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22 MSDの関連知識

(略)読みに読みづらくてやばいかもしれません

 昨日は基礎魔法の話であったけれど、今日の授業は魔法補助装置であるMSDに関する授業だ。昨日に引き続きエルバ先生が引き続き講師を務めている。


「皆さんも知ってはいると思いますがMSDの発明によって世界は大きく進歩しました。発明されるまでは街灯は油を使い、運搬には馬車が用いられてくるなど、魔法を用いない生活を送ってきました。それは今から考えると不便な世界でした。MSDが発明されてからは魔法が様々なところで使用可能となり、街灯を魔法で動かしたり、車の動力を魔法とするなどMSDの発展とともに世界は便利なものとなりました」


 確かに、街中を見ても化石燃料を燃やして走る車や、電気の力で動く電車などはなく、魔法で動くものばかりであった。魔法を中心として文化や技術が反転してきたことがうかがえる。

 自分の家である館の調理台にはガスではなく火魔法が用いられていることから、魔法がかなり身近な存在であることがわかると思う。さらに、自身の魔力を用いなくとも魔力エーテルを利用すると動くのだから、自身が調理台から離れていても煮込みなどの調理ができるのである。とても便利。ビバ、魔法!ビバ、MSDの技術発展!。


「そのようなMSDはこの国の技術者たちによって発明されて以降、この国は高い魔法効率のMSD製造する技術を有するなどMSD界隈では世界をリードしてきました。MSDには大きく分けて2つの種類があります。1つは自身の魔力を消費するMSDで皆さんが所持しているようなものです。もう一つは魔力エーテルを消費するMSDで街灯や車などに搭載されているものになります。前者と後者の違いは、決まった魔法を発動するか、そうでないかの違いになります。一例として、水を生成する魔法の一つ、ウォータージェットの例を考えてみましょう。水属性の基礎魔法のウォータージェットには水量やその勢い等を変えることができます。自身の魔力を消費するMSDでは、魔力に水量や勢い等のパラメータが存在するために効果を任意に設定することができます。一方で、魔力エーテルを消費するMSDでは、魔力にはウォータージェットに関するパラメータが存在しません。そのため、水量、勢い等が予め書き込まれている魔法陣を使用することとなり、魔法の効果は固定になります。このように、MSDのタイプによって発動できる魔法の自由度に違いが生じてきます。」


 自身の魔力を消費せずに魔法が使える魔力エーテル駆動のMSDは自分にとってありがたいものだが、魔法の自由度が低いとなればその分戦闘の自由度も減るから考えものだな。いい側面があれば悪い側面もあるのは世の常ということか。


「話が少しそれましたが、MSDには核と呼ばれる結晶があり、その結晶に電気的な刻印を施すことで魔法陣を結晶に組み上げ魔法を発動することができます。結晶は魔法を使う上でも核となるため、結晶の品質や魔法的特性は魔法の効果に大きな影響を与えます。核は魔石が原材料の一つで、特殊な加工を行い精製することで作ることができます。ですが、核の生成には特殊な装置と高い技術力が必要となっており、製造できる国は限られています。製造できる国の一つであるこの国は魔石からMSDとなるまでの工程全てを行うことができ、国を代表する製品になっています。」


 なんか、この国のMSDに関する技術がすごい事は分かった。

 これだけ技術が発展してきたのは、人材と技術が揃っているからだろうな。MSD関連の技術開発や人材育成に国が多額の資金をつぎ込んできているのは間違いないだろう。そのおかげもあってか、魔法学校のカリキュラムの一つに魔法技師コースもある。コースがあるということは社会的な需要も高く、産業もその人材を求めているということだ。そこから推察するにこの国の一大産業なのだろう。


 それはそれとして、気になる話は核が魔石から作られているということだ。これまで魔石の使い道は魔力エーテルの原料の一つだけと思っていたが、そうではないのはかなりびっくりした。

 自分の指に着けているリングに視線を移すと、リング上に紫色の結晶がついている。これが魔石からできているとなると中々不思議に思えてくる。MSDで魔法を使うと魔素が生じて、やがては魔物となり、魔石となり、MSDの核となる。うーん。マッチポンプ感が半端ない気がするのは気のせいだろうか?


