⑤対立する意見
「まずは、状況の確認だ」
武具に問題はないが、俺は左腕を、ロロは右足を骨折している。彼は一人で歩けないが、魔法は座ったままでも放つ事が出来る。怪我の位置が逆になっていたら、目も当てられなかった。
「食料は、シランド達が落としてくれた荷物と合わせて二、三日分はある。それに、さっき見てきたが、俺達が落ちた所には水源があった。取り敢えず、救助を待てる間は何とかなるだろう」
「僕達が落ちた怪我がこの程度で済んだ理由は、その辺りかもしれませんね」
自分の右足を擦りながら、ロロも現状を把握する。
焚き火が弱くなった事に気付いた俺は、地面に積んだ薪を一本追加した。唯一、木材だけは余裕がなく、洞窟内では満足に補充がきかない。食料よりも、むしろ防寒面において不安が大きい。
ロロが杖を掴む。
「僕はまだ魔力があります。休めばある程度回復もします。リュウさんの体力は、まだ大丈夫ですか?」
「あぁ、体力だけはみっちりと鍛えたからな。同じように、適度に休息できるなら問題ない」
まさかこんな事になるとは思わずに不満を吐き続けていたが、今までの訓練に意味があった事を思い知らされる。
ロロは、太ももの上で拳を何度か握ると、こちらに鋭い視線を向けてきた。
「リュウさん、休憩したらこの場所から移動しましょう。出来れば、上層へと繋がる休憩所まで避難した方が良いと思います」
「なっ!」
その考えは、俺が早々に捨てた案だった。
「ば、馬鹿な事をいうな! そいつは無茶だ。この怪我で地図もなく、未経験の下層を歩き回るなんて危険すぎる!」
そもそも提案者のロロが歩けない以上、移動には俺が担いでいく事になる。その時に魔物にでも襲われれば、一巻の終わりである。
「むしろ、落ちた場所で待っていた方が確実に救助されやすい。こいつぁ、遭難の基本だろう?」
弱気で慎重な彼の性格から、無暗に危険を起こさないと思っていただけに、最初の方針で違えるとは予想だにしていなかった。




