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第30話「絆と生存戦略」





全員無事逃げ切った。


救出に携わったメンバーは肩で息をしながら呼吸を整える。




この静寂と闇が満ちる中で心臓はドクドクと音を立てていた。



生きている。




砂がつくのもお構い無しに砂浜に寝転がる。







しばらくして落ち着いたお陰か、救出された女性達は安堵からか泣いていた。




発見が早かったおかげか、口淫だけの被害で済んだ。


それでも、…フラッシュバックには悩まされるかもしれない。




「救出された女性の中にトモエさんとセラさんはいらっしゃいますか?」


「ソウル、さんっ、妻は、無事でしたぁ!」


のりたけさんがドワーフ姿の妻、トモエさんを抱きしめながら泣いている。


トモエさんはのりたけさんの体にしがみ付いて離れようとしなかった。



「あんたっ、もう、絶対、離れない」




涙ぐむ二人を見てもらい泣きしそうになった。




「セラは、私です」


声を上げたのはエルフの女性だ。


青い二つ結びの髪に白い肌、尖った耳と切れ長の目が特徴的な女性だった。


「あなたがノイムさんのフレンドの方ですか?俺はソウルと言います。」


「はい。ソウルさん…もしかして、ノイムさんに頼まれて来て下さったのですか?」


「まぁ、そんな所です」


「…いつか二人にお礼をしなきゃいけませんね」


《フレンドの救出 を達成しました!》


《報酬は自由です》



「…ノイムさんならいつも通り、お礼はいらないって言うと思うので、僕もいりません」


「ふふ、ノイムさんをよく知ってるんですね。

受け取ってもらえないなら、何らかの形でお返しします」







「さて皆さん、流石に精神的に辛いと思いますので民家や宿屋で睡眠を取りましょう。


くれぐれも戸締りはしっかりして下さい。


まだ、彼らは生きてます」



最後の一言で全員苦い表情をする。




「ソウルさん、戻りました。

ところで、なんですこの空気?」



マーマンのグレーテルさんとヘンゼルさんが、北のフィールドから戻って来ていた。


「女性を全員救助しました、情報交換をしたいので宿屋に来て下さい」


「ヘンゼルも一緒でいいでしょうか」


「もちろん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



トージの町の貝殻亭にて報告会が始まった。


グレーテルさんにトージの渡し船と誘拐された女性たちを奪還した事、リーダー格らしきオーガの格闘家がスキルを発動していないにも関わらずかなり強かった事を伝える。


「…もしかしたら、リアルで何らかの対人格闘術を身につけていてそれが生かされてしまったのかと。もうここはゲームじゃなくなってますからね…」


グレーテルさんが渋い顔をする。


ソウルも対人格闘をしていたことはあったが前回の戦闘の時点で、素人とプロほどの開きがあったのだ。


どうにも出来そうにない。



ここでヘンゼルが口を開く。


「なら、リアル技能でもどうにか出来ないレベルの作戦を立てればいいですね。それ、俺にやらせて下さい!」


金髪のイケメンマーマンがウィンク。


ただのチャラ男である。


「あんまりグロいのはやめてよヘンゼル…」


「いやいや、女の子にそんだけ酷いことする奴なら死んだ方がマシだよ!


簡単に死なせる訳は無いけどね!」


どうやらかなり容赦しない性格のようだ。


同意見であったのでヘンゼルさんに作戦を考えてもらうことにした。


「さて、次はグレーテルさんのお話を聞かせて下さい」



「まずフィールドなんですが、ゲーム時代に巣の存在はありませんでした。


この世界には様々な種類のモンスターの巣が存在しているようです」


「ゲーム時代はフィールドにウロウロしてただけでしたね」



「それと、私が比較的美味しそうなモンスターを食べてみた所…」


「食べちゃったんですか?!」


「えへへ、コケココッケイを…」


コケココッケイは鶏の赤色と白色を反転させたような見た目の弱いモンスターだ。


確かに食べられそうではある。



「もしかして解体したのでは……味は?」


「解体は大変でしたけど、美味でした!

つぶつぶペッパーとうましおソルトかけて焼いただけでしたけど。

私、サブが料理人なんですけどあまり育ってないんです。


レベルが高い人ならもっと美味しく上手に調理出来るんじゃないでしょうか」



「よく解体出来ましたね……」



グレーテルさんがアイテムを取り出してくれたので閲覧許可を貰い、効果を見せてもらう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コケココッケイの塩胡椒焼き

ランクB

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コケココッケイを捌いて塩胡椒で味付けし、オリーブオイリーをしいたフライパンで焼き上げたもの。

シンプルに美味い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

体力↑10

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「やっぱり塩胡椒のシンプルな味付けですから、料理効果はあまり望めないですねぇ」


「(合流出来たらノイムさんに作ってもらおう……)」


空腹感をグッとこらえる。


アイテムバックにゲーム時代から持っていた料理が入っているのだから。





「最後の一つなんですが、フィールドでの採取です。

ゲーム時代になかったアイテムが取れました」


そう言いながらグレーテルさんはツタを取り出した。


これも閲覧許可をもらう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

植物のツタ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

太めのツタ。少し硬い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



テキストフレーバーもかなり少ない。




「これは使えそうですね」


触って見た感じだと強度はロープぐらいはあるだろう。







「あーーーーっ!俺良いこと思いついちゃったよ!!」



ヘンゼルさんはイタズラを企む子供のような、邪悪な笑みを浮かべていた。







だいぶ間隔が空いてしまいました。

最近はかなり忙しいのでご容赦下さい。

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