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梅雨のデート
彼女からの誘い…それは、美術館に行くことだった。
彼女の大学院での研究に必要な事らしい。
俺は彼女の助けになるのなら…そんな些細な気持ちで受け入れた。
ぽつぽつ。
蠢く暗く恐ろしい雲達に空は覆われており、今にも雨が降りそうだ。
最近、梅雨に入った。傘が手放せなくなっている。
「あのっ…、美術館はここのね?」
「嗚呼…。」
彼女は、近場の小さな美術館に案内した。
そこに展示してある壺が研究と関係しているらしい。
俺は彼女の後をゆっくり着いて歩いていた。
彼女は俺と会っている時とは違う真剣な表情で壺を熱心に眺めては、サラサラとノートにメモをしている。
何故だろう、この瞬間を描いていたい。
気が着いた時は、小さなスケッチブックに彼女の表情を描いていた。




