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第32話「トラップ生成」



パチパチと薪の爆ぜる音が深くなった闇夜に木霊する。


「ヘンゼル……もっと強く……っ」


「グレーテル、これ以上はっ、」


「これくらいで大丈夫ですよ……、しっかり繋がってます」



採取したツタは蜘蛛の巣状に編み込まれていた。


さらにクモノを二重にかけて脱出を困難にさせる仕組み付きだ。



「こんな感じで3つ作って下さい!」



ヘンゼルさんの声かけで指先が器用なプレイヤー達は手を動かし始めた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「仕掛ける場所は海岸スレスレの砂場が良いです、息が出来ないと1分程の窒息でHPが早く削れ始めるらしい、ので」


女性のグレーテルさんが被害者の女性から聞き出した窒息の症状はかなり有利に事を勧められる駒となった。


窒息するとHPは1秒毎に30ずつ削れて行く。

現在のプレイヤーのHPの平均は500の数値だ。


殆んどのプレイヤーが、トラップにかかってから2分程で溺死という計算になる。



なお、マーマンはかなり窒息までの時間が長いのでこの方法は使えない。



「マーマン対策、どうしましょっか……」


ヘンゼルさんが頭を悩ませる。


「どうせなら雷魔法流せばいいんじゃない?」


グレーテルさんが提案する。



「!……んー、なら皆海水に浸からないようにしなきゃ」


板材にカリカリと追加の作戦が書き込まれて行く。


「全部出来ましたぁ!」


キャットシーのまるまるさんの一声でヘンゼルさんが振り向く。


「じゃあこれくらいで!作戦会議始めます!





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「敵が泳ぎか即席船でくるかわからないけど、今作ったトラップは軽く砂かけて浜に隠してください!


発動は船から降りる直前で、転倒したら波に頭が浸かって溺れるぐらいの深さが理想的です!


その後は雷魔法で溺死を狙いつつ大幅に体力を削ります!


海水に浸からないようにして下さい!



あと、まだ相手がどういう出方で出るかわからない今の状況で気をつけて欲しいのは、格闘家の鬼人オーガ男!


対人格闘の経験者です!背中を見せないよう逃げて下さい!


倒した後は蔓で縛り上げてアイス系スキルによる凍結後……、




………砂浜に首上だけ残して尋問を開始します。


どの瞬間も決して油断しないように。この世界での死は現実での死亡だと俺は思っています」


ヘンゼルさんはまだ迷いがある。

尋問の後に決めるということだろう。


「……あとは、早めに寝て夜明けに備えるだけですかね!

さぁ、起きるのは夜明けですよ!」


その一言でみんながそれぞれの宿の部屋へ解散した。



「……俺も寝るかな」


ゲーム時代と違って宿には拡張空間が無いため、プレイヤーは男女別れて各々すし詰めになりつつベッドで寝ている。


人混みは辛いのか、フロントの床にゲーム内家具である布団を持ち込んで寝ている人もいた。


すし詰めになるくらいならとソウルは後者を選択した。


「女将さん夜明け前に起こせるかい?」


「出来るよ」



NPCの宿の女将に聞くと出来ると教えてくれた。


「特別料金で200Gだ」



お金はしっかり取られるようだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ほら、起きな!」


ぽっちゃり魚人マーマンの女将さんの声で意識が覚醒する。


「起きたね、他の連中も起こすかい?」


窓の外を見るとほんのり明るくなりかけの空を見つけた。


昨晩の乱闘など嘘であるかのように、空と地表の境目には何度も画面で見たトージの海が静かに広がっていた。


「あぁ、起こそう、時間がない」


プレイヤー達を起こし、襲撃への準備をする。


まるまるさんは匂いによる探知と見張り。



のりたけさんとその奥さんであるトモエさんは皆に朝食のおにぎりを握っている。


食料不足でもあるので、一人一個。


たったそれだけでも、活力を得るには十分であった。


ヘンゼルとグレーテルは作戦の最終チェックだ。



人を殺してしまう事になるかもしれない。



目立った会話はなく、そこにいたプレイヤーの全ては覚悟を決めようと真剣な面持ちで自らの武器を見つめていた。



大変お待たせして申し訳ありませんでした。

やっと学業が一息ついたので投稿を再開します。

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