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20 戦闘演習

(略)稚拙な表現等々、目をつぶっていただけると幸いです。

 昼休みが終わり、午後の授業である戦闘演習のために演習場にいる。

 演習場は複数の区画に分かれており、Hクラスには1区画が割り当てられている。Hクラスは50人近くいるものの、サッカーコート半面ほどの広さがあるために魔法や戦闘の練習をする場所がないということもない。はずである。床は土でできているようだが、周りは白い耐魔法壁?みたいなものでおおわれており、かなり頑強なつくりであることがうかがえる。さすが演習場と名を冠するだけはある。多少暴れても問題はなさそうだ。

 戦闘演習はこの戦闘演習は、各自が自由に魔法やそれを使った模擬戦などを行うことによる自己研鑽の時間となっている。魔法の行使や自身の戦闘スタイル上で困ったことがあれば、監督する先生に意見をもらったり指導を受けたりすることができる。

 

 向上心の塊のような人にとってはいい時間となるのかもしれないが、自分にとってはちょっと退屈な時間となりそうだ。というのも、色々訳があって、魔法を使った戦闘においては水属性の単一放射魔法であるアイスニードルくらいしか使うことができない設定だからだ。そのため、複雑な魔法を練習する時間ではなく、アイスニードルをいかに使いこなすかという時間となる。しかし、その使いどころも魔物ぽこぽこ祭りによって把握しており、放射系魔法の練習についてやる事はない。

 また、自身の物理攻撃武器である物理攻撃が可能なナイフ型MSDの使い方についても、家の周りの魔物を狩りまくったりしたおかげで扱いにも慣れている上に、戦闘スタイルもある程度固まっている。

 そのため、いよいよやる事が無い。無駄に魔力刀の練習でもしていようか?。いかに魔力の消費を抑えつつ、魔力刀としての切れ味を維持するかについて練習するのもいいな。

 

 そんなやる事が限られており若干虚無になっている自分の周りには、やる気に満ち溢れたクラスメイト達がいて、エルバ先生の話を聞いている最中にでも動き出しそうな感じが見て取れる。


「と、説明は以上になります。皆さん、ケガに気を付けて演習を行ってくださいね。」


 先生の話が終わると同時に、先生に駆け寄るものもいれば、我先にと場所を取りに行く者、模擬戦をしようと話す者など各自思い思いに動き始めた。かくいう自分はというと、隅で邪魔にならないように練習するために、良さそうな場所を見渡して探している。

 おお、出入り口から遠いところはやっぱり人が少なくていいな。そこら辺に行くとしよう。もし、サリアが暇してたら誘うとしよう。その場合何するんだろう?やっぱり模擬戦だろうか? 

 サリアの方を見てみると、サリアもちょうどこちらを見ており、視線がぶつかった。


「サリアさんよ。どうしたの」

「近接戦闘メインの模擬戦してみたいなって思ってて、相手のところに行く前に一声かけておこうとしたとこ」

「それはまたご丁寧に。」

「カオリちゃんにも相手してもらえばうれしいなと思ってたけど、何か練習したそうだったし、お邪魔しちゃ悪いかな?。」

「魔力刀の練習でもしようかなって思ってた感じだけど、サリアとの模擬戦だったらそっちの方がうれしいかな。」

「え、いいの?じゃあ、お願いしちゃおうかな。」

「こちらこそお願いしちゃいます」

「私は声かけてた子たちと模擬戦してくる。カオリちゃんは一番の最後の相手ね」


 何だろうか。どことなく語感から期待を感じるのだが。おいしい物を最後まで取っておくようなタイプなのだろうか。自分なんて食べてもおいしくないと思うのだが?


 そうしてサリアは模擬戦を行いに相手の下へ駆けていった。


 自分は当初の予定通り、出入り口から遠い場所で魔力刀の練習をすることにした。とは言っても、魔力刀で何かを切らなければ切れ味を確かめることができないが、魔力刀で切るものが無い。壁や地面を切りまくってもいいけれど、絵面が完全に変人だ。変人扱いされて興奮する趣味は無いので素直に物を切りたい。せめて、人前で使うことができない自分の能力で生成できれば...。


