第74話「魅了の罠」
豊穣の女神スティングローズの顔をした、別人。
「俺の手駒が勝手に動くんじゃねぇよ!!!《チャーム・ローズ》!!」
ローゼリアの背中から光り輝く美しい薔薇が現れ、その光は防具鍛治ギルドの全体に照射された。
「見るな!!!」
低音のがなり声が部屋に木霊する。ピースターとやらの声だ。
目が開けてはならないらしいこの状況を都合の良い囮として扱ったローゼリアは次々に部屋にいるたわしの分体を捕縛していく。
「どれが本物だァ?」
「「「へ???」」」
数匹の分身のたわしが実体のたわしと同じ声を上げる。
その瞬間茨の棘が巨大化して、たわしの分身を貫いた。
それを見たローゼリアは舌打ちをして周りにいる人々を手当たり次第に捕縛していく。
「ノイム!出てこねぇならコイツらを殺すぞ!!!…ッチィ!何故動ける!」
捕まったメンバーは早々にローゼリアにターゲットを切り替えて魔法やスキルを発動させてローゼリアの思考を鈍らせた。
「《チャーム・ローズ》は対象に視点をロックさせる技!!ローゼリア以外見えなくなってそれ以外の敵の動きが見えなくなる!!魅了耐性が無ければそのまま魅了です!!」
捕まったメンバーは元々ローゼリアの支配下にあった人々だ。ローゼリアのやり方はよく知っているのだろう。
《チャーム・ローズ》を見てしまった人はローゼリア狙いに切り替えて攻撃を行っている。
ローゼリアは魅了耐性防具を戦闘に参加している大部分がつけていることで得意の魅了が効かない事に、焦っている様子が表情から伝わってくる。
ゲーム時代には存在しない装備なので髪を結んだり防具の下に装備する等でどの防具が魅了対策か分かりにくいのも功を奏しているようだ。
「旅芸人はローズドラゴンをローゼリアから引き離す為に《スポットライト》を使って"タゲ下がり!"ローゼリアに捕獲された旅芸人はローゼリアに対して《スポットライト》を!
決して生産組に近づけさせないように!」
ピースターが方々に指示を飛ばす。
彼はローゼリアの薔薇を視認してしまっているようだが、目線がローゼリアに向いてしまうだけで思考まで誘導はされないようだ。
現状チーム桃桜の葉と分断されている混戦の中、たわしに出来る事といえば今はこれだけ。何かあった時に備えて全体を見なければならない。
「とりあえず生産組の為にたわしのストックを増やさねばな。《分身》《身代わり》……うっ?」
ぐらりと頭が下に振れる。HPを意識するとすでに半分ほど消費してしまっているようで、回復を行わなければ一撃で死ぬレベルに達していた。
「にゃー、まずいまずい、もうキャベ薬草の出番か」
テロルに作ってもらったかざむとの合作、『キャベ薬草』。クッソまずい薬草にキャベツを掛け合わせて味を変えた上に巨大化し、意思を持つというとんでもない生物兵器だ。
試験管の中で飴玉サイズの大きな種がカランっと音を立てる。
パラディール城の内観は土間に絨毯で道を作るという土足文化だ。おかげで種を出したらすぐに根を下ろせる。
「いけ!キャベ薬草!」
生産組を隠すように種を配置して、楽ちんジョウロで水をかける。その端からすごいスピードで天井に届きそうな程伸びるキャベ薬草。
成長が終わるまで10秒といった所か。その10秒が案外長い事に気がついた。
「ッ《サイクロンアッパー》!」
自分を捕獲する為に伸びてくる茨を、赤く染まった呪いの鉤爪装備キリングハンドで切断した。
植物魔法は毒に弱いのか、切断した瞬間に溶けて大元に向けて腐り始める。
……キリングハンドの毒が強すぎるだけか?
