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無傷の目玉
ジヲマに襲い掛かっていた無数の黒い玉は、バーントアンバーの炎によってすべてが焼き尽くされた。
けれども目玉はひるむことなく、ふつふつと沸騰していた。傷を追うどころか、先ほどよりも輝きを増し、生き生きとしているようにさえ思われた。時折り、一部は飛沫として跳ね、一部はしなやかさを見せつけるように弧を描き、子供の手の上で弄ばれるスライムのように変形して見せた。
グルグ、グルグル、グルルルルと腹の底に響くような音を立て始めた脅威の塊は、不気味と呼ばれる存在そのものであり、秘めた力を想像することはできなかった。




