第伍話 襲撃直前
王都から数十キロの距離に大量の魔物の軍勢がいた。
「がはは。あと少しで王都か」
「そうなのです、将軍。ですが、少し静かにしてほしいのです」
「がはは。だがあと少しで絶対要塞とまで言われるメアスフィアを落とせるかもしれぬのだぞ?心躍るではないか!」
「分らないでもないのですが、少し静かにしてほしいのです。私にも準備があるのです」
「そうか、そうか。がはは」
この人分ってないと思うマリア。行っても仕方ないと諦め準備を進める。といっても、やることはほとんどなく魔物達の行軍に支障がないようにする程度のことである。彼女が準備しているのはもしもの事態が起きた時の為の準備である。
この数の魔物での襲撃だ。並の都市であれば間違いなく落とすことができる。だが、彼らが向かうのは天下無敵の絶対城壁とまで言われ、この五百年一度すら攻め込まれたことすらない都市なのだ。そう簡単に落とせるわけがないとマリアは考えている。だからこそ、マスタークラインの言うことに嘘がなくとも万全の対策を取ろうとしているのだ。
「何もなくて、簡単に攻め込めるといいのですが……」
「がはは。何を心配して居るのだ。儂がおるのだ問題はない!がはははは!」
何も考えていないのか将軍グラスレイは大きく笑う。
「心配し過ぎて困ることは何もないのです」
「がはは。別にいい。お前に何が起ころうと儂がなんとかするわい」
「ありがとうございますです、将軍」
二人は笑い合う。この先にどんな強敵が待ち構えているかも知らずに。
+++ † +++
王都の門の前数キロのところに一人の少女が仁王立ちしていた。着ているのは迷彩柄の軍服。この世界あるはずのない服だった。
セリーナは手の本を開き、何かをつぶやき続ける。セリーナの周りの空間は何もないはずなのに歪んでいる。何が起きているかなど誰一人分らない。
唐突にセリーナは本を閉じた。
「ふう。準備は終り。後は奴らが来るのを待つだけね」
腰にあるホルダーに本をしまい。腕を組む。その姿はまるで長年、戦闘を続けてきた鬼教官とでもいうべき格好だった。その姿がいくら小さかろうがそこに映る姿は最強の人間の姿だった。
風が吹き、髪がなびく。緋色をした髪が光り輝き、その髪はまるで何かを欲しているかのようだった。
「さぁ、早く来なさい」
セリーナの呟きは風にさらわれ消えて行った。
+++ † +++
セフィリアの部屋にはルーク達が集まっていた。
「それで、セリーナに魔物達の排除を頼んだのか?」
「うん。それ以外の方法がないからね。個人的には不本意だけど、この王都を落されてはいけないからね」
「だからって!」
「だからね。君たちには犯人の排除と魔法陣の排除をお願いしたいんだ。お姉さまがやってたことをね」
「!?」
「私の守護の力を復活さえできれば王都に魔物は近寄れなくなる。だから……」
それに答えたのはルークではなくミアだった。
「分りましたわ」
「ミア!」
「今私達がやるべき事は、セフィリア様に言われたことだわ。私達がセリーナのところに行っても間違いなく足手まといになる。やるべき事は明らかだわ」
「だけど……」
「わ、私もそう思うの……」
「神威……」
「わ、私達にできるのは、そ、そのくらいだと思う」
「……」
うつむいたルークをよそにセフィは話を続ける。
「犯人達はいまだに魔法陣を作ってる。それにお姉様ですら簡単には捕まえられなかった」
「はい。セリーナ様はこの数日ずっとその為に動いておられました。ですが、セリーナ様ですら捕まえられなかった。ですが、魔物が迫ってきているということは彼らは間違いなく脱出するために動くはずです。ですので、魔法陣を消しつつ、犯人の探索及び討伐をお願いします」
「そう言うこと。お願いできる?」
「了解しました、セフィリア様」
「は、はい!」
「ルーク君はどうする?」
セフィリアは問う。ルークは、
「納得はいかない。だけど、この国の王子としてこの国の首都を落させるわけにはいかない。だから……、やらせてもらう!」
「うん。お願いね」
ルーク達三人は部屋から出て行った。
「ほんとにお願いね……」
セフィリアのつぶやきは消えていくのだった。
すいません。
えぇ、書けませんでした!というか、繋げると微妙になりそうなんでわけます。
次回こそ、次回こそセリーナの無双を書ければいいな……。




