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翼を失った竜と血塗られた聖女  作者: 小鳥遊輝
第四章 王都襲撃編
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第壱話 消えた聖女

 セフィリアの見舞いに行ってからその姿を消したセリーナ。当然だが、ミアやルーク・神威は心配した。同時に死ぬことはないとわかってはいるのだが。


 しかし、学園側としてはたまったものではない。Sランク1位になったばかりでその姿を消したのだ。慌てないわけがない。


「セリーナは一体どこに行ったのかしら……」


「わからん。でも、必要だから帰ってこないんだろうな」


「そ、そうなのかな?」


「そうだろ。俺たちにできることはセリーナが帰ってくるのを待つだけなのかもな」


 会話をしているのはミアとルーク、それから神威である。


「だが、やはりなぜ消えたのか気になる」


「ですね。私としてもセリーナが消えた理由がわからないもの」


「は、はい。私もそう思います」


 ルークはうつむく。答えが見えそうで見えないのだ。


「何か手がかりはないのかしら……」


「そ、そうだよね。で、でも、わかるなら苦労しないよね?」


「……」


 考える。だが、答えがあと少しで浮かびそうなのだがきっかけがない。


「そういえばルーク」


「ん?なんだ、ミア」


「セフィリア様のところ行ってみた?セリーナと戦った後、一度も行ってないでしょ?」


「それだ!」


「!?な、なんなの?」


「セフィリア様だよ!なんで気づかなかった!」


 セリーナの妹であり、この国の初代王妃にしてこの国を守護する精霊であるセフィリア。彼女ならばきっと何か知っているであろうと、ルークは思いついたのだ。


「ミア!神威!行くぞ!」


「はいはい。わかったから落ち着きなさい」


「え?え?なんなの~!?」


 しぶしぶと付いて行くミアに引っ張られる神威。その姿はどことなくほほえましく見えたそうな。







 +++ † +++







 その頃、セリーナは王都にある様々な場所でセフィの作り出している結界を弱める作用をする魔法陣を探っていた。セフィの体は精霊となってるためこの結界はセフィと完全にリンクしている。そのため、結界が弱まればセフィの体は弱るのである。


 その状態をそのままにするセリーナではない。その為、セリーナは授業をそっちのけで結界の探索及び破壊を優先したのだ。


 だが、ここ数日で既に百を超える魔法陣を破壊したにもかかわらず、結界が修復される気配がなかった。つまり……、


「犯人はいまだに潜伏してるってことね」


 セリーナは完全装備をして街中を走っていた。


 できれば、犯人を見つけたいのだが結界を探るので精いっぱいなのだ。


「私一人じゃ、やっぱり間に合わない……。だけど、私に見つからないようにやるほどの手練(てだれ)だもの。未熟な人たちを巻き込むわけにもいかない」


 セリーナはハッキリ言って最強だ。本気を出したセリーナに勝てる者などいない。しかし、それは戦闘に限っての話だ。戦闘以外では、セリーナはセフィよりも下になる。特に魔法に関しては現在を記せし(セカンド)禁断の書庫(ライブラリ)を持つセフィの方が明らかに有利なのだ。


 つまり、犯人は魔法技術や隠密術に関してはセリーナの上をいっているのだ。そんな相手に対応できる人物など限られてくる。つまり、犯人を見つけ叩くための人材はいないということになるだろう。


「はぁ、どうすればいいのかな……」


 走りつつも探す。


「あった」


 そう言うと、セリーナは方向を変え細い路地へと入りこむ。


「はぁ、やっぱりまた少し違う。これってやっぱり……」


 魔法陣というものは意外と癖が出たりするもので、まったく効果が同じ魔法でも違う魔法陣であることはざらだ。つまり、癖さえ分かってしまえばどこの誰のものかもある程度はわかるのだ。

 だが、セリーナはこれをやっている犯人は多くないと思っている。理由なのだが、これだけ多くの魔法陣を設置するためにたくさんの人間を配置していてはすぐに見つかってしまうからだ。しかし、魔法陣が人により違うことは知っていてなおかつ魔法陣の操作ができるならば、大人数でやっているように見せることは簡単なのだ。

 つまり、犯人の発覚を遅らせるには非常に有効な方法なのだ。


「はぁ、どこの誰よ……。それに、このままじゃ間違いなくここの結界が弱まってるのがばれる。そしたら……、攻め込まれかねない」


 今まで、幾度か攻め込まれたことのある王都≪メアスフィア≫だが、その一度として陥落したことも町に入られることすらなかった。だが、このままでは、メアスフィアは確実に陥落する。


「何としてもそれだけは阻止しないと……」


 セリーナは魔法陣を消すと、すぐさま走りだした。

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