第24話 この女は俺のもの
「これで、終わりだ!死ね!」
シルバーゴーレムが、今度はジョナルド様に抱きついて、さば折り状態で締め上げる。
ジョナルド様の全身から黒い煙が上がり、火傷の様な痕が広がっていく。
「ぐぅああああ!」
ジョナルド様が、苦悶の表情を浮かべる。
「ぬううおおおお!!」
ジョナルド様は、熊の様に伸びた爪のある両手を抜き手の形で、シルバーゴーレムに突き立てた。
両腕からも、黒い煙が上がる。
「無駄な事をするな!」
コーデニスが、シルバーゴーレムのパワーを上げる。
「ベキベキベキ」
ジョナルド様の体から、骨が折れ、きしむ音が聞こえてきた。
「おおおおお!」
その力を利用して、ジョナルド様は、さらに深く抜き手をシルバーゴーレムに深く差し込んだ。
「ぐはっ!」
コーデニスが、血を吐く。
ジョナルド様の抜き手が、シルバーゴーレムに乗る彼まで貫いたのだ。
がっくりと首を下に向けたまま、コーデニスが動かなくなった。
シルバーゴーレムごと、倒れる。
「ぬぬぬ」
ジョナルド様は、傷だらけでシルバーゴーレムの下から這い出す。
そして、炎を私に向けるジャスリン目掛けて、突進してくる。
「ぐあっ…」
ジャスリンが、苦悶の表情を浮かべた。
ジョナルド様の抜き手が、ジャスリンの体を貫いている。
「この女は俺のものだ。誰にも手出しはさせん」
ジョナルド様は、そうジャスリンに言った。
ジャスリンの体が、ぐったりとする。
そのまま、彼女は地面に倒れた。
手にあった炎が、ゆっくりと床を広がる。
「あんたみたいな女、きっとこの男にも裏切られるわ…」
それが、彼女の最後の言葉だった。
ジョナルド様は、手枷足枷を破壊し、私を抱き上げた。
「うう、私は、ひどい女なんです…」
私は、旦那様の腕の中で泣いた。
「誰にでも罪はある。私が、それを受け止めよう」
彼は、そう言ってくれた。
私達は、赤ん坊2人を助け出し、廃教会を出る。
教会は、コーデニスとジャスリンごと炎に包まれた。
私は、事の顛末を両親に話し、赤ん坊を預けた。
両親は、彼等をアースキン家の養子として迎えようと考えたが、王子とジャスリンの関係も考えると無理だった。
赤ん坊は、隣国の裕福な子供のいない貴族の家に養子として出される事になった。
両親は、私とジャスリンの育て方を、ひどく後悔していた。
秋が深まる頃、ジェーンとローレオンの結婚式がライオット家の領内にある小さな教会で行われた。
私とジョナルド卿は、教会の最前列で見守った。
ジョナルド卿は、回復魔法使い達によって、なんとか治療が式の前に終わっている。
ローレオンが燕尾服姿で牧師の前に立ち、ジェーンが入ってくるのを待っている。
ジェーンが、ライオット家の当主様に手を引かれ、私が王子と結婚した時に着たウェディングドレスを着て、バージンロードを歩いてくる。
その姿は、ジェーンの方が私より純粋に見えた。
ジェーンは恥ずかしかったのか、誓いのキスを少しずらして、頬にさせた。
ローレオンは、少し残念そうだったが、彼女らしかったと思う。
式後にジェーンは、ブーケトスをせずに、私にくれた。
「次は、お嬢様ですね。今度こそ、必ず幸せになって下さい」
ジェーンは、そう言った。
披露宴は、ライオット家の屋敷の前で、オープンテラス方式で行われた。
城の若い騎士達も呼ばれ、楽しそうに飲み食いしていた。
ジェーンは、いつの間にか、若い騎士達に大人気の存在になっていた。
いつも真面目な仕事ぶりが評価されたのだろう。
少し嫉妬するが、今日は彼女が主役だ。
今は、彼女の人気を認める事にしよう。
意外な客として、飛び込みでクライシ―名誉騎士がやってきた。
「シェイラ殿、あなたは気絶していたから知らないでしょうが、山火事の日、あなたを連れ帰ってからのジョナルド卿の戦いっぷりは、凄かったのですよ。是非、将来、うちの騎士団に欲しい」
酒が入ったクライシ―卿は、上機嫌で私にそう言った。
「ええ、是非に」
私は、笑顔で返した。
本当にそうなれば大出世だが、旦那様がそうする事は当分なさそうだ。
「今度は、私達の式ね」
横にいるジョナルド様に、もたれかかって言った。
「うーむ、あんな恥ずかしい真似を人前でしなければならないとは…。目をつむっているうちに、結婚式と披露宴の全てが終わっていないものか」
ジョナルド様は、困った顔で言う。
「なんですって!?こんなに美しい私の横に立つ事を許しているのに、恥ずかしいとはどういう事?名誉に思いなさい!名誉に!こんなに美しくて可愛い私といられるんだからメリットありまくりでしょ!」
私は、彼の態度に怒った。
「んむ」
彼は、頭をかいた。
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