「あ。アイスニードルがあるな?。」


 入学試験ではMSDを使ったアイスニードルは耐魔法壁?に穴をあけるくらい固い物だったので切りごたえがある。さらに、アイスニードルで生成される氷柱の飛翔速度を限りなく0にすることで、中でほぼ固定した中で切ることができる。我ながらいい考えだ。 

 そうと決まったので、とりあえずめちゃくちゃ固い氷柱が”めちゃくちゃ遅く飛翔しているような”想像をしてアイスニードルを発動させる。魔力が空中の一点に集まり変質して氷柱が生成された。氷柱はほとんど動いておらず空中に静止しているようにも思える。とりあえず、斬る物を作ることは成功だ。後は、ナイフで氷柱を斬るだけ。魔法なら生成したものは勝手に消えるし、後片付けもしなくていい。これほど都合の良い練習があるだろうか。いいや、ないだろう(確信)。


 氷柱を見定め、自身の脚にあるホルダーからナイフを抜き、魔力刀を発動させた。その際に、ナイフの刃にだけ魔力を集めるようにした。切れ味が必要なのは刃だけであるので、ナイフ全体を覆う必要が無いのではないかと考えたのだ。


 手に持ったナイフをまな板に乗った大根を切断する要領で氷柱に向かって振り下ろした。ナイフによって氷柱が真っ二つに割れるかと思われたが、ナイフが氷柱に触れて力がかかった瞬間、氷柱が砕け散ったのである。そして、砕けた瞬間にピリリとした謎の感覚が自分を襲う。

 氷柱は砕け散ってしまったが、わずかな手ごたえを感じたので切れ味?を確認する当初の目論見は成功した。だが、気になるのは氷柱が砕けた瞬間に発生した感覚である。


「この感覚 is 何?」


 疑問に思ったので、今度はアイスニードルの”飛翔速度が0”のイメージではなく”初速が0”のイメージをして同様に切断を試みる。すると、生成された氷柱は生成された場所から自由落下を始めたので急いでナイフで切った。氷柱が砕け散ることは変わらないものの、謎の感覚が自分を襲うことはなかったが、壊れたという感覚は伝わってきた。


 得られた2回の結果をまとめると、速度のイメージの仕方だけで謎の感覚に襲われるか否かが決まるということだ。飛翔速度のイメージで速度をほぼ0とすると、氷柱はその地点にほぼ固定される。一方で、初速のイメージで行うと自由落下を始める。重力下において物体を空中にとどまらせるためには重力による物体にかかる力とその秒数だけのエネルギーが必要となる。つまり、飛翔速度のイメージの場合では氷柱に対して重力に逆らうような魔法がかかっていることになる。


「そうすると、魔力のつながりで謎の感覚が伝わっている?」


 MSDを使った魔法行使するときは、MSDとの魔力的なつながりを感じており、希薄ではあるが魔法を発動して生成された物に対しても感じる。恐らく、氷柱が破壊された反動がその魔力的なつながりによって伝わってきたのだろう。

 そう考えると、氷柱に与える速度のイメージによってその反動が変化したのは、魔法の発動中か発動し終わったかの関係で魔力的なつながりが大きく変化したためだろう。発動し終わった氷柱にもごくごくわずかな魔力的なつながりを感じるが、発動中ほど大きなものではないため、相対的にかなり弱いつながりとなる。そのため伝わってくる反動も少ないという訳だろう。

 

 一方で、魔力のつながり的に魔法をメインで操っているMSDと魔法によって生成されたもののつながりはかなり強いはずだ。魔力的なつながりの強さにとって反動の伝わりやすさが変わってくるとなれば、MSDが感じる反動は自分が受けたものよりも、とてつもなく大きい物である。それはMSDに大きな負荷をかけていると考えられるので、その衝撃を受け続けると負荷が蓄積して壊れてしまうだろう。そう考えると、当初の魔力刀の練習方法では魔法で生成した氷柱を斬るという練習メニューであったが、MSDが壊れてしまう以上、メニューを見直さなければならない。


「うげ、面倒くさい」


 考えるのが急に面倒になったので、サリアの様子でも見ようかな。

 サリアは闘技場の出入り口付近で戦闘中のようだ。昨日の魔物狩りで見たときのような相手と離れて放射系魔法を放つような戦闘スタイルではなく、相手と近づいて手にする短剣の攻撃と放射系魔法組み合わせた攻撃を行っている。一方で、相手方の方は剣に魔法的なエンチャントを加えて剣から近距離の放射系魔法を繰り出し、時々物理攻撃を行っているようだ。戦況を見る限り、相手方は一生懸命攻撃を繰り出しているものの、サリアはそれを涼しくいなしており、かなりの実力差がある感じを受ける。

