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翼を失った竜と血塗られた聖女  作者: 小鳥遊輝
第一章 聖女覚醒編
2/69

第零話 ありふれた魔王の終わり

はじめまして小鳥遊輝です。

本当は初めてではございませんが^^;

皆様が読んで楽しんでいただけるような作品ができれば幸いです。


[2012/09/27]一部表現を変更・誤字を修正

「ゼノン。あなたの野望もここまでよ」


 少女がどこか誇らしげにい言う。ただ、少女はほぼ満身創痍の様相であり、ゼノンと呼ばれた男はどこか嘲笑うように少女に答える。


「その状態でどうするのだ?勇者はすでに我に倒され、その他の仲間たちもここに来るまでに倒れておる。そなたが我に勝てる要素などどこにも見当たらぬな。諦めるべきはそなたではないのか?」


 そういう彼に少女は言い返す。


「ベイだってあなたに勝てるかわからないのにここに来るほどバカじゃないわよ。最初から私をここまで連れてくるのが彼らの目的であってあなたを打ち倒すのは最初から私の役目よ」


 少女はそういうと戦闘態勢をとる。ゼノンも同じように戦闘態勢へと移る。


「そうか。だが、我に勝てるものはおらぬよ。我が魔王と呼ばれる理由(わけ)を知らぬということはなかろう?」


「わかっていないわけないでしょう?でもね、それを何とかできるからこそここに私は来たのよ」


 ゼノンはやはり嘲笑う。そんなわけはない、何故自分が魔王と呼ばれるのか。

 それは彼に一切の魔法が効かないことと強靭な肉体によりほとんどの物理的な攻撃が通らないことによるものである。


「ふむ。では、やってみるがよい。これでそなたが倒れれば勇者達は我に負け、世界は我に刃向うこともなくなるであろう」


 そうして戦いは始まったかのように見えた。だが、次の瞬間には戦いは終わっていた。

 目の前にはいまだ少女がいるにもかかわらず、少女がゼノンの後ろに立ちその首筋に噛みついていた。魔法による幻影だった。直接ダメージのない魔法ならば、魔王にも効くことは先ほど証明済みだった。


「な!?まさか……貴様…吸血種か!!」


 ゼノンの驚きの声に少女は笑いながら答える。


「そう、あなたに魔法が効かないことは誰でも知っていること。でもね、直接体内に魔法を流し込んでしまえばどんな種族のものだって効く。それを知らないはずはないわよね、魔王様?」


 少女がそう言うとゼノンの体が光りだした。


「くそっっ!!離れろ!!」


 ゼノンは焦り少女を引きはがそうと必死になっている。しかし、一度噛みついた吸血種を引きはがすなど不可能に近い。




 そして、しばらくした後少女は自分から離れた。


「これで終わりよ。破滅の術式を打ち込んだから半刻もせずにあなたは死ぬわ。まあ、私もただでは済まないけどね」


 そう言う少女の体はただでさえ小さかったのに先ほどより縮んでいた。

 するとゼノンは大きな声で笑い始めた。


「ふははははははははははははははは!!」


「なにがおかしいのかしら?」


 少女は問う。ゼノンはその後もしばらく笑った後、語り始めた。


「なるほどな。なるほどなるほど。つまりはそなたは最初から我と相討つ覚悟であったということか」


「そうよ。打ち込んだ術式は破滅と呼ばれるものだわ。そんなものを零距離で撃ってとしてもあなたには通じない。そしたら私の魔力は尽きて私たちが負けるのは目に見えてる。そんなことはわかってた。だからこそ、こんな方法でしか勝負を決めることにしたの。でも、この方法での結末になるのを知っていたのは勇者であるベイと妹のサフィだけよ。

 これは、私が死んでもいいなんてことじゃないけど、それでこの世界の未来が救われるならいいの。彼らは止めたけど私はいいのよ。どうせ生き残っても永遠に近い時間を生きることなんて私には耐えられないもの」


 そう言うと少女はその場座り、魔王ゼノンに向けて言った。


「さあ、私を殺しなさい。今なら私を殺せるわ。すべての魔力を使い切り、足りなかった魔力を自分自身で補った後の真祖ならば人間にでも殺せるわ。ましてや、あなたは魔王よ。できないはずないわよね?」


 少女はその場で目を閉じ刻を待った。しかし、いくら待てどその時は来ない。

 しばらく経った後、ゼノンはこう言った。


「そんなことできるか。我は負けたただの敗北者だ。いまさら、そんなことであがけるか!!死にたいのならば勝手に野たれ死ね!!我に殺された者としてでも名を残すつもりか!!」


 少女はビックリし思わず眼を見開いてしまった。


「そうか…。魔王にも義の心はあったのね……」




 そうして両者はだまり時のみが過ぎゆき、魔王の体が消え始めたとき突如として魔王が言った。


「死にたいようだったなそなたは。しかし、そんなことさせてやるものか。永き時を苦しみ悩むがよい。それが我が最後に落とす絶望なり…!」


 そう言うと少女の足元に魔法陣は発生した。それは、少女の体を飲み込みながら魔王と共に少女を消してゆく。


「それは封印だ。永遠に世界の狭間でさまよい死に続けながら生き続けよ!!死よりも恐ろしき永遠の絶望を味わうがいい!!はっはっはっはっは…………」


 そう言うと魔王は姿を消した。

 少女は、


「ああぁ。最後の最後で詰めを誤ったかな…。ごめんねベイ、サフィ。もう会えないとは思うけど、いつかきっとまた戻ってくるからね……。」


 少女はそう言うと姿を完全に消した。






 こうして魔王ゼノンの起こした戦争は幕を閉じ、世界に平和がもたらされた。






 一人の少女の死によって……











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