第参話 アカデミーの授業とランキング
試験の翌日。セリーナは理事長室に呼ばれた。ルーク達と街を回って宿に帰るとアカデミーからの使者が来ていていろんなことを聞かれた。ちなみに嘘をつくなと言われすべてはかされた。聖女であるということはもちろん隠してはいたが。
そんなわけで今、セリーナは理事長室の前にいる。
「ううん…。ノックすればいいのかな…?」
そんな感じで迷っていると中から声が聞こえてきた。
「そんなとこいないで入ってきなさい」
「はい。失礼します」
セリーナが入るとそこにいたのは若いエルフの女性だった。
促され席に座ると自己紹介から始まった。
「あなたがセリーナ・エインフェリアさん?はじめまして、アカデミーの理事長で王宮付き魔導師のカリエラ・エンブリッシュです」
「セリーナ・エインフェリアです…。それで、私はなぜここに呼ばれたのでしょうか?」
「あなたの試験結果と対応についてですね」
セリーナは息をのんだ。まさか何かやっちゃいけないことをやってしまったのだろうかと不安そうな顔をしていると
「緊張しなくていいわ。入学試験は合格ですよ。ちなみに第3学年に入ってもらいます」
「わかりました」
「で、それでなんだけど、あなたを特待生として迎えるから、授業料とか寮費とか全部タダになるけどいいかしら?」
何を言われたのかわからないセリーナは茫然とした。特待生何の冗談?
「ええっと。理由はあなたの知識を教えてほしいって言うのが大きいかな。講師として古代魔法の授業をしてほしいのよ。この学園のシステムは知ってるわよね?」
「はい。生徒の中でも優れた知識がある場合は、研究室を持たせてもらったり、講師をしてもらうんですよね?」
「そう。それで、古代魔法の知識を教えてほしいわけよ。理論はある程度資料が残っててわかってても実際のところ、古代魔法の使い方とかほとんど知られてないのよ。
なのにあなたは古代魔法完璧に覚えてるみたいだし教えてほしいわけ。もちろん講師としての給金も出るわ」
「ええっと。いいですけど…」
「ありがと。その他にもアカデミーの仕組みを書いた資料を渡しちゃうわね」
渡された資料には『総合教育機関“アカデミー”の全て』と書かれていた。内容は授業の仕組みやら学園の地図やらだった。
「そういえば、ギルドカードは持っているかしら?」
「はい、持ってますけど」
「じゃあ、貸してくれる?この学園は生徒の管理をギルドカードで行ってるからね。今書き変えちゃうわ」
ギルドカードを渡し、しばらく待つ。
「はい、これで今日からあなたはアカデミーの生徒ね。今日は授業はないから、その冊子でアカデミーの授業スタイルをつかんでね」
そう言われ、理事長室をでる。
出ると、メイドらしき人物がいた。
「セリーナ・エインフェリア様ですね。寮までご案内させていただきます。ついてきてください」
「あ、はい。お願いします」
そうして、セリーナは寮の部屋へと向かった。
+++ † +++
寮に帰り冊子を開く。
『クラス制度や進級について
アカデミーではクラスという分け方をしない。そのため、自分が取りたい授業のみを取り単位を取得する。
この単位は一定以上であると次の学年に上がるようになっているが単位の総量がその次の学年の分まで達していた場合飛び級することもある。なお、これを取らなければいけないという単位はなく、個人の力量に応じ授業をとることとなっている。
しかし、この単位は学園で受けられる授業のみで補えないようになっており、その分を学園ダンジョンの攻略やギルドのクエストでの単位を取得する必要がある。もちろん、非戦闘員の人にはそれに応じたクエストなども用意されているのでそれをこなしてもらう。
なお、毎年大勢の生徒が単位不足で年末にクエストに出かけることが多いのでそんなことにならないよう取得することをお勧めする。』
すごい制度だと思いつつ、読み進める。
実に様々なことが書いてあったがその中で気になったものがあった。
『戦闘系授業を受けている生徒の義務について
戦闘系授業を受けている生徒はその力を把握するためにランキングバトルを行ってもらっている。これは絶対参加であり、学園側からの指示でやってもらっている。
しかし、本人たちの同意があればその限りではなく戦闘を行ってもらう。
このバトルでのランキング上位者には単位が与えられる。ちなみに上から五人はSランクと呼ばれる。その五人以下10人はAランク。その10人以下15人はBランク。その15人以下20人をCランク。その20人以下25人をDランク。その25人以下30人をEランクとし、Sランクから10・8・6・4・2・1となっている。
しかしながら、死亡者を出すような戦闘は禁止されているが死ぬギリギリまでなら最良の医療術師で治すことができる。参加する諸君がんばってランカーになってくれたまえ。』
すごいことをしているなぁと思った。
模擬戦ではなく本気の戦闘。教師が判定をするために近くにいるため死亡者は今のところ0らしい。
「参加しちゃっていいのかな私…」
そんなことを考えつつ、ベットに横になる。
家具は備え付きでしかも部屋は王族などの人が入ることのできる上級の寮だった。
疲れが出たのかセリーナはベットで横になったまま寝てしまった。
+++ † +++
そのころ、スフィア城の奥深くにある庭園では少女が舞い踊っていた。
「ああ、お姉様がようやくメアスフィアまで来てくれた。ああ、すぐ会いたいよ~♪」
「何が嬉しいのですか?」
「何がって、暇をつぶせる…おほん!もとい大好きなお姉様にもうすぐ会えるかもしれないんですよ。もう、待ちきれないわ~♪」
「はしゃぎすぎだぞ。嬉しいのはわかるがほかの精霊まで巻き込んで踊らんどくれ、城が揺れるわ」
そう言って出てきたのは国王であるブラムス。
「ごめんなさいね~。でも、抑えきれないのよ~。この400年近く大きな戦闘とかもないし、暇つぶしで行ったアカデミーもすぐに連れ戻されちゃうし~」
「何もないのはいいことだよ。それにしてもお姉様とはどういうことだ?」
「簡単な話よ~。セリーナお姉様が帰ってきたの!今、この王都にいるのよ~♪」
その言葉にブラムスとメイドは驚いた。
「それは誠なのか!」
「ええ、でも騒ぎ立てちゃだめよ。クリスちゃんもね。お姉様だって静かにいたいだろうし。まあ、一度ここに呼ぶつもりではあるけど」
「わかった…。お前いいな」
「はい。その時までにもっときれいにしなくちゃ!」
クリスと呼ばれたメイドはそのまま掃除をし始めた。
ブラムスはそのまま少女と話を続ける。
「ところで、お前さんはどうするんだね?セフィリア・ティス・アインスフィア初代王妃殿下」
「もちろん!パーティの用意よ!」
その時の少女、セフィリアの顔はものすごく輝いていた。
次回はセリーナがミアに問い詰められます。




