⑤同類
ティリアは故郷の村人に、厄払いとして売り払われた。だが、半亜人の彼女は、亜人としても人間としても、買い手が付かなかった。
「それで、あの人に拾われたという事か」
繋がっていく話に、ティリアが小さく頷く。
そして彼女は、小さく微笑む。
「その顔」
「………顔?」
「今のリュウと同じ顔を、御主人様もしてくれた。口にはしなくても、本気で怒ってくれた」
「怒ってなんか、いねぇ………よ」
つい顔を背けていた。
俺が大切にしたいと思う人が、知らない所で、知らない不幸に巻き込まれていた。そして、俺の無知が多くの人を傷付けていた事を改めて思い知る。
「自分の情けなさを噛みしめてるだけだ」
「正直に言わない所もそっくり」
「………ふん」
同類扱いされ、俺は複雑な心境になる。
そこへ聞こえてくる木の廊下を走る音。その音はどんどんと大きく、こちらへと近付いてくる。
「誰かが来ます」
「………何となく分かる」
俺の所へ来るという時点で数が限られる。その上で、このタイミング。
だが足音が一瞬無くなり、大きな音と振動が同時に伝わった。
「あ………」
「転びました」
ティリアと二人でカーテンの奥を見つめる。
すぐにカーテンが開かれ、目が隠れる程の黄色い前髪が現れた。
「りりりり、リュウさん! 無事だったんですね!」
「だぁぁぁぁ! ろ、ろろロロ! まずはその鼻血を拭けぇぇぇぃ!」
顔から血と涙を同時に流すロロに、思わず引きつった顔と体が仰け反る。
「リュウさん! 僕はロロです! ロは二回です!」
「分かってるから! いいから、拭けぇぇぇ! あぁ! 垂れる! ぐぅぉぁぁぁ、か、体がぁぁぁっ!」
全身の筋肉がつるような痛みに、体が変な姿勢で固定された。これ以上は思うように動かない。
俺はティリアに顔を向け、急いでタオルを用意してもらった。




