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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
最終章 初級冒険者、旅立つ
121/130

①出発の朝

 ウィンフォス王国は、一年を大きく四節に分けている。

 緑が多く繁り、野菜や果物といった多くの作物が育つ『育ちの節』。

 実った作物を収穫する『収穫の節』。

 一年で最も寒い『厳寒の節』。

 植物が再び活動を始める『芽吹きの節』である。

 そして今は芽吹きの節を終え、育ちの節へと足を踏み入れようとしていた。多く作物で葉が付き、背丈が伸びていく。さらには昼の時間が長くなり、人々にとっては仕事の時間が増え、朝が早くなる。


「よし、荷物は全て積み込んだぞ」

 荷馬車の周囲を点検し、残った木箱がない事を目視で確認を終えたシランドが、先頭の馬車で待機していた依頼主の商人に手を上げて合図を送る。


「ダッカー。そっちはどうだ?」

 最後尾の馬車で殿を務める褐色肌の大男が、彼の声を聞いて手を大きく上げた。

 それに頷く、パーティリーダーのシランド。

「リュウ! ロロ!」

 続いて俺達の名が呼ばれる。

 全ての馬車の車軸や車輪の点検を任されていた俺は、馬車の下から這い出るなり、すぐに指で輪を作って状況を知らせた。

「こっちは大丈夫だ!」

「僕の方も大丈夫です!」

 ロロも問題ないと、砂で汚れた服のまま、後ろの馬車の下から姿を現した。

 あの脱出劇後、ロロの熱望もあり、俺達は俺とパーティを組む事になった。今はシランド達のパーティに臨時の編入と言う形で、正式な手続きこそ済ませていないが、到着先の冒険者ギルドで登録する運びになっている。


「それにしても、随分な数の荷物だな」

「それを僕達()()だけで、護衛するんだから………大丈夫かな」

 俺とロロが列を成している馬車の数を先頭から数える。

 全部で八台。正確には、その中にショーン達の引っ越し用の馬車が二台含まれている。一般的に、護衛の数は最低でも馬車の倍は必要だと言われている。

 馬車の合間から、青い服を纏った神官の女性の姿が一瞬見えた。

 五人目の冒険者。シランド達の仲間であり、体調不良の為、今日まで顔を合わせる事はなかった女性。既に簡単な顔合わせは済ませているが、俺やロロに近い年齢に見えるせいか、その実力は分からない。

 だが、依頼主の商人も師であるショーンも、特に異論を挟んでこなかった。

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