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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第二部 奪う目的
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序章①動向

「すいません」

 見た目は人に近いが、頭の上に生えた耳や、縦に広がる瞳は、彼女が亜人の血が流れている証拠である。半亜人(ハーフ)であるメイド服を着た少女ティリアは、不規則に揺れる馬車の中で用意された厚めの毛布の上で横になり、視線を落としてくる猫亜人(バステト)族の先輩や主人である青年に、定期的に謝罪していた。

「慣れない間は仕方がない。俺も昔はそうだったからな」

 青年は何度も謝る必要はないと彼女が口ずさむ度に告げてきたが、ついに諦めたかのように左右の眉の外側を下げる。


 再び目を瞑った少女の表情を確認し、青年が口を開く。

「仕方がないとはいえ、転移陣を壊したのは勿体なかったな、コルティ」

 お陰で、目的地の移動までに時間がかかると青年が嘆く。

「むしろ、一瞬で転移できる方が異常なのですよ、御主人様」

 とはいえ、とメイド服を纏ったコルティが苦笑する。

「頭の中では分かっていても、使い慣れてしまうと、流石の私もそう思う事が多くなりました」

 各街に拠点や仲間を密かに配置しているとはいえ、時間と情報の速さは貴重である。青年は揺られる馬車の中で頬杖をつきながら溜息を漏らす。


 そして、話がずれたままだった事に、はたと気付きた。

「あぁ、すまん。コルティ、話の続きを頼む」

 青年の前で座るコルティが小さく頷き、表情を改めて報告を続ける。

「隣街のグーリンスで、大量の鉄や銅が集められている情報は事実のようです」

「武器や防具の値段は?」

「ここずっと上がっています。併せて、食料の値段も遅れて上がり始めているとの事です」

 武器や防具に限らず、需要がなければ作る程に安くなり、見合った利益は出づらいのは経済の常識である。食料や薬、生活用品等ならともかく、武具の類は購入者が限られる。

 つまり、売る為の買い付けではなく、使う為の生産という事になる。

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