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第二十七話


「よし! そっちは任せたぞ、アズレル!」


「はーい! ルカも気をつけてねー! さっきから〝変な気配〟がしてるから、あんまり無理しちゃだめだよー!」


「わかった!」


 リゼットと別れ、水輸送船の救援に向かったルカとアズレル。

 ルカは〝アズレルに何事かを頼む〟と、そのまま連合水輸送船の甲板に着地。


 手すりを乗り越え、巨大な船体下部に接続されたクリムゾンフリートのタラップ――船員を送り込むための橋へと一気に飛び降りる。


「はぁああああああああ――ッ!!」


「な、なんだこいつ!?」


「変なのが上から落ちてきたぞ!」


「俺は変なのではない! 誇り高き竜騎士、ルカ・モルエッタだ!」


 そこはまさに連合と空賊の激戦地。

 まだ空賊戦艦が横付けして数分も経っていないにもかかわらず、すでに迎撃の連合兵士は傷つき倒れ、多数の空賊の侵入を許してしまっていた。


「ならば――! 俺が叩くべきはやはりこっちだ!!」


「こ、こっちに突っ込んできやがる!?」


「馬鹿なガキだ! 槍一本で銃に勝てるわけねぇだろうが!!」


「そこを――どけぇええええええええッ!!」


 炸裂、そして駆け抜ける光刃。


 突撃するルカの周囲に無数の斬撃が巻き起こり、タラップ上に群がる何人もの空賊達が次々と四方八方に吹っ飛ばされていく。

 

「な、なんだこいつ!? 撃て、撃てーー!!」


「竜騎士バリアー!」


 恐るべきルカの強さに、空賊達は一斉に銃撃を開始。

 しかしルカは銃撃に対してその場で竜槍を高速回転。

 カンカンカン!という甲高い音と共に、空賊の撃った弾は全てタラップ上にパラパラと弾かれ落ちていく。


「ば、化け物……っ!」


「まさかこいつ、キャプテンが言ってた竜騎士ってのじゃ!?」


「キャプテンは知らんが、俺は竜騎士だ! 気付くのが少し遅かったな!!」


「ぎゃあああああっ!」


「アバーー!?」


 あまりにも一方的な蹂躙。

 銃弾の雨をものともせず、ルカはまたたく間に空賊の突入部隊を殲滅。

 そのまま一目散に空賊旗艦の内部へと突入する。


「いくら空賊が水を奪っても、戻る船がなければどうしようもないはずだ! ならば、この船を叩いてしまえば!!」


 狭い船内を風のように駆け抜け、ルカは次々と襲い来る空賊達をなぎ倒し、不意に放たれる弾丸も人間離れした動体視力と反射神経で回避する。


「侵入者だ! ぶっ殺せ!!」


「うおおおおおーー!! 竜騎士パンチ! 竜騎士チョップ! 竜騎士でこぴん!!」


「ぐえー!」


「うぎゃー!」


「あべし!」


 空賊のあらゆる迎撃も、抜槍(リンク)状態のルカには無力。

 電光石火の無双ゲー状態で上層部へと駆け上がると、最後に待ち構えていたぶ厚い鋼鉄製の壁を光刃で溶断。

 ドラゴンと同等のパワーを誇る竜騎士キックでぶち破り、戦場を一望できる見晴らしの良いブリッジへと突入する。すると――。


『やっと来たか……待ちくたびれたぞ、竜騎士』


「むむ、怪しい奴! 俺を待っていたとはどういうことだ!?」


 そこでルカを待っていたのは、美しい紫色の髪をなびかせた、黒いロングコートに仮面姿の人物。

 

『わからないか? お前はここに誘い出されたんだ。空で竜騎士に暴れられたら、フェザーシップが何機あっても足りないからな』


「なるほど……どうやらお前は、竜騎士の強さを知っているようだ。だがどんな作戦を立てようと、ここで俺がお前を倒せば戦いは終わりだ!」


『たしかにな……だが……』


 待ち構えていた空賊のリーダーらしき相手に、ルカは驚きつつも竜槍を構える。

 そしてそんなルカの姿に、空賊のリーダーはその仮面から覗くエメラルドグリーンの瞳を〝寂しそうに〟歪めた。


『やっぱり、あいつはもういないんだな……ドラゴンがいるならもしかしたらと思ったが、残念だよ』


「あいつ……? まさか、母さんを知ってるのか?」


『母さんだって? そうか……お前はルミナの息子だったのか。道理で、〝あの二人によく似ている〟な。馬鹿丸出しの変装をドラゴンにさせるところなんか、母親にそっくり……ぷ、ククっ! いかんいかん、思い出したらまた笑いそうになっちまった』


 そう言いながら、親玉は黒いロングコートをばさりと広げ、腰にぶら下げた左右二丁の〝特殊な形状の拳銃〟を手に取る。


『まずは名乗らせてもらおうか……俺の名はレターナ。レターナ・シルバーバレット。このクリムゾンフリートを率いるキャプテンだ』


「俺はルカ・モルエッタ! 誇り高き竜騎士だ!!」


『誇り高き竜騎士か。なら、あいつの息子がどこまでやるのか、見せてもらうとしようか――!!』


「っ!?」


 瞬間、ルカの視界からレターナが消える。

 だが実際は消えたわけではない。


 ブリッジ内部に突風が起きるほどの驚異的な踏み込みで、レターナは一瞬にしてルカの死角へと飛び込んでいた。


『どうした? 目で追うこともできないか?』


「ぐ――っ!?」


 ルカは間一髪反応して防御。

 だがレターナの強烈な回し蹴りを受けたルカは凄まじい勢いで弾き飛ばされ、鋼鉄製の壁面にめり込むようにして叩きつけられる。


「が、は……っ」


『おいおい、その程度か? ルミナなら、今の一瞬で百回は反撃してくるところだ』


「やるな……! 母さんの知り合いというのは本当のようだ!」


『その感じだと、〝自分と同じような相手〟とはまだろくに戦ったこともないんだろう? ならここで学んでいけ……この空は、お前が思っているよりもはるかに広い』


「教えてくれるなら感謝する!」


『ははっ、素直だな』


「だが、それはお前を倒してからだ――!」


 予想を越えるレターナの力。

 しかしルカは意に介さず、金属の床がへこむほどの勢いで突撃。

 竜槍の光刃を輝かせ、レターナに必殺の突きを放った。しかし――。


『なら……まずはこいつだ。抜剣(コネクト)――天剣リヴェリオン』


「なにっ!?」


 瞬間。ルカの竜槍アズライトによる攻撃を、レターナは両手に構えた拳銃の銃口部分から生成延伸した〝レーザーブレード〟で迎撃。


 ルカ渾身の突撃をあっさり弾き返したレターナは、ロングコートをはためかせ、両手に握る二刀の天剣リヴェリオンをゆらりと構えた。


「そのピカピカの剣は……!?」


『これも何かの縁だ、あいつの代わりに教えてやるよ。この空の広さ、そして俺の強さをな――!!』


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― 新着の感想 ―
いやあ、いいですね! 読んでいて、テンポが良くて、次から次へと読めてしまいます。 世界観はファンタジー! 竜騎士がいたりと、剣があったりと、ファンタジーではお約束の設定が盛り沢山! ファンタジ…
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