インヘリタンス

ジヲマは戦う

脅威の塊の三つ目の目玉は最早暴れていた。

ジヲマを四方から飲み込まんと、形を変えて全身を波立て、猛り狂う炎のごとくに悍ましいほどの唸り声をあげていた。

ジヲマは箒を振り回し、風を起こし、ヨジマノナミダを輝かせ、マントの内側から雷を放ち、全身全霊をかけて抵抗した。

目玉から分離した飛沫に傷つけられ、左目の下や右手の甲から軽く流血しながらも、戦意を失うことはなく、シュシュには傷一つ負わせることなく戦い続けた。