 サリアの戦闘を見ていたら視線が合ったので、特に理由は無いけれど軽く手を振っておいた。サリアは口角を上げて相手に視線を戻すと、サリアの猛攻が始まり、程なく相手方のギブアップで模擬戦終了となった。

 さすがサリアさん。戦いながらよそ見するとか、戦闘能力が違いますよ。


 相手方の攻撃の仕方を見ているとその粗さから、入学時点での戦闘能力はそれほど高くないのだろうな。魔物狩りのレベルに例えると、ゴブリンの不意打ちはこなせるが、正面切っての攻撃では微妙といったところだろう。

 ゴブリン程度では難なく討伐できる実力があるサリアにとって、実力に大きな差がある者と模擬戦を行うことに不満は無いのだろうか。少なくとも、接近戦の練習としての効率は結構悪いように思う。とはいえ、彼女なりに何かの策があっての事だろう。とやかく言うまい。


 サリアの戦闘から視線を移してクラスメイト達の戦いぶりを見てみると、中~長距離戦ではアイスニードルやファイヤーボールなどの放射系魔法を使っておりそこそこの威力があることが見て取れる。一方近距離戦では剣に魔法的なエンチャントを施した属性を伴う物理攻撃が行われている。これらをまとめて表現するならば、それぞれ自身が使用可能な魔法で最適な間合いを保つような戦闘スタイルに近い。

 それ自体は問題ではないが、魔法の適切なタイミングでの行使や相手の次の選択肢を狭めるような攻撃などを行っておらず、場当たり的に何とかなるだろ感を伴うような攻撃であり、純粋に戦闘技術が足りない。


 一方、サリアのように自由自在に魔法支援特化MSDと、物理攻撃可能なMSDを組み合わせた攻撃を繰り出し、剣の間合いでも放射系魔法を放つなど、魔法攻撃の間合いにとらわれない戦闘スタイルとなっている。戦闘スタイルは見渡す限りで他になくサリア独自のもので、戦闘演習初日からかなり異彩を放っている。

 さらに、その戦い方はクラスメイト達と比較すると洗練されたものがあり、ちゃんと相手を見て適切な行動をとれているように感じる。それは見る者を納得させるような動きであり、見ていると簡単そうに行っているとさえ見えてしまう。

 クラスメイト達からするとあまりに次元の違う実力であり、その実力がどこから来るのか分析しようと?、クラスメイト達の視線は彼女の模擬戦に注がれている。


 再びサリアの戦闘に視線を戻すと、彼女は相手の死角に潜り込み短剣での攻撃を加えようとしたのか大きく動いた。その際に彼女のスカートは大きく翻った。


「これがサリアの言っていた接近戦か。中々に様になってるなぁ。白か...。」


 さらに、彼女が大きく動いたため、動きに応じて彼女の双丘は揺れており、その揺れの大きさは双丘の大きさと柔らかさを物語っている。サリアに抱きしめられたときはバブみを感じるほどの物であったので今更驚きはしないが、その時の包み込まれた柔らかさを思い出してしまう。

 うん、ロリエルフに転生した甲斐あったな?ありがとう女神様?とか言うと全力で神様がやってきて自分をしばき倒していきそうであるので思っていても言わない。あ、出会った女神様は思考が読めるんだった。もし自分の思考を覗かれてたら終わる。思考を読まないでええええ。


 一部の男子はサリアの姿を見て視線が熱くなっており、色々とやる気が高まっているようではある。一方で、そんな男子を見る女子の視線は草木も凍り付くほどの冷たさであり、視線の寒暖差で風邪をひきそうである。サリアが可愛くてスタイルもいいし、そんな子のスカートの内側やバインバインが見えて興奮するのはいいけど、風邪をひきそうなのでやめていただきたい。

 かくいう自分も熱い視線を送っている一人であるが、表情に出しておらず、ロリ幼女だからか、お姉さま...はぅ...的な憧れの視線を向けていると思われており許されているように感じる。好都合なのでそのように考えさせておこう。

 しかし、サリアまじ可愛いな。

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