↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/38

第12話 騎士団長の危機

「これは、魔力を使いすぎたのが原因です。魔法を制御せずに放ったせいかと。その後、まともに食事をせずに、気分も落ち込まれている為、回復せずにいるのです。これは、薬や魔法では治せません」


 私が横たわるベッドの横で、白髪で初老の医者が両親に説明した。


「では、いかにすれば?」


 父が、初老の医者に聞く。


「なんとかして元気づけてやって下さい。全ては、お嬢様の気持ち次第です」


 医者は、そう言った。


「しかし、私達では…」


 母が、そう呟く。


「うう、ジョナルド様に会いたい…」


 青ざめた顔で、私は涙を流す。

 彼に会えなくなって2カ月が経っていた。


「分かった、なんとか頼んでみよう」


 父が、私の手を取り言う。


「でも、ジョナルド様の迷惑に…」


 私は、そう言った。


「何を言うか。彼が来ないのは、お前の安全を思ってこそ。その、お前がこんな状態なのに、放っておくはずがない。当日は、充分な護衛を屋敷に呼ぶ。そうすれば、来てくれるに違いない」


 父は、そう言ってくれた。


「ありがとう、お父様…でも、大変な費用がかかるでしょう?」


 私は、泣きながらお礼を言う。


「お前の為だ。気にする事はない」


 父は、言った。




 数日後、屋敷を父が呼んだ護衛達が警護して歩く足音に交じって、あの五月蠅いジョナルド様の自動車のエンジン音が聞こえてきた。


 私は、なんとか起きて、きちんと化粧をして身支度を整え、自分の部屋の椅子に座っていた。

 彼には、弱った姿を見せたくなかった。


「シェイラ!!」


 私の部屋の扉が勢いよく開き、彼が私の座る椅子に駆け寄ってくる。


「ジョナルド様…」


 私は、席を立って彼の胸に倒れ込むように抱きついた。


「おお、こんなに痩せて…。長い間待たせて、すまない」


 力強い彼の腕が、私を支えて抱きしめる。


「ジョナルド様、もう私を離さないで。私をライオット城に連れ帰って下さい」


 私は、我儘を言って泣いた。


「それは出来ない。しかし、これからはもっと顔を出す。これからは、あなたの父上が、警備に協力してくれるそうだ。私の部下を使えればよかったのだが、魔物から首都を守る大事な役目があるので私事では動かせなかったのだ」


 ジョナルド様が、言う。


「はい、これからは、もっと顔を見せて下さい。でなければ私は、壊れてしまいそうです」


 私は、彼の礼服を、ぎゅっと掴んだ。




 屋敷のテラスに、私と彼の昼食が用意された。


「さあ、食べて下さい」


 彼が、笑顔で私を見つめる。


「はい…」


 相変わらず食欲が無かったが、いつもより少しだけ食が進んだ。

 彼の顔を見ていると、なんだか食べる気になった。


「シェイラ、もっと元気になって下さい。私は、元気な君の方が好きだ」


 彼が、そう言った。


「はい、頑張ります」


 私は、もう少しだけ食べる事にした。




 彼は、予定より遅く、少し薄暗くなるまで屋敷にいて下さった。

 夕闇がせまる中、私は屋敷の前で彼を見送る。


「次は、1週間後に参ります」


 そう言って彼は、自動車に乗り込んだ。


「必ず、必ず来て下さいね。待っています!」


 私は、エンジン音に負けないように、頑張って大きな声を出す。


「はい、必ず!」


 ジョナルド様の自動車が見えなくなるまで、私は彼を見送った。




「ぬう、お前達の仕業だったのか」


 横転して炎上するジョナルド卿の自動車の横で、彼が変身した姿で立っていた。

 全身傷だらけだったが、みるみる傷が治っていく。

 これも、!獣人化(ライカン)の力だ。


 周囲には、倒されたホーンドウルフ達が、何頭も倒れている。


 暗い夜道で、燃える自動車の炎に照らされて、コーデニスとジャスリンの姿が浮かび上がる。


「私の魔法は、制御できないあの女のとは違うわよ!」


 ジャスリンの手から、炎が噴き出し、ジョナルド卿の体を焼く。


「うぉおおお!こんな炎では、私を焼き尽くす事は出来ない!」


 ジョナルド卿の焼かれた肌が、あっという間に元に戻る。

 しかし、再生している間、少し動きが遅くなった。


「では、これではどうかな?」


 コーデニスが、手に持ったリボルバー式の拳銃でジョナルド卿を撃った。


「ぐはっ!」


 彼の肩から血が噴き出し、傷が治らない。


「これは、浄化された銀の弾丸だ。これを受ければ、お前でも再生出来まい」


 コーデニスが、不敵に笑う。

 それは、獣人化(ライカン)の弱点の一つだった。


「タン!タン!ターン!」


 コーデニスが、次々と銀の弾丸をジョナルド卿に撃ち込んだ。

 遂に倒れるジョナルド卿。


「魔物など使わず、最初から、こうしておけばよかったわ。しぶとい奴め。おい!運べ!証拠を残すなよ!」


 コーデニスは、そう吐き捨てた。

 暗闇から手下達が沢山現れて、ジョナルド卿の体やホーンドウルフ達を運び去る。


「ふふふ、シェイラ。あなたは、もっともっと不幸になるのよ」


 ジャスリンが、嬉しそうに笑う。


「どうだ、ジャスリン。満足か?」


 コーデニスが、ジャスリンを片手で抱き寄せて言う。


「ええ、とっても!あの女の、お古の王子よりも、ずっと好きよ!昔は好きだったけど、あの王子、ただ優しいだけの役立たずなんですもの」


 ジャスリンは、満足気に答えた。


「これで、ジョナルド卿も、私の手の中。どうやって、あの女を苦しめてやろうかしら」


 彼女は、そう言って楽しそうに笑った。

よろしければ、ブックマーク、評価お願いいたします。

更新の励みになります。


こちらもよろしく!

【完結】公爵に婚約破棄されたのですが、超嫌いなのに溺愛してくる美形ストーカー王子と幸せになれますか?

https://ncode.syosetu.com/n7950ig/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。