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第82話 機関銃

名前だけが決まった新規建造艦となる駆逐艦には機銃を積むことにした。機関銃を開発するように言ってからあまり時間が経ってないように感じるけど、機関銃っぽい奴は完成したし、フランス人の中にガトリング砲や機関銃の知識を持つ人間がいたからだ。フランス人の技術力に万歳と言いたいけど、単に日本が遅れ過ぎているということだから素直に喜べない。


空母に関しては保留することにした。まず内燃機関を導入した船を完成させてから、研究を開始するか判断するべきだろう。初風型駆逐艦は、12隻を建造予定で本州では7隻、九州で3隻、朝鮮半島で1隻、台湾で1隻を建造する。造船所の数が多いし、同じものを生産するのは得意だから将来的には週刊空母とか出来そうだ。


設計に3ヵ月ほど見積もるなら、来年の今頃に初風が完成しているのか微妙なところだ。12隻を建造した後は、同じ艦隊にして機能するのかの確認もしたいな。


機関銃に関してはフランス人抜きでも開発出来ていただろうから、開発に関わった人に臨時の休暇を与える。夏季休暇と合わせて10連休でも20連休でも休んで欲しい。その休暇中に改良のアイデアは思い浮かぶだろうし、仕事を与えないことでやる気を引き出したい。


「……機関銃、わりとえげつないな。これを人に向けるのか」

「効果的に人を殺せますが、弾薬の消費量が激しいです」


試作品である機関銃は、容易に複数の人を殺せる兵器だった。側面にあるハンドルをぐるぐる回すだけで、1分に100発ぐらい撃ててしまう。まあ、大砲を開発した時からこういう時は気負わないと決めているから、何とも思わない。


「まずは、各歩兵師団に機関銃は5挺を目安に配備して。後々、数は増やしていくけど、もう少し改良されるのを待つか」

「最終的には、どの程度配備しますか?」

「小隊に1挺が目安だから、中隊で3挺、大隊で9挺だな」

「1個歩兵連隊に27挺ですか。1個歩兵師団に、この機関銃が108挺も……」

「あ、そう考えると多いか。でも最終的に、機関銃は1個歩兵師団に40挺ぐらい配備したいな」


愛華さんと話しながら、機関銃の配備数を決めていく。機関銃は歩兵の新装備でもあるので、歩兵師団の編成が変わってくる。今までと変わらない歩兵連隊と、機関銃を配備した歩兵連隊とに分けて使う感じになりそうだけど、戦時中に上手く行くかはわからない。


……まあ、とりあえず各軍団の軍団長に送り付ければ何とかなるだろう。幸い、今中国にいる軍団長はみんな優秀だ。新兵器を活躍させろと言ったら、活躍させてくれそう。改良の余地は多くあるから、生産数は絞るけど、使えそうなら改良型が完成するまでは生産し続けようか。


「中国と言えば、もう民間人捕虜10万人をオーストラリアに輸送したんだっけ?」

「はい。まだ名誉日本人の規定が決まっていない段階で、早くも中国人の移送が始まっていたようです。この10万人は、ほとんどが働き盛りである青年ですね」

「……まあ、施行前に移動させたなら仕方ないか」


中国での戦況に関連した話だけど、投降した民間人の内、働き盛りの10代20代の男性をオーストラリアへと運んだらしい。10万人という数は多く感じるけど、今の中国の人口が1億3千万程度なのでそれと比べたら少ない。


オーストラリアには鉱山が多く、人手はいつでも歓迎という状態だ。牧畜も盛んなようだから、食い物には困らないはず。


「オーストラリアって、鉄鉱石と金と牛肉のイメージしか無いや」

「概ねそのイメージで正しいと思います」

「愛華さんは、オーストラリアに行ったことあるの?」

「いえ、行ったことはありませんが……オーストラリアから京都へ運ばれる物資の上位3つは鉄と牛肉と金です」


オーストラリアに関する知識は、それほど多く無い。オーストラリアと聞いて、真っ先に思い浮かぶ言葉がグレートバリアリーフだ。金は大量に発掘しているようで、今の日本国内では金の装飾品を多く見ることが出来る。オーストラリアの鉄は艦船に利用されているし、日本にとって重要な領土と言っても良いだろう。


原住民のアボリジニがどうなったのかは知らない。駆逐されているか、日本人化しているか、どちらかだろう。18世紀半ばから、日本はオーストラリアへの移住を始めている。基本的に原住民の捕獲は推奨され、男性は開拓のための強制労働を強いられる。女性は、言わなくてもわかるだろう。イギリスによる植民地化と、どっちがマシだったのかはわからない。


イギリスによる虐殺によってアボリジニは100万人近い人口が数万人になっているはず。一方で日本による支配では、混血人が100万人以上生まれて、その子孫たちが今では500万人以上になっている。しかし、日本による支配によってアボリジニの文化は消失した。音楽や芸術に理解が無い俺でも惜しいと思ったから、詳しい人達から見れば人類の大きな損失なのだろう。


……まあ、過ぎたことは取り戻すことも出来ないからうだうだ考えるのは止めよう。これから消えようとしている中国の文化を、消さなければ良いのだ。個人的に、中国の文化で保護するべきなのは料理だけだと思っているけど。中国は何回文明リセットしているのかわからないぐらいだし。


「保護する文化、ですか。では衣服の作り方と、音楽は楽譜で保存しましょう」

「今度の予算会議のついでに、文化の保護についての話し合いもよろしくね?どんな形でも良いけど、後世には完全に近い形で残したいから」

「……かしこまりました」


愛華さんが紙媒体に文化を残そうとしていたので、豊森家内での話し合いで解決するように促す。愛華さんに文化保護の政策を考えさせると、中国語で現存する書物を全て日本語に翻訳して保存する、ぐらいのことはしそうで困る。


一応、中国国内で接収した貴重な代物は丁重に取り扱うよう、指示を出しておこう。特に書物が残っていたら、大切に扱いたい。高価な装飾品は国内でオークションという形になりそうだから、買い取った人が保存してくれると思っておこう。流石に高値で買い取って丁重に扱わない、ということは無いと思いたい。

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