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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第五章 初級冒険者、実力を知る
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③銀級冒険者

 肉料理が殆ど空になり、残った野菜を仕方なく摘まみながら食事を終えようとした時、女性の声がちっかうで響いた。

「先生!」


 俺とショーンが声のする方向を向くと、そこには一人の女戦士が手を振って立っていた。鈍い光沢の軽鎧を纏い、背中には丸盾を、腰には細い装飾が施された長剣(ロングソード)を下げている。

 そして赤い髪の隙間、首元から見える銀色の冒険者証に、思わず言葉が漏れた。

「………銀級冒険者(シルバー)

 各ギルドに数名しかいないと言われる上級冒険者であった。


「おぉ………って、え~と、アルか」

「先生。今、私の名前が出てこなかったですよね?」

 若干の間があった事に、アルと呼ばれた女性が腰に手を当てて口を尖らせる。

「勘弁してくれ。最後に会ったのは何年前だ? ってかお前、もう銀級(シルバー)か? そりゃぁ早いだろう?」

「速いも何も、もうすぐ昇級しますけどね」

 そこでようやく、女性がこちらを向く。

「食事中にすいません。私、冒険者のアルゼットといいます。以前、先生………あー、えーと、ショーンさんから、色々と教えてもらっていました」

「………リュウです。まだ白級(ホワイト)ですが」

 相手は大先輩。一応、立ち上がって軽く頭を下げておく。

 だが彼女は、引き気味に両手を振ると、大袈裟にしなくていいと苦笑した。

「そんなに畏まらなくていいよ。私だって、ついこの前までは似たような立場だったんだから」

 この前と言っても、銀級になるには平均十年近くかかる。目の前の女性は、俺よりも若干年上にしか見えない容姿だが、実際はもっと上なのだろう。


「アル。お前こそ、すぐ出てこなかっただろう」

「だって、いつも先生って呼んで困ってなかったんですから! 仕方ないじゃないですか!?」

 成程。

 この先輩も、冒険解説職(チュートリアラ―)の彼から学んできた口の様である。

 アルゼットが咳払いで話を無理矢理区切る。

「それでですね。私、明日昇級試験を受ける事になりました」

 昇級試験。

 冒険者が次の等級になる為には、ギルドから課せられた試練を達成しなければならない。内容は次の等級に見合った魔物の討伐、収集等と多岐に渡る。銀級の上は、金半級(ハーフゴールド)であり、上級の中でもさらに一目置かれる存在となる。

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