キャベ薬草に見せつけると「イヤッ…イヤッ!!」と言ってるような動きをする。しないしない。
3秒に一本はこちらを狙ってくるのでしっかり見切ってキャベ薬草が完成するのと同時に捕食した。
……食べられた瞬間歓喜に打ち震えるドMのようにビクビクするのはどうかと思う……。
「ノイム!守備は!」
鎖を発動させキャベ薬草の花に降り立つ。キャベ薬草の壁で前線が確認出来ないのでタクトパッパが声をかけてきたのだ。余裕が無いのか敬称が抜けている。
「ローゼリアがたわしを探して人質を取ってるのだ!タゲ回しして攪乱させる事で殺されてはいない感じなのだ!今生産組がローゼリア見るとこっちがタゲ取り状態になっちゃうからローゼリアの方は見ないようにな!《チャーム・ローズ》って技なのだ!魅了耐性が無いと魅了も同時付与!」
タゲ下がり、タゲ回し、タゲ取り。
これらはクラバトで頻繁に使用される用語だ。
タゲ下がりは敵に標的にされた時、壁役の後ろに移動し一定の距離を保ちつつ下がる戦法だ。
標的になると一直線に最短ルートで近づいて攻撃の間合いに入ろうとする敵の動きを利用したもので、一定距離に入らなければ攻撃を仕掛けてこないボーナスタイムが発生する。その状態が10秒ほど続くと壁役に標的を変えるので、相手の標的を更新する必要がある。
そこで出てくるのがタゲ回し。
《スポットライト》は標的を自分に移す代表的なスキルだ。それを複数人が使う事で壁役が攻撃されないよう誘導する。
タゲ取りは標的状態を自分に付与したりされたりした時に使う。そんな所だ。
初心者は知る由も無いので、なるべく使わないようにする事もあるが、ここは最大戦闘市場のツードだ。
ほぼ全員が戦略戦闘の経験持ちである。
それを聞いたタクトパッパが生産組に指示を飛ばす。
「《チャーム・ローズ》という技で魅了とタゲ取り付与が同時に行われるようだ。生産に尽力して、問題があればすぐ共有してくれ」
「……パッパ、ローゼリアの薔薇見た時にタゲ取りました」
「!テロルがやられたのは痛いな……他にタゲ取った奴はいるか?」
「タクトさん、《チャーム・ローズ》発現の声が聞こえたのでツードの連中は警戒して見てません。大丈夫です」
たわしを苔玉と宣う鬼人のグッドがタクトパッパに報告を入れる。
「良かった。テロル、前線でローゼリア討伐に加入、標的状態の継続時間が分かり次第ノイムに報告してくれ」「わかりました!」
それらの話を聞いてから前線に視点を戻す。
「ローズドラゴン、流石に強いなぁ」
ギリギリ前線は崩壊していないが、ローズドラゴンは本来『堕神の神殿』に配備されているラスボスだ。
全体攻撃特化で再生能力が高く、12人パーティでの討伐で制限時間は10分という中々の鬼畜難易度だ。
今回はプレイヤーが100人近いのだが、ローゼリアの薔薇によってローズドラゴンに当てられる戦力が大幅に削がれてしまっている。
レイドで対峙するローズドラゴンより小柄だが、それでも脅威である事に変わりはない。
……前線で戦うにいさまは無事だろうか。
異変の光が部屋全体に満ちているせいもあって視認性が若干悪い。
「《雷神の槍》《斧無双》!大丈夫ですか!?」
「《火炎付与》!《火炎斬り》!助かった!ありがとね!」
キャベ薬草の天辺から戦場を視認すると、ローゼリアに囚われかけた人を間一髪で救出したソウルの姿が確認出来た。
「こっちだ!《挑発》!回復受けて下さいね。タゲ下がります!」
ソウルがバトルソルジャーのスキル《挑発》を使用してタゲ下がりが出来ている事を視認して安堵する。
その時だった。
「ローズドラゴン!!!あの緑髪の魚野郎を捕えろォッ!《標的強制》!!」
「!?」
ソウルが想定外のスキルに目を丸くさせている。
ローゼリアの左右で対峙していたローズドラゴンが挟み込む形でソウルを囲い込む。
「兄貴ィ!会いたかったぜぇぇえ!!《ローズウィップ》《茨の檻》ぃ!!」
「っ!分身!にいさまを守れ!!」
無数のたわしがにいさまの肉盾として消費されていく。
「《スポットライト》!!」「《挑発》!っなんで!!」「こっち向けよオイ!!《ヘイトフラッシュ》!!」
沢山のプレイヤーがローズドラゴンに対して周囲がタゲ回しを行っても標的が全く変わらない。
無数の蔓が兄様に迫ろうとしていた。
