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21 サリアと模擬戦

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

 戦闘演習も後半に差し掛かったが、すでに自分は完全に暇をしていた。おかげで、無心でナイフを振っているやばい幼女になっている。


 無心でナイフを振るようになるまでは、クラスメイト達の戦闘スタイルの分析や使用する魔法についてぼんやりと見ていた。それぞれのMSDに特化した戦い方を繰り広げているわけであるが、そのほとんどが粗削りの物である。しかし、サリアを除いた2人ほど動きがいい子がいた。


 1人目は兎人族のリナだ。軽く挨拶を交わした感じは活発で明るい可愛い子だ。髪は薄い水色で長い髪はポニーテールでまとめられており、そこから見えるうなじはとても健康にいい。はい。背はサリアよりも少し低いくらいで、ロリエルフの自分からすると高い。胸もそこそこあるような気がしなくもない。もちろん自分よりもある。

 戦闘スタイル的は見た目に反して、パワーとでごり押すような戦闘スタイルであり、今も手にした体に不釣り合いな大剣をいともたやすく扱っている。パワーがあるから攻撃が遅いと言ったら普通であるが、彼女はそうではなく、パワーと俊敏が両立している。

 ただ、中々に戦い方が脳筋なので、その俊敏さが生かし切れていない。


 2人目は猫族のシルフィアだ。初めましての挨拶を交わしたときは、中々に表情が薄い上に少々怯えていた?のでつかみづらい子という印象を受けた。人見知りだろうか?。だが可愛い。髪は薄いピンク色で鎖骨までの長さがあり、ポニーテールでまとめている。非常に健康にいいうなじを見せてくれている。さらに健康になってしまう。背はリナよりも小さく自分よりも大きいくらい。胸の大きさはどちらかというとサリアよりではなくこちら寄りだ。

 戦闘スタイル的に彼女は後衛職でヒーラーなのだろうか?攻撃手段があまりないものの、戦況をとらえる状況把握力や洞察力に優れ、素晴らしい回避能力を見せている。圧倒的回避力。ドッジボールで絶対当たらない子がいるとすればこの子の事だろう。

 ただ、回避ばかりするものだから模擬戦の相手は早々にいなくなったみたいで、今は黙々と魔法の練習をしているようである。


 2人ともにサリアほどはずば抜けてはいないものの、クラスの平均戦闘力というか戦闘スタイルの完成度的には高く、彼女たちが持つ能力も高い。もしもパーティーを組むのであればこの2人を誘いたいと思う。そんな場面があるのかどうかも知らないけれど。


 虚無な顔でナイフを振り続ける自分ではあるが、腕の体力値が低くなってきてつらくなってきた。

 

「そろそろ休憩でもするか。」


 背を壁につけて脚をのばして地面に座り、楽な体制をとる。ナイフを振り回して火照った体の熱が壁に奪われていき、ちょっとした気持ちよさを覚える。ふぃー。熱が奪われる感覚が気持ちいいな。

 それに加えて装備の胸元をパタパタと扇いで服の中に風を送る。汗を吸ったインナーが冷たく感じて良い感じだ。風魔法とか使ったらブリザードとか?使ったら結構涼しくなるんだろうけど、風情がないなぁ。とはいうものの、その魔法が使えたならば使うんですけどね。

   

 そんな感じで溶けていたところ、クラスメイト達をぽこりまくっていたサリアがやってきた。


「カオリちゃん、休憩中?」

「そう、ナイフ振り回して疲れた。こうしてると、涼しくていいんだ~」

「顔が溶けちゃってるね~。何をしたらそんなに疲れるの?地面になんか模様ついてるし」

「模様?」


 さてはて?何のことだろうか?サリアが指さす先は先ほど自分が立っていた場所だ。

 立ってその場所を確認すると、円の中心から風をかけて表面の砂を飛ばしたような感じと言えば伝わるだろうか、中心から一定距離の表面の砂がなくなり、それらが移動して円状の砂山をなしており、固く締まった地面が見えている。

 なにやったらこんな感じになるんですかね?自分はナイフを振ってただけですよ?無心で。まさか、ナイフを振り下ろした風圧だけでこうなるとは思わないし...?そうだよね?そんな速さで振ってないよね????。


「確かに模様になってるけど、覚えがないな?」

「風魔法でも使った後なのかな?普通に剣を振り回していたらこうはならないし、カオリちゃんって風魔法使えたっけ?」

「え、使ったことないよ。正体不明のミステリーサークルかなぁ?」

「なんか気になるなぁ。」


 自分自身も無心でナイフを振ってたので記憶にないが、某バーチャルシンガーの世界の歌姫的な娘がネギを高速で振るような感じだったのだろうか?。あまりにシュールな感じだ。自身の名誉のためにも深堀はしないでおこう。


