妹? 12
俺は発言に一貫性がない大文字を試すように問う。
「はい、私の家系は代々、日本経済の中心を担ってきた企業であり、これからも日本を、そして世界を動かす大企業です。しかし、現当主の大文字 藤三郎は余命いくばく。大文字財閥の次期当主を決めなければなりませんが一族の家訓には、当主になるものは男でなければならないという決まりがございます。ですが、今の大文字家には当主になれる男がおりません。そこで、お兄様に白羽の矢が立ったのです」
彼女はまるで俺を生贄のように言う。確かにメーカー名で、よく大文字という名前を見る気がするが、こいつは、そこの社長の孫にあたるらしい。しかし俺は、全く血縁者ではない。そこは、どう説明するのか俺は気になり質問する。
「おいおい、俺は大文字さん家とは全く関係ないぞ。そもそも血が繋がってねえ」
「ですがお兄様と私は血が繋がっています。上手いこと誤魔化せばお兄様を大文字の後継者として声明することができるはずです」
大文字は苦しい言い分を述べる。上手いこと誤魔化すと言っているが要するに”結婚しましょう”と言っている訳だろ? 俺はこいつがはぐらかした”上手いこと誤魔化せば”のところを追及する。
「お前、それは要するに”私と結婚しましょう”て言ってるわけじゃねえのかよ?」
俺がそう言うと大文字は”あっ、バレちゃいました?”と言いたげな顔で舌を出す。ああ、これは故意犯ですね分かります。
「はい、そうですわ、お兄様。私とお兄様が結婚すれば丸っとスッキリ、万事解決です!」
彼女はそう言って”パァァ”と顔を輝かせる。何も万事解決していないが、こいつにしてみたら解決しているのだろう。俺が(ダメだ、こいつ……早く何とかしないと……)状態になっていると周りが口々に声を発する。
「……結婚……」
春香がか細い声でポツリとつぶやく。横から見ても分かるぐらいに虚ろな表情で下を向き誰とも目を合わさない。春香さーん、生気がないですよー。
「ナツ……」
妹の秋穂が春香と俺を交互に見ながら呟く。妹からは”アンタ何やってんのよ”と言いたげな顔が見て取れた。いや、単に呆れているだけかも。
「夏樹お兄ちゃん結婚するんですか? おめでとうございます」
冬樹が純真無垢にそう言った。うん、冬樹。お前は良い子だ。しかし、良い子ではあるが愚か者だ。俺は後で冬樹にジャーマンをかます事にした。
微妙な空気が流れる中で冬樹の発言に縛られている大文字は「冬樹君、後で良い子良い子してあげます」と邪気のない子供には刺激が強すぎるお姉さんオーラに冬樹は「いえ! その……だ、大丈夫です!」と案の定ドギマギと顔を赤らめている。
「ちょっと冬樹!」
デレデレと鼻の下を伸ばす冬樹に秋穂が恫喝している。分かりやす過ぎるぞ妹様。近親の嫉妬を見て少しテンションが下がったところで大文字が口を動かす。
「分かって頂けましたでしょうかお兄様?」
彼女はそう言うと何に対してそんなに自信を持っているのかわからない自信を顔面全体に押し出して俺を見つめる。言ってることが無茶苦茶のガバガバ女がこうも自信満々だと、逆にこっちが何か間違っているのではないかと勘違いしてしまいそうになる。
「お兄様がお悩みするのも無理はありませんわ。もし私もお兄様の立場になったらきっと同じように考え込むと思います」
大文字は俺が黙り込んでいるのをどう解釈したのか、一人黙々と喋りだす。ついでに足を伸ばして俺の太ももに”の”の字を書く。
「そこでお兄様には色々な女性の方とお付き合いして、思う存分青春を謳歌していただいてから、私と結婚していただきますわ」
そう言うと彼女は足を更に奥へと伸ばし俺の宝刀に謁見しようとする。やっぱりこいつ足が長いな、すごく綺麗で下で嘗め回してもお腹壊さなそう。ちなみに大文字は先ほど玄関で靴下を汚しているため脱がして裸足にしている。
俺は今までに感じたことのないこそばゆくも心地いい感覚に酔いしれる。エロ同人誌ならここから足の親指と人差し指の間で宝刀が上下に扱かれるのだろうなぁ、と思いながら少しだけ期待する。
「…………」
もの言わぬ春香が俺の隣でジッとその行為を見続けていることに俺は気づいた。
(怖い! 怖いよ春香さん、何か言って!)
俺は急いで大文字の足を叩き落とすと急いで彼女の言い分に物申す。
「いや、わかんないし。お前が大企業とか名家だか何だかの家系だとして、結局、俺とお前が結婚しないと意味ないなら、お前が別の男と結婚するばいいじゃねえか?」
俺に足を叩かれむくれていた顔を更に大きくむくれさせて声を荒げる。




