「「30階層⁈」」
レオとアーシャが同時に声にを上げる。するとレグルスはガハハハと大笑いした。
「お前達まだ浅い所で苦戦しとるんか」
「いいパーティに巡り会えてないだけよ」
「それで、このノルンの力を借りたい訳か?」
レグルスが鋭く問いかけた。
「えっ、そうだったのアーシャ?」
レオは今頃その真意に気づいたようで、驚いた表情をしている。
「レインが行くなら付いて行ってやってもいいぞ」
ベルは呟いた。
「無理だの、ダンジョンにはアドラーリングが無ければ入れん」
そう言うレグルスの親指には、アーシャやレオと同じリングがついている。
アーシャは小指、レオは人差し指に。
「ねぇ、レインさえ良ければアドラーの認定試験受けてみない?」
アーシャの問に、少しの間考えた後レインはそうすると返事をして話は一旦落ち着いた。
食器を水に浸けて綺麗に汚れを濯いで行く。カチャカチャと食器を手際よく片付けながらレオは考え込む。
(やっぱり、俺がレベル3のままだからアーシャは思うように動けないんだろうな…せめてタンクが出来るレベルまで行ければパーティだって組みやすいだろうし、でもレベル7なんて無理だしなぁ…かといってアタッカーとして秀でた才能も無い上にアーシャ以外の人と上手くやれる自信も無い…もし、レインが凄く強くて俺なんて要らないってなったらどうしよう…アーシャは優しいからそんな事言わないって分かってるけど、けど)
嫌な想像が頭を離れず、だんだん気持ちが落ち込んで行く。
片付けを済ませて、暖炉の前のソファに目をやると座っているのはレグルスだけで二人の姿が無い。
「やっと終わったぁ〜、アーシャとレインは?」
レグルスは小さな木彫りの何かを作っているようだ。ナイフを使って器用にシャッシャッと木を削っている。
「二階の部屋に案内すると言っておったのぅ」
二人を探して二階に上がったレオ。階段を上がって直ぐの部屋から二人の声がかすかに聞こえて来る。その部屋の扉を開けた瞬間固まった。
「……………」
部屋の前で立ち尽くすレオに気付きアーシャが声をかける。
「レオ、片付けありがとう」
「な、何してるの…」
レオが驚くのも当然だ。
ベッドに腰掛けている二人。アーシャは上着とシャツをぬいで上半身は胸を覆う肌着だけの姿なのだ。更にレインがアーシャのお腹に手を伸ばそうとしているタイミングだった。
「確かに、痛々しいな」
レインはアーシャのお腹の傷に微かに触れている。
慌てて部屋の中に入ると自分の着ていた上着を脱いでアーシャを包む。
「ちょっと待って、おかしいよね…え、どういう状況なの、二人ってそういう関係だったっけ?違うよね、今日会ったばっかりだよね?」
「何を騒いどるんじゃ?こやつ」
ベルが小首をかしげる。
「大丈夫か?」
レインのその言葉に、何故か恥ずかしくなって顔が真っ赤になる。
「…じゃあレイン、この部屋好きに使ってね」
そう言うと脱いだ上着を抱えてレオの手を引き部屋を出て行くアーシャ。
「ねぇレオ、ちょっと散歩しない?」
「…うん」
自分に巻かれた上着をレオに返して、脱いだ服を着直す。
外に出ると、空一面の星々がキラキラと輝いている。そよ風が少し肌寒いくらいの透き通る空気。
「ごめんね、勝手に話進めちゃって」
「謝らないでよ、アーシャは何も悪くないよ…俺こんなだから色々不安で考え過ぎてるだけだから」
レオは目線を落としたまま弱々しく言った。
「あのねレオ、その不安の原因が私の言動なら…私達少し距離を置いたほうが…」
言いかけたアーシャを咄嗟に抱きしめる。
「違うっ!アーシャは悪くないんだってばっ、俺が弱いのが原因だから!だから…そんな事言わないでよ」
アーシャの肩に頭を預けるレオは少し震えていた。
「…うん、分かった」
少し躊躇いながら、レオの背中を優しくポンポンと叩く。
そして三者三様の夜が更けて行く。
登場人物
アーシャ・バレンタイン[女性]17歳 身長170センチ
長い赤髪で肩甲骨の辺りまである、前髪はセンターで分けられている。強気な目元に瞳は少しくすんだ薄い緑色、ピアスが両耳に一つずつ。アドラーリングは右手の小指。
レオナルド・ジョーカー[男性]20歳 身長182センチ
金髪で柔らかい癖毛襟足は短い、前髪は目に少しかかるぐらい。垂れた目元で淡い青色の瞳、左目の下に泣きぼくろがある。ピアスが両耳に一つずつ。アドラーリングは左手の人差し指。
レイン◯◯◯◯◯[男性]17歳 身長175センチ
黒髪で左側は短く右側に少し長いアシンメトリー。長さは1番長い所で耳が隠れる程度、前髪はふんわり右側に流れている。鋭い目つきで瞳はドラゴニスタ特有の瞳孔に深い紫色。
ルナ・ティアラッド[女性]25歳 身長160センチ
柿色の髪で前髪は眉が隠れる程度に切り揃えられている、一括りの三つ編みは左胸の上に垂らされている。大きく優しい目元で瞳は髪より薄い柿色。
レグルス・アルゲオ[男性]58歳 身長203センチ
白髪のオールバック、耳の周り襟足は刈り上げられていて顎髭をたくわえている。穏やかな目元で瞳は黒色。鼻背に傷がある。アドラーリングは左手の親指。
ベル[大精霊ノルン] 全長50センチ程度
緑色のふわふわの毛並み、猫のような見た目で二股尻尾。瞳は赤色。