「そういえば、サリアって声かけてた子との戦いは済んだの?」

「もう済んじゃった。みんな戦いに慣れてないみたいで、戦闘が長く続かなかった感じ。」

「そりゃもう、サリア無双してたよね。とてもいい動きできれいだったよ」

「そう面と向かって言われると結構恥ずかしいね。ははは。」

「しかも、その動きときたらまるで演舞をしてるかの如く華麗さをもちあわせ~」

「も~、恥ずかしいからそれ以上言わないで~!もしかして、からかってる?」

「あ、ばれた?でも、きれいな動きだったのは本当だよ」

「...ありがとう。」


 サリアはもじもじとして、気を紛らわそうとしているようだ。あまり、人から褒められたことが無かったんだろうか。それとも、自分の言い方が変だっただけ?気にし過ぎか。


「カオリちゃん、からかってくれたお返しするから、模擬戦、覚悟してね」

「は、はぃぃぃ。覚悟します。あ、休憩はもう大丈夫だけど、模擬戦始める?」

「私も軽く休憩できらから大丈夫。始めよっか」

「はじめましょ~。戦い方とかに制限をつけたりする?」

「そうだね...。剣で打ち合う時に魔力刀だけはやめておくのはどう?」

「確かに打ち合ったらどっちかの剣がボロボロになりそうだし、賛成。」


 自分とサリアは壁際から離れて、それぞれ少し離れた場所に移動する。脚のホルダーからナイフを取り出しいつでも戦闘開始してもいいように構える。さて、サリアはどんな戦い方をしてくるか。楽しみだ。


「サリア、こっちは準備万端!」

「なら、カオリちゃん、行くよ!」


 まずサリアは、風属性の基礎魔法のウィンドウカッターを自分めがけて放ってきた。基礎魔法で発動もそれなりに早く、射出スピードも速い。並みのクラスメイトだと、避けるのが精いっぱいだろう。避ける際に生まれる隙を見越してか、詰め寄って接近戦に持ち込もうと近づいてくるのが見える。

 でも、そうはいかない。ウィンドカッターを横に避けて回避しつつアイスニードルを発動してサリアの足元に向かって氷柱を射出する。

 サリアは、足元ではなく自身に向かって攻撃が来ると予測していたようで、回避するまでにの間が空いたが、自分の攻撃を難なく避けて自分に詰め寄ってくる。ならば、こちらも接近戦と行こう。

 体の力を抜き、低い姿勢のままサリアに向かって駈け出す。手に持ったナイフは前の方で構えて、魔法や彼女の短剣による攻撃が来ても大丈夫なように構えたままだ。サリアとの距離は5mもない、どんな動きをしてくるか。


 彼女は駈け出した自分に反応して、水魔法の基礎魔法であるウォーターショットを自分めがけて放とうとしている。しかし、発動が自分のスピードに間に合っておらず、自分は難なくサリアに近づくことができ、サリアを間合いに捉える。

 サリアは、魔法の発動を諦めたようで、魔法補助特化MSDではなく物理攻撃が可能な短剣のMSDを手に持ち中段で構えている。その構えから予測するに正面からくる攻撃をいなすのだろう。正面から行くと何か次の攻撃が用意されているのだろうから、わざわざ正面に突っ込んでいく必要はない。

 自分は正面から攻撃せずに側面を取るように地面を這う。サリアは予測が外れたのか、意表を突かれた表情をしており、横からくる攻撃に備えようと身をよじって防御態勢を整えようとする。だが、自分の方が2テンポほど速い。

 サリアの側面をとった自分は低い姿勢から、ぬるりとサリアの脇腹にナイフの刃先を突き付けた。サリアは、剣を持つ手の握力を緩め、降参の合図をする。


「ま、負けましたぁ。カオリちゃん、さすが、物理戦闘メインなだけあってめちゃくちゃ強いね」

「それほどでも?」

「しかも、足元に放ってきたアイスニードルも発動スピードがとても早くてびっくりした。実は魔法戦闘も余裕でこなすんじゃないの?」

「限られた魔法しか使えないからなかなか難しいかな? 発動できるものだけでも極めようかなって練習してる感じでまだまだ修行かな。サリアの魔法も的確で中々よかったよ」

「そうなのかなぁ?なんか軽くあしらわれた気分なんだけど。もう1戦お願いできる?」

「1戦とは言わずいくらでも。」


 模擬戦を行って思ったが、魔物狩りでは魔法を大量に使っても尽きることはなかった膨大な魔力量と魔法を扱うスキルの高さから、サリアは魔法で遠距離攻撃を行うタイプに適していると思うが、近接戦闘が異常にこなせる点が気になる。遠距離攻撃タイプは遠距離攻撃を練習していくために近接戦闘が苦手というのが一般的な話だ。しかし、サリアはそうではなく、また接近戦闘に対する関心も高い。

 一般的な戦闘スタイルから大きく外れているため、何か目的をもってこの戦闘スタイルをとっていることは明らかである。それに、模擬戦をしている際の彼女の表情はかなり真剣だ。昨晩の事件後は気を紛らわそうとテンションを上げていたが、魔物と対峙したときの体から出る雰囲気は事件前と比べて鋭い物があった。その雰囲気に近いものをサリアとの模擬戦の最中に感じている。そう考えると、サリア独自の戦闘スタイルは、昨晩の魔物狩りの事件で思い出した記憶に関連しているのだろう。