たわしが乗り込んで植物魔法の迎撃に当たった方が良いかもしれない。
キャベ薬草の種をローゼリアの周囲に投げる。
鎖を発動させてにいさまの近くに飛び上がる。
「お前…っ!!ッ狙いはノイムちゃんだ!来ちゃダメ!!」
「ノイムぅ、約束遅れてごめんなァ……」
たわしに対して無数の茨のムチが襲いかかる。
「(ッ……にいさまが囮になるとわかってる!!?)」
持ち前の器用さでなんとか掻い潜りにいさまの横に移動する。
「わざわざ《挑発》使って見つけやすくしてくれてありがとうなァ兄貴。《茨の檻》《チャーム・ローズ》」
「げっ」
至近距離で視認してしまい目線が強制的にローゼリアに向けられる。
《ローズウィップ》に周囲を囲まれその周りをキャベ薬草ごと茨の檻で閉じ込められる。
「ローズドラゴン、他の相手をしてやれ」
少しの間を空けてたわしは口を開いた。
「……会いたくなかったぞ、マイク」
にいさまの事を兄貴と呼びたわしを探して四六時中狙うコヤツはマイクの顔と同じ特徴を持っていた。
ローゼリアは、この世界にログインする前に遊ぶ約束をしていた、たわしの元恋人だった。
嫌な心臓のバクバク感がたわしを支配する。
「そうか?俺は会いたかったよ、ノイム」
見覚えのある笑い方に、胸が締め付けられた。
ローゼリアはマイクだったんだ。この世界に来た当初、馬鹿みたいにセンチメンタルで会いたかった、たわしの恋人。
「ノイムちゃん、ダメ、ダメだよ」
にいさまの目から粒子の様に細かい文字列が煙の様に噴き出す。マイクとのヨリが戻ってしまう事を危惧しているのだろう。
「会いたかった?ハッ、嘘つきも大概なのだ」
「嘘なもんか!俺はノイムと約束してたのにずーーーっと忙しくてやっとログインしたらこんな状況だったんだぞ!?連絡が出来なかったのはそりゃ申し訳なかったけど」
あーもうダメ、完全にキレたぞ。
「よく回る口だなオイ」
下げた手に装備していたキリングハンドをこっそり太ももに刺して自分に毒状態を付与し足にパワーを貯める。
「何、怖いノイム……俺がどれだけノイムと兄貴に会いたかったか!こっちに来てから大変だったんだ!」
「《サイクロンアッパー》!!!!」
囲んでいた茨の檻を一瞬で腐らせて破壊する。
「チッ!猪が!《ローズウィップ》!!」
「《分身》《腕力強化》《皮膚硬化》《弱点一刀》!にいさま!」
「《雷神の槍》《蒼天割り》!」
茨を囮に攻撃が避けられる。茨のムチが攻撃してくるが、にいさまに当たるものだけたわしが切り落として残りは全て避けていく。
「兄貴!兄貴だろ!!ノイムに変な事吹き込みやがったな!!兄貴の方が嘘ついてるんだよノイム!!!」
「にいさまは!!」
足に溜まったパワーは、ビキビキと筋肉を硬化させる。
「マイクに対する話なんて一切しなかったわボケェ!!!」
般若の様相で己の心臓をキリングハンドでブッ刺して自分を不可視状態にしてから透明な鎖を発動させて跳躍からのライダーキック。
「《圧縮射出》!!」
「ゲハァッ!!!!!!」
見えない場所から突如重たい一撃を腹に決められてローゼリア、否、マイクが吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「本当に会いたかったんならサブキャラで間違えてログインしても『別キャラのフレンドにフレンド申請』で連絡出来ただろうがよぉ〜〜〜!!《タイガーファング》!!!」
「ッッ《ローズウィップ》!!っそれずりぃだろ!!一発当てただけで全部腐り落ちるじゃねぇか!!!」
透明化が解除されて現れたたわしに攻撃が集中する。
「(……ノイムちゃん、マイクが自分の事何も考えてないって、わかってたんだ)」
「口先ばっかの小童に口説かれて浮かれるなんてホントーーーーにどうかしてたのだ!!過去のたわしを殴り飛ばしたいねぇ!!」
スキルを使うと動きに制限がくるので攻撃系スキルは使わない。
「たわしはもう捨てられる側でいるのをやめる!捨てる側になる!!マイク!君とはもうお別れなのだ!!!」
「ふざけんな尻軽女!!なら捨てて見ろや!!!《ローズウィップ》!!!」
「重たそうにしてたから軽くしてやったのだ!感謝し……っにいさま!」
「ッ……っノイムちゃん、マイクを…」
「にいさまを離せ…!!」
やられた、一本だけたわしに差し向けて残りの全部をにいさまに回しやがった!
