2011/6~9 ストーカー女
これから話す物語は……
一人の青年のとある夏の記録である。
その青年は……
心に決意していた。
今日、この場でケリをつける!
この戦いを終わらせる!
この女との!!
――初夏。
異變は始まった……
「肩に髪ついてるよ……長いね……」
こんな事をよく言われるようになる。
僕は髪は長くない。
身近に長い人はいない。
それでも60センチ程はあるであろう黒い髪が、僕の服につくことが多くなっていた……
「髪がボタンに絡まってる……ぐるぐるに……」
そのうちに長い髪はボタンにぐるぐる巻きに絡まるようになった。
それは異常な光景。
周りが見て分かるレベルでぐるぐる巻きにされ、根本が黒くなっていた。
「最近……非通知が多いんだ……」
仕事かもと思い非通知でも取るようにしていた。
決まって無言電話。
ただ、耳をすませば……
女らしき声がボソボソ言っている……
聞き取れない。
仕方なく非通知拒否設定にする。
しかし……
次の日から公衆電話からかかるようになる。
毎日だ。
出掛ける前。
帰宅直前。
寝る前。
毎日三回以上の電話。
見られてる!?
「チャリで二人乗りしてたよね? 後ろにいたの彼女?」
こんな質問が増え始めた。
目撃情報が多い。
ここで改めて説明したい。
僕の自転車は……
超小型折り畳み式自転車。
人なんかタイヤ小さくて乗せれません。
「三名様ですね? こちらの席へどうぞ」
どこのレストランに行っても……
人数が一人多い。
店員さんに違いますと伝えると……
「失礼しました。先程トイレに行かれた女性の方がお連れ様かと……」
誰だ?
女友達に土下座で頼み込みトイレを見てきてもらう。
誰も居なかった。
いつも。
「助手席に最近……内側からの手形がつくんですけど……」
運転してくれる同僚や友人から、よく助手席に乗る僕にクレームが入る。
でも僕じゃない。
手形をあわせてみたが……
僕より大きい。
「疲れてるのかな? 金縛りにあうんだけど……」
最近金縛りになるようになった。
コレは疲れだ。
ただ不思議なのは……
首、手先、足先は動く。
でも体は動かせず、起き上がれない。
何より不思議なのは……
部屋の明かりをつけてても……
昼寝してても……
金縛りにあうと暗い。
まばたきできる。
目をつぶっているわけじゃない。
やはり暗いようだ。
「最近ピンポンダッシュされるんだ! すぐ出ても誰もいなくて……」
かなり高度なイタズラだ。
玄関先で待ち伏せして……
鳴った瞬間に飛び出るが……
やはり誰もいない。
それに……
いつもチャイムの音で吠える犬達が……
このイタズラの時だけ吠えない。
何か分かってるのか?
「仕事場に女連れ込むのだけは……やめてください……」
仕事場からクレームが出た。
仮眠室で寝ている僕が……
女といるらしい……
彼女いない歴史を語りましょうか?
「でも、全員見てますよ! いつも女が多いかぶさってるじゃないですか……」
え?
おおいかぶさっている?
いつも?
イライラしてきた……
金縛りが増えた。
体は重く。
手や足や体は動かないのに……
手先や足先や頭は動く……
女に押さえ込まれているからだ。
いつも暗い。
暗闇だ。
女が多いかぶさっているからだ。
僕は……
彼女を許さない……
生きた人間なのか?
生き霊なのか?
幽霊なのか?
そんなのどうでもいい!
――そして、この日がくる。
いつもの金縛り。
目の前に女がいると意識すれば……
暗闇に見える……
女の目。
僕の顔の前だ。
髪の毛が多いかぶさって暗闇になっていた。
すべてこいつのせい。
僕は……
女を睨み……
一言をはっした……
「どけよ、ブス!」
はぁ~、スッキリ(笑)