 

 益々サリアの過去が気になってくるが、その記憶をつついてしまっては、深く打ち込まれた記憶の楔がさらに強力なものとなって彼女を縛るものとなるかもしれない。今はただ、静観するのが一番だろう。こういってはいるが、自分にはその話を聞く覚悟がない。その話はかなり深い話だろうから、それに対する助言は、サリアのこれまで歩んできた道筋だけでなく、これからの未来にも関係するだろう。

 自分は人の過去に対して適切なアドバイスを与えられるほどの経験も知識もない。そんな自分は一体サリアに何ができるのだろうか。聞いたとして、何も助言を与えることができないだろう。聞くだけ聞いて終わりなんてことはさみしい物がある。そんなことをやるくらいならばいっその事聞かない方がマシだと思う。


「カオリちゃん、何ぼーっとしてるの?来ないなら、こっちから行くよ!」

「え、ちょ」


 サリアさん、サリアさん。今かなり真剣に考えてたんですけど???シリアスぶち壊すのはありがたいですけどおお???

 サリアがこちらに鋭い攻撃を仕掛けてきているけれど、彼女の表情はそんな攻撃や彼女が纏う雰囲気とは違って何だか楽しそうである。なんか、色々考えてこっちが損をしているような気がするな?もう、気にしてなんてあげないんだからね?。とか、ツンデレチックなことを脳裏に浮かべつつ、サリアの攻撃に対処するのであった。

____________________________


 そうしてサリアとの模擬戦闘を4回ほど行ったところで、そろそろ魔力使用の限界に近付いている。この限界を超えると普段は碧眼の眼が紅く光ってしまう厨二的な見た目となるのだが、その眼を見られることは問題になると自身の勘が告げている。

 しかし、そんな考えもつゆ知らず、サリアの猛攻は止むことが無い。サリアって他のクラスメイト達と模擬戦もやってましたよね?元気すぎやしませんか?魔力が多いだけでなく体力も多い感じですか?もしかして、人間辞めはじめてます?


 戦闘のペースを遅くしていき、魔力と体力が尽きましたアピールをする。いきなり、戦闘をやめるよりかは自然な流れとなって気づかれにくいだろう。

 ペースをゆっくり落とし続けてた結果、サリアからの攻撃を凌ぐのがやっととなった。それを見てサリアは気になったのか攻撃を止めて話しかけてきた。


「カオリちゃん?そろそろ限界?」

「そうみたい。魔力も残りが少なくて」

「それじゃあ、今日はここまでだね」

「そうしてくれると助かるかな。サリアはまだまだ元気そうだね」

「んーそうだね~。あと5戦くらいはいけるかな」

「サリア、体力多すぎって言われない?」

「そういえば、模擬戦してたら言われたかも。ギルドの中だと体力は無いほうなんだけど」


 そうしてサリアとの模擬戦を終了する。サリアと自分は再び壁際に行き、休憩をとることにした。

 ふぃー。やっぱり動くと暑い。機能的な戦闘服とは言え、暑い物は暑く、汗も出る。大丈夫かな?汗臭くないかな?自身の汗のにおいを嗅いでみるか。


「んー。フローラル。」

「カオリちゃんなんか言った?」

「いや、何にも言ってないよ」


 柔軟剤などの人工的ではない自然な甘い香りが鼻腔をくすぐる。うーん。匂いが気になるか気にならないかで言うと気にならないレベルだけど、何でこうも甘い香りなの?まあ、刺激臭で強烈な感じではないので悪くないし、むしろいいかなと思っている。このアバターというか容姿というかを用意してくれた女神さまの嗜好なのだろうか。そうであれば気が合うな。二次元の可愛い女の子はどこを嗅いでもいい香りがするという物だ。知らんけど。


「なんか、カオリちゃんからいい匂いがする~。洗剤はなに使ってるの~?」


 その匂いは体臭だから踏み込まないで~。二次元のヒロインとかが「ごめんね、汗臭いよね」という発言に対し、主人公が「いいや、気にならないよ。むしろいいと思う」とか言われるとどんな気分かが分かる気がする。

 一言余分よ?その発言の代わりに、タオルを自然に渡すといいと思うよ?汗フェチの皆さんはそのタオルでお楽しみができて一石二鳥だな?。

 自分の汗と言うのは憚られるので、ごまかすことにする。こういう時はウィンクして、口元で人差し指を立てて、おしとやかに、こう言うのだ。


「...秘密です」


 そうすると相手の追及は躱せるものだ。だが、精神は男の自分にとってはその代償として素晴らしい精神ダメージが入るのはお約束だろう。


 そんな自分の言動を受けてサリアは、


「かわいすぎるうう!!」


 ギルドの受付嬢のミカさん顔負けのテンションの爆上げ具合と、こちらの汗を気にせず抱き着くのであった。回答を躱せたのはいいけれど、これでいいのだろうか?。

 そんな自分の問いに対して、サリアの素晴らしい双丘と彼女から香るいい匂いに包まれながら自身の問いに答えるのであった。

 これでいいのだと。

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