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翼を失った竜と血塗られた聖女  作者: 小鳥遊輝
第四章 王都襲撃編
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第陸話 全てを記せし禁断の書庫

 魔物の群れが視認できる距離に見えた頃セリーナは第二の準備を始めた。


術式(サージカル)解凍(デコンプレンション)設定準備(セットアップ)完了(コンプリート)


 セリーナが言葉を紡ぐとそこには様々な兵器が並んでいた。戦車や砲台、ありとあらゆる兵器と呼ばれるものがそこにはあった。そう存在しないはずのものがそこには並んでいたのだ。


「ふう、かなり魔力使ったかな」


 少し疲れた様子を見せるセリーナだが、背の背中から感じられるものは威厳であり、強さだった。負ける要素など一つも見当たらなかった。




 そして、時は訪れた。魔物の群れが後数キロの位置まで到来したとき、セリーナが宣言した。


「よし。じゃあ、行きましょうか。

 全てを記せし(ロスト)禁断の書庫(ライブラリ)解放。一斉射撃!撃てーーーー!」


 全ての砲台や戦車から砲弾が放たれる。それらが次々と着弾し、爆発を起こす。


 一方、魔物側の陣営では混乱が巻き起こっていた。


「な、何なのだ!突然爆発が起きおったぞ!」


「分らないのです。ですが、何かが飛んできているのは確認できているのです。それが、原因だと推測するしかないですね」


 表面上は冷静に見えるマリアだったがその内心は必死になっていた。前方に見えるのはたくさんの鉄塊と一人の少女。それらが数万は優に超す魔物の軍勢が数分もたたずに半分以上も削られたのだ。焦らずにいられるわけがなかった。


「将軍……」


「仕方ないな。儂が出る!マリア嬢は魔物どもを率いて撤退せい!」


「わかりましたのです!」


 こうして魔物の軍勢は王都を襲うことなく撤退することとなった。







 +++ † +++







 その頃王都内ではルーク・ミア・神威の三人が犯人を追っていた。


「ミア!」


「ええ、捕捉したわ!神威!」


「う、うん!【加速(アクセラレーション)】!」


 ルークが魔法陣を探知破壊し、ミアが犯人の足取りを追い、神威が特攻を仕掛ける。この構図で追跡をはじめ数日。ようやく犯人の捕捉に成功したのだ。


 そして、神威は犯人へと追い付いた。


「へ?」


 目の前にいたのは、メイド服を着た少女と執事服を着た青年だった。だが、その頭には立派な角がある。


「まさか。僕たちが追いつかれるとはね」


「そうね。意外だったわ」


 そうやって話している内にルークとミアもやってきた。


「あなた達ね。こんなことをしたのは!」


「いかにも。僕達が犯人で間違いないよ。おめでとう」


 その言い方に怒りを覚える三人。


「随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか」


「あらあら、随分と怒っていらっしゃいますね。ですが、これが私達の仕事なのですよ」


「どういうことだ!」


「もう分っているんじゃありませんか?この不落の都市の陥落ですよ!」


「そんなことは問うの昔に分ってるわ。聞きたいのはなぜ、そんなことを目論むかですよ?」


「簡単です。世界征服です」


「「「な!?」」」


 三人は口を揃え驚きを示す。


「そんな事を何故!」


「あら、別にそんなことはいいではないですか。それともいいんですか?こんなところで時間を取られても。もうじき、魔物が襲来するはずですよね?」


「残念ながらそっちは大丈夫よ。強力な人が対処してくれてるから」


「あら、そうですか」


 そんなとき、執事服を着た青年が声を上げた。


「姉さん!マリアさんから念話!撤退するって!」


「な、なんですって!?」


 その言葉にルークは勝ちを確信した。


「どうやら、終わりのようだな」


「そうですね。ですが、此処で捕まるわけにはいきませんので」


 次の瞬間。閃光が走り、青年と少女の姿は描き消えていた。


「くそ!」


 三人はその場に立ち尽くすしかなかった。







 +++ † +++







「セフィリア様」


「ん~?どうしたの、クリスちゃん?」


「あなた様の姉君であるセリーナ様の持つあの本は一体何なのですか?セフィリア様の持つ本は以前聞かせてもらっているので、知っているのですが……」


「ああ~、そう言えばそうだったね。わかった、教えてあげる。まずは、私の持ってる本のおさらいね?」


「はい」


現在を記せし(セカンド)禁断の書庫(ライブラリ)っていうのは今の歴史が語られ始めてからの歴史だってことは話したよね?こっちはね、今の歴史の全てを記録してるの。情報から詳細な歴史まですべてね。なおかつ、その情報の一部を再現して使用することも可能なのは知ってるよね?」


「はい」


「で、ここで質問ね。今の歴史が語られる前の歴史ってあったと思う?」


「分りませんが、あったと思います」


「何で?」


「理由はありませんがそう思うからです」


「うん。答えはあったんだよ。そう、間違いなく今よりもっと高度な文明をもった時代が築かれていたの。だけど、理由は伏せるけれど、その文明は崩壊した。そして、魔法というものが確立されて今の歴史が刻まれるに至ったの」


「そ、そんな……」


「で、全てを記せし(ロスト)禁断の書庫(ライブラリ)って言うのは、その過去の歴史の全てを記した本でね。その歴史の中で語られている神話とかの情報すらも内包してるの。ハッキリ言って、全てを記せし禁断の書庫を本気で使ったならば絶対に現在を記せし禁断の書庫じゃ勝てないんだよね」


「すごいですね」


「すごいなんてもんじゃないよ。かつて、この地球上にいた人間達の科学技術は私達の魔法技術なんか目じゃないものをたくさん生みだしてるんだから」

すいません。滅茶苦茶遅れましたね。


とりあえず、こんな世界でした、みたいな。


では。

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