慌てて茨を切ろうとするも、にいさまがマイク側に引き寄せられて手が届かない。
「ハッ、やっぱデキてんだ?兄貴は捨てられねぇみたいだなぁ!武器を捨てろ、ノイム。魅了耐性の防具を脱げ。」
「……わかった」
《チャーム・ローズ》のせいでマイクから目が離せないが、周囲の音は聞こえる。
ローズドラゴンは1匹討伐出来たらしい。
マイクを2人で相手にしていたお陰か後の1匹に攻撃が集中している。
「ノイムさん!言う事聞いたら絶対他の皆も武装解除させられます!ダメです!」
テロルが説得してくるが他ならぬにいさまが捕まってしまっている。
「それでも、たわしはやらねばならない」
「ソウルさんのせいですよねぇ!《プロミネンス・ファイアボール》ストック!!」
「テ、テロル、今やるとにいさまごと消し炭にされちゃうからまだ待ってくれなぁ…?」
「うー、まだタゲが外れないんですけど!」
「オイ早くしろ!!」
「……とりあえずキリングハンドね〜」
アイテムバッグから装備を外す。
ノイム・フジハ
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種族:ドワーフ
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手持ちの所持ゴールド 150000G
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住所 中都市ランブ住宅村アリス地区5丁目
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Lv3
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HP 550MP 180
攻撃力 210 防御力 340
魔攻力 360 器用さ 801
魅力値 450 素早さ 420
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装備
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武器:キリングハンド(破損データ)
女神カルテットの心を盗んだと言われる冒険神キリングの加護が失われた鉤爪。
血液を吸い取り、アニマルカルテットは呪いのアイテムに変化した。
攻撃した者に状態異常(毒)を付与する。
持ち主は他の武器を装備出来ない。
攻撃力↑180 器用さ↑20
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頭:チェシャ猫アイ(破損データ)
冒険神キリングの加護を失った呪いの髪飾り。
血液を吸い取り、凶悪な笑みを浮かべるチェシャ猫の姿になった。
このアイテムは外す事が不可能。
器用さに補正がかかる。
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胴体上:チェシャ猫ハート(破損データ)
冒険者キリングの加護が失われた怪盗レディのキャッツセーターの成れの果て。
持ち主の心臓を捧げて作られた呪いのアイテム。
血液で完全なる真紅に染まった毛皮に加えて胸元にハート型の穴が空いており情熱的なセクシーさがアップしている。
使用者の心臓を突き刺すと透明になる呪いが付与されている。
器用さと魅力値に補正がかかる
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腕:チェシャ猫バンド(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われた、真紅のバンド。
チェシャ猫の尾を彷彿とさせるようなシマシマ模様が特徴的。
このアイテムは両方の手に見えない鎖を発動出来る呪いがかかっている。
器用さに大幅な補正がかかる。
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胴体下:チェシャ猫チュチュ(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われたシマシマ尻尾付きの赤黒いスカート。
血を吸って呪いのアイテムとなった。
状態異常を吸収する呪いがかけられている。
パンツは残念ながらスパッツで見えない。
素早さと魅力値に補正がかかる。
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足:チェシャ猫ブーツ(破損データ)
冒険神キリングの加護が失われた赤いふわふわブーツ。
野生の力を体現したかのようなその足は、力強く動けるように計算されている。
状態異常を倍にして跳ね返す呪いが付与されている。
素早さと魅力値に大幅な補正がかかる。
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チェシャ猫のセット効果
器用さ↑467 素早さ↑250
魅力値↑270 口兄ぃ(破損データ)
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「魅了錬金は上半身と下半身の装備だよなぁ〜?さっさと脱げ。」
「ふざけるのも大概にしろ!ノイムちゃんは女の子だぞ!!」
「ハッ、1番の足手纏いさんが吠える吠える…クク……」
「(器用さが下がるな。素早さが下がってもいけるだろうか)」
チェシャ猫チュチュの金具を外してスパッツが顕になる。
「スパッツも外せ」
無言でスパッツを下す。
白地に熊さんのアップリケがついた女児のようなパンツがお目見えしてしまった。
「次は上だ」
「ノイムちゃんの裸なんて俺ですら見た事無いのにお前ッ…!!!」
「ただのアバターのお着替えだろうがww」
ソウルから赤い文字霧が吹き荒れる。ブチブチと茨が切れるのを補完しながらこちらの脱衣ショーを楽しむ魂胆らしい。悪趣味な。
ジッパーを下ろして腕を抜き、胸を隠すようにしてから上を脱ぐ。所謂手ブラという状況だ。
「よぉし、いーい子だノイムぅ…《チャーム・アイ》」
ローゼリア、否、マイクの目が桜色に輝きノイムの意志を洗脳しにかかる。
「ノイムちゃんに手を出すな!!!」
「兄貴の前でそのロリボディ、大勢のオス共に見せつけてやろうなぁ…ノ〜イム♡もっとこっちに来い♡」
「ノイムさぁん…言ったじゃないですか……」
躊躇いつつもゆっくり歩みを進めるノイムに絶望的な表情を見せるソウルとテロル。
これから待つ自らの兄への下剋上に、ノイムの元恋人、マイクの心は踊っていた。
「もう完全に手遅れな所で魅了解いて、俺を捨てた事を死ぬほど後悔させてやるよノイム♡そうだなぁ〜他の猿どもの前でストリップした後ポールダンスとかどうだ?」
ニタリと下卑た笑みを浮かべながら彼の瞳の輝きが一層強くなった。




