第壱話 創世の竜と親殺しの少女
セリーナが消えてから数日後、王国に大量の魔物が入り込んだ。その対応に駆り出されたのは冒険者と学園の生徒たちだった。正確に言うなら、騎士団は都市防衛を担当し、冒険者と生徒が遊撃よろしく敵を削ることになったのだ。
現在は、それから一か月近くの時が流れている。
「ミア」
「分ってるわ」
王族である2人も例外ではなく、戦闘に駆り出された。
学園の中でもミアとルーク、神威は別格だ。たった一人で、数百の魔物を軽く倒して見せ、魔物を指揮していた魔王軍の人間を倒すほどだ。
今日も今日とて、彼らは魔物の対応に追われる。一人の友人すら、探す時間は彼らには与えられない。
+++ † +++
私は夢を見ていた。
あれはいつだったか……。確か、お姉様が私達の両親を殺してから、すぐだったと思う。
両親を殺し、家を出て数日。お姉様はともかくあの頃は私はまだ人間で何日もご飯を食べずに生きれるはずもなかった。でも、私達はまだ子供。戦うすべも持たなかったし、お金もなかった。
彷徨いに彷徨った挙句に私達は、洞窟に入ることにした。その日は、大雨が降っていたからだ。お姉様は、外で食べ物を取ってくるといって消えてしまった。
しばらくして、帰って来たお姉様は小さな果実を一つだけ持っていた。お姉様はそれを躊躇いもなく私に全て食べさせた。当時、私はお姉様が吸血鬼になっていることを知らなかったから、とても申し訳なく思ったのを覚えている。
そして、その日は終り次の日まで寝るだけだった。そのはずだった。でも、そうはならなかった。なぜか?それは、この洞窟がとある竜の巣だったからだ。
でも、その竜は私達に何かすることはなかった。というよりも、その竜はあろうことか私達にお願いをしてきたのだ。
『小娘たちよ。我に歴史を聞かせてくれぬか?』
私には何を言っているのか理解できなかった。でも、お姉さまは違った。
『あなた、創世の竜ね。今の歴史で一番最初に産声を上げた者』
『ふむ、ではそなたは「歴史を刻む者」か。ならば、歴史を語ることもできるであろう』
『はぁ……。正直、“アレ”を使いたくはないけど、創世の竜の頼みを断るほど私は馬鹿じゃないわ。いいわ。語ってあげる』
何を言っているのか正直理解できなかった。竜が何を望んだのかも、お姉様が何故その望みを受け入れたのか。それすら、わからなかった。
でも、あの竜がいたから私達は、あの人に会えたのだと思う。あの翼を持たない竜がいたから、私達はベイに会えたんだ。
+++ † +++
「懐かしい夢を見たな~。記憶って結構持つんだね~」
そんな暢気なことを言いつつ、セフィリアは起きた。
最近では、ほとんど寝たきりで生活している。守護の力を全開の使っているから、無駄な力の消費は出来ないのだ。その為、日中はほとんど動かず集中し続けている。夜は夜で回復を促すため寝るが、それでも無意識下で守護の力を使い続けているのだ。
「そっか、私とお姉様が初めて会った他人(?)ってあの竜だったんだね」
懐かしい記憶。何でもないただの記憶。何の価値もないとは言わないが、あの出会いが与えた影響は少ないと思う。少なくとも、セフィリアにとってはあの出会いはベイと会うためだけにあったものだと思っている。
「じゃ、今日も一緒やりますか!」
そう言って、目を閉じるセフィリア。今日も、魔物の進行は止まらない。
ようやくタイトルの片鱗が見えました。




