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跨るものは
ロロの前に大きな背中が見えた。その後ろ姿でがっちりとした逞しさが伺えた。ゆるくパーマがかかったような短い髪をした男が、真っ黒なつなぎの作業着に身を包んでいた。大きな男の足元には大きめのマットレスのような雑巾が見えた。
ヤヤは雑巾に立って月空を横切っていた。
ロロに気づくと、ヤヤはふふんと嘲笑うような笑顔を見せた。
「箒だなんて。」
ロロは返す言葉がなかった。そして、少し躊躇して竹箒の柄に立ちあがった。
実にバランス良く、ロロは少し自分でもびっくりするくらい、難なく柄に立ち、空を飛んでいた。
ヤヤはその様子を見て、口笛を吹いて称賛した。




