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 ヒヨコちゃんの餌やりも終えての昼食後、満を持しての倉庫前集合です。


 第二騎士団ナイザリークの騎士さん達が訓練着姿で倉庫前に集まってくれています。


 その数20人くらいでしょうか?


 頼もしい限りです。


「はい注目! 詳しい話しは聞いてないヤツも居るかもしれないが、レイカくんを手伝って備品倉庫の整理です。重い物も多い備品類をか弱いレイカくんに運び出しさせたり捨てさせたり、男だったらそんな事は出来ないよね? という訳で、君達の男らしいところ、存分に発揮して見て貰いなさい。」


 クイズナー隊長、中々の焚き付け上手ですね。


 これは、終わったらお礼のお菓子配ったり、休憩の飲み物差し入れたり、そっちも気遣い要ったんじゃないでしょうか?


 参加者名簿貰っといて、後日エスティルさんに手伝って貰いつつお菓子制作でもして配る事にしましょうか。


 チラッと視線を向けた先で、クイズナー隊長が片目を瞑って来ます。


「それじゃ、レイカくんから作業内容の説明をして貰うから聞くように。」


 そう言って、クイズナー隊長が説明を投げて来ます。


「ええと、まずは倉庫内の備品を手前から運び出して貰って、倉庫に戻す物と、捨てるもしくはクイズナー隊長に見て貰って判断を仰ぐ物の2種類に分けて貰います。3割くらい物が出たところで、引き続き運び出しながら分類する人と、クイズナー隊長を手伝って不要品と保留の物を仕分ける作業を手伝う人、倉庫に戻す備品の中で修理が必要な物を仕分ける人に分かれて貰いたいです。」


「あー、この人員配分は私から声を掛けるから。」


 クイズナー隊長がここで口を挟んでくれます。


 向き不向きってありますからね。


 話した事もないような騎士さん達も沢山いるので、これはクイズナー隊長の采配にお任せです。


「備品が全て出たところで、中の掃除と棚の並べ直しをします。そこはクイズナー隊長と相談になるので、この間に交代で休憩を取って来て下さい。」


「食堂に飲み物と軽食を用意して貰ってるから、交代で行って来るようにね。」


 クイズナー隊長、流石の手回しですね。


 悔しいくらい出来る上司じゃないですか。


 お片付けスキルは余りお持ちじゃないようですが、それを補って余りある能力持ちでしたね。


 完敗です。


「それから、それとは関係なく、レイカくんはハザインバース雛鶏の餌やりがあるから、私とレイカくんはその間抜ける事になる。その間は怪我のないように作業を進めておいてくれ。」


 という訳で、作業開始になりました。


 次々と運び出されて来る備品が倉庫の外に並び始めます。


 ヒヨコちゃんとコルちゃんは、騎士さん達の作業の邪魔にならないように、少し離れて遊んでいて貰う事にしました。


 コルちゃんの託児がかなり頼りになるので、最近本当に助かってます。


 一先ず、運び出された備品の中から倉庫に戻す必要備品が置かれた辺りに移動する事にします。


 用途の分からないものも色々ありますが、取り敢えず埃被ってたり汚れてたりするものは拭いて綺麗にしておきましょう。


 それで修理の要不要も分かるかもしれないので。


 用意しておいたバケツの水で雑巾を絞って、拭き掃除に掛かります。


 が、次々と運び込まれて来る備品達に、拭き掃除が間に合わなくなって来ました。


「よし! それじゃここからは担当分けするからね。」


 クイズナー隊長の言葉に騎士さん達が作業の手を止めます。


 名前を呼び上げられた人が、クイズナー隊長のお手伝いと、戻される備品の整理担当に回されるようです。


「レイカさん、お手伝いしますね〜。」


 少しでれっとした口調で言いながら手伝いに来てくれた騎士さん達に、こちらも少しだけ苦い笑顔で迎えます。


「お願いしますねー。」


 ちょっと棒読み調になってしまいましたね。


 そんな感じで戻す備品のメンテをしていると、明らかに壊れている物やここをちょっと直せば使えるというように惜しい備品が見付かりました。


 必要数量と不足している備品の新規購入金額を見てから、修理するかどうかを判断して貰った方が良さそうですね。


 という訳で、取り敢えずこのまま戻せるものはある程度綺麗にして、その他のものと分ける作業になりました。


 人手があるって素晴らしいです。


 綺麗にした後の倉庫をそのまま保つのは確かに難しいでしょうが、月一の簡単な掃除と年一くらいの大掃除をしておけば、元の使えない倉庫に逆戻りはないでしょう。


「どうだい?」


 途中、様子を見に来てくれたクイズナー隊長が声を掛けてくれました。


「あ、クイズナー隊長、あっちの山がそのままじゃ使えない備品達です。そういえば、魔法のことって団長に訊いてくれました?」


 ついでにそれも確認しておくと、クイズナー隊長が困ったように頭を掻きました。


「うん、それがね。殿下はカルシファー隊長の隊と一緒に王都近郊の林に出掛けてしまってね。緊急出動だったから声を掛けられずだったよ。」


 成る程、カルシファー隊長の隊の外任務は、緊急出動だったんですね。


 それにしても王都近郊に魔物出現なんでしょうか。


 物騒なお話しですね。


「えーと、ということは、魔法は使用不可ですか?」


 仕方なく確認すると、クイズナー隊長は肩を竦めました。


「それでね、トイトニー隊長にも相談しておいたんだが、レイカくんはサークマイトと一緒で聖なる魔法しか使えなくなった訳だし、それなら外に危険はないだろうって事で、殿下とも規模の小さい聖なる魔法なら使用を許可しても良いかって渋々ご納得下さったようなんだ。」


 あれ、そう言えばシルヴェイン王子以外の第二騎士団ナイザリークの皆さんには、本当は聖なる魔法以外も使えるって事、言っていませんでしたね。


 シルヴェイン王子は、本当の事を言えなくて、仕方なく許可するしかなかったって事じゃないでしょうか。


 ですが、許可は許可ですよね?


「勉強、してきたんでしょ? 大丈夫だって自信があるなら、少しやってみても良いよ?」


 これはクイズナー隊長、知的好奇心が理性を上回ったって反応ですね。


「そーですね〜。じゃ、数が出揃ったらどれに使ってみるか決めて下さい。」


「そうだね〜、じゃまた後で。」


 軽く言いながら、クイズナー隊長は自分の持ち場に帰って行きました。

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