「核は魔法の核となりますので、発動中の魔法の影響を常に受けています。そのため、発動中の魔法がほかの魔法などによって破壊されると、その反動で核が破壊される場合があります。特に、発動する魔法に対して過剰に魔力を供給した場合はそうなりやすいので注意してください。」


 なるほどな?昨日の戦闘演習で、アイスニードルが破壊されたときの反動がMSDに悪い影響を与えると推測していたけど、これは正解だったようだ。魔法の核...というのが何なのかはわかりかねるが、魔法の大部分を握っているというニュアンスでとらえると、推測していたこととおおむね合致する。

 魔法が破壊されるたびに核にダメージが蓄積されるため、使っていたら何時かは壊れるものということか。ファンタジー世界では主人公の愛用する武器がずっと使うことができるが、この世界ではそうはいかないらしい。ちょっと意外だな。

 高い技術で作られた製品は通常高い価格で売られるのが一般的だが、工房シュトーで並んでいたMSDの価格はそれなりに安かった。そこから察するに、自動生産が進んでいると考えられる。自動生産化により、製造過程で人が複雑な作業をしなくともよくなるので人件費が削減され、MSDの単価は下がるのだろう。自動化が求められるということはそれだけ需要がある、言い換えればMSDよく壊れるということなのだろう。なんだか悲しい現実を見た気がするな。

 

 エルバ先生の講義内容に思考を巡らせていたところ、教室内に質問の声が上がった。声の主を確認すると、昨日の戦闘演習で個人的に注目していた兎人族のリナだった。


「先生、供給する魔力が多いほど魔法の効果や威力が向上すると聞きましたが、そのようなことをすると核が破壊される危険が増えるということですか?」


 昨日見た戦い方は脳筋スタイルだったが、それとは違ってなんか頭よさげな発言しているな?いや、魔力つぎ込んでおけば威力上がるし問題ないよねっていう思考からの発言なのかもしれない。騙されるな?自分?。

 

「はい。現在の魔法の使い方ではそうそう生じることはないと思います。今後、魔法の使い方が上達してきて魔法陣が発揮できる威力を超えた威力を扱えるようになります。その時はMSDの核が壊れる危険が十分にありますので、魔法に対して適切な魔力量を供給するように心がけてください。そうすると核が壊れる危険性は下がりますので、安心してください。ただ、MSDの使用頻度が多い方だとその分核が壊れやすくなります。魔法の行使に気を付けても壊れた場合は寿命だと思ってください。」


 魔法陣にはそれぞれ想定された威力があると。その威力を超えて発動することはできるが、核が破壊されるリスクも増す。ただただ、MSDに魔力を突っ込んでいたらいいと思っていたがそれはMSDを破壊するリスクが上がるだけだったようだ。自分もリナと同程度な脳筋スタイルなわけであったが、今度からはその辺を意識して魔法の発動していくか。


「あ、供給する魔力量に応じて魔法の威力や効果が増す話ですが、注意する点があります。皆さんもご存じかと思いますが、異なる魔力を使用しないという点です。例えば、2人で一緒に魔法の発動を行う場合が挙げられます。細かい話は省略しますが、魔力には基底と呼ばれる個人ごとに異なる固有のものがあります。基底が異なる魔力は反発するため、魔法の発動はできません。発動できたとしても、それは入力した魔力量に釣り合わないほどの効果が無いものとなりますので、異なる魔力で魔法を発動する価値はないと考えてください。」


 異なる魔力で魔法発動とか聞くと、どこぞの大きなお友達が大勢いる幼女向け番組で力を合わせて魔法発動する場面を彷彿とさせるけど、この世界ではそれが許されないのか。かなり悲しいな。ロマンあふれるのに。


「この学校でも、魔力エーテルと自身の魔力を用いて自身の魔法の威力向上を目指した生徒がいましたが、事故を起こして亡くなってしまいました。もう一度言いますが、異なる魔力で魔法は発動できませんので気を付けてください。」


 かなり本気の注意だな。過去の事故の例を持ち出されるとかなり注意しなければという気持ちになるな。亡くなった方は動機が闇落ちしたプイキュア的発想だからきっとプイキュアになりたかったんだな。涙ぐましいな?

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