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魔法使いの雑貨屋  作者: 狸寝入り
《第三章 双子とアメジーナの秘法》
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雑談

「レミさんっ、これ! これ美味しいですっ」

「そんなに喜んで食べて頂けると作った甲斐があります」


 お弁当を上機嫌に食べるフィリアの様子をレミアータが楽しそうに眺めている。

 かなり多めに作ってきたはずだが、それらがきれいに無くなっていく様は見ていて気持ちがいい。


「あ、そういえば前々から気になってたんですけど」


 フィリアは話しながらも芋の揚げ物をフォークで突き刺す。


「何ですか?」

「まもうぉってなん、れおなりまもうぉろうしれ…、うっく、たたかうんれふかね」

「何を言っているのか分からないので口の中の物を飲み込んでからにして下さい。行儀も悪いですから」

「う、くっ…。ふー、すみません。あまりにもご飯が美味しくて。えっとですね、魔物って同じ魔物どうしなのにどうして戦うのかなぁって思って。

 倒した相手を食べるっていうなら分かりますけど、さっきの2体なんてライガンは岩なんか倒しても食べれないのに、臨戦態勢に入ったから不思議だったんです」

「なるほど。確かに知らなければ不思議に思うでしょうね」


 普通ならば一撃もらったあとにすぐに逃げ出すことを優先してもおかしくはない。しかしあのライガンはロレムスに向かって行った。

 フィリアの疑問にレミアータが得心がいったように頷く。


「あ、やっぱり何か理由があるんですね」

「ええ。魔物などは学者の方々が研究していますから、魔物同士が争う理由はある程度は解明されています」

「はぁー、すごいですね、学者さんって。……それで何で魔物同士で戦うんです?」

「魔物は闘争本能の塊です。故に争うのはその性質上、仕方がないのですが、それにはもうひとつ理由があるそうです。理由というのは、相手の魔力マナを吸収するためだそうですよ」

「魔力を吸収…?」


 耳慣れない言葉にフィリアは首をかしげる。


「はい。魔物は倒した相手の魔力を体内に取り込むことができるらしいです」

「はぁ…。でも取り込んでどうするんですか?」


 魔法使いであるが故に魔力を取り込むという作業がしっくりこない。その上、取り込んだとしてもその用途がフィリアには想像がつかなかった。


「魔力を取り込むほどに、魔物としての力が上がるようです。

 もちろん位階クラスが変わったりなどはしないようですが、同じ種類の魔物でも他の魔物の魔力を取り込んでる個体とそうでない個体では力が全く違うそうですよ」


 軽く言っているような気がするが、それにはフィリアは驚愕した。

 魔物同士で戦って強くなっていく。強くなった魔物はさらに他の相手と戦って強くなる。それではまるで蠱毒のようだ。


「……魔物ってものを作った誰かは趣味悪いですね」

「神話では魔物を作ったのは我らが神の1枝だそうですから、あまりそういう事を言わない方が良いでしょう。教会に睨まれますよ」

「うぁー。確かにそうですね、気を付けます」


 フィリアは信徒ではないが、神こそが至上としている創造教会を向こうに回したくはない。


「とりあえず、ささっと残りも食べてしまいましょう。そのあと少し休憩を挟んで王都に戻るということで如何ですか?」

「賛成ですっ。鉱石も充分集まりましたしね」

「充分というか、少し多すぎるような気もしますけれど」


 ポシェットの中に入っているはずの小山を思い出して思わず苦笑いを浮かべるレミアータ。

 しかしそんな彼女の様子も気付かないほどにフィリアはお弁当に夢中だ。


「飲み物、用意しておきますね」

「ふぁっ! ごめんなさい、ありがとうございますっ」


 あまりにも美味しそうに食べるフィリアに、レミアータは喉を詰まらせないようにとお茶を取り出して携帯用コップにそれを注ぐ。


「野営は外でしたほうが良いでしょうね。この建物は比較的安全とはいえ、休むには気を張りすぎます」

「んぐっ、……そうですね。少しくらいの休憩ならいいですけど、わたしもここで眠る気にはなれません」


 壁に囲まれているが、建物の外からは力のある魔物の気配が絶えない。こんなところで野営をすれば、いらぬ精神の消耗がある。

 野営の場所を昨日と同じあたりに決めると、フィリアたちはお茶をすすった。

 次回からは物語を進行する予定です。

今回は少し理由付けの説明回でした。

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