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溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜  作者: あいみ
新たな出会い

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30/52

これにて一件落着……ではありません

 リンシエ曰く、今日の出来事は明日の朝刊に載るらしい。


 新聞あるんだ。へぇー。読みたいな。どんなことが書いてあるんだろ。気になる。


 夕方には屋敷に帰り、仕事を終えたお父様は既に帰宅していた。


 先にお風呂に入り、出てくるとお兄様も帰っていて、なぜかキラキラした目で私を見てくる。


 「ユーリ!すごい!ホワイトドラゴンの魔法を使ったんだって!?」

 「いくら服従しているとはいえ、あの強力な魔法を操れるなんて大したものだ」


 え、そうなの?初耳なんですけど。

 私が覚醒していないから強大すぎる力はコントロールしにくいってことなのかな。


 「基本的に。ホワイトドラゴンみたいな最上位魔物の魔法の主導権は魔物側にあるんだ」

 「お父様も自由には使えない?」

 「いいや。まぁ、時と場合によるがな。ただユーリは、覚醒が早すぎたために体がまだ魔法に馴染んでいないんだ」

 「馴染んだら魔力コントロールもすぐ出来る?」

 「それは地道の努力だな」

 「ん!頑張る」


 孤児院には月に一度、顔を見せに行くと約束した。

 不当なことがあればすぐに手紙が届く手筈になっているし、これであの街は安泰。


 「まさかこれで終わりなんて、思ってないわよね?ユーリ」


 …………怒っている。お母様が。なぜか。

 静かに燃え盛る怒りの炎。

 私を守ってくれると宣言した兄二人は固く口を結ぶ。

 お父様に至っては私から目を逸らしていた。


 何かをやらかした覚えはないんだけどな。


 楽しく食事、の雰囲気ではないため気を利かせた使用人が料理を運ぶのをストップしてくれている。


 「貴女はまだ4歳。本来なら魔法を使えない歳です」

 「……はい」

 「それなのに、あんな大勢の前で使ったらどうなるか」


 色々と面倒になるね、うん。アネモスの魔法だとバレることはなくても、お父様でなければ壊せない竜巻(まほう)を使ったとなれば、私は注目の的。


 迷惑をかけることを失念していた。あのときはただ怒りで我を失っていたんだ。


 未来しかない子供の期待と人生を踏み躙った伯爵に対して。


 罰は受けてほしいけど、彼らが受けた痛みを知ってほしかったのも事実。


 人に優しくするために必要なのは痛みを知ることではない。想像することだ。

 何をしたら、何を言ったら。相手が傷つくかを。


 伯爵は生まれながらに身分があった。権力も持っていた。だからこそ。下にいる人間には何をしてもいいと傲慢さを増幅させた。


 人が平等だとは言わないけどさ。

 身分の違いだけで他者を踏み付けていい理由はない。今回のことで伯爵がそのことを学べばいいけど、期待は望めないだろう。


 「もっと後先を考えて行動するのよ」


 お母様は眉間に皺を寄せて、怒りよりも悲しみを表に出しながら心配そうに私を見つめる。


 そうか。怒っているんじゃなくて、心配してくれているんだ。

 優しく諭すだけでは甘やかすだけ。お母様は心を鬼にして厳しくしてくれている。


 「お母様。ごめんな……」

 「ユーリは天使のように可愛いんだから、誘拐されたらどうするの!?」

 「……………………はい?」

 「こんなに可愛いというだけでも罪なのに、歴史に名を刻む稀有な存在はより狙われてしまうわ」


 私が誘拐される場面を想像したのか、お母様の顔色は悪い。架空の犯人に殺意を抱いた。


 悲しみと怒りを理解した他の家族もまた、存在するはずのない犯人に限りない痛みを与えながら殺してしまったようだ。


 「これから……気を付けます」


 ふぅ……。絶対に誘拐されないようにしなくては!!


 笑って聞き流しているけど、内心では焦りまくり。あたふたしては固く誓う。

 犯罪に巻き込まれないことを。


 「ところでリンシエ。シム達に買ったパンの値段はいくらだった?」

 「ユーリ様。前回も申し上げたように、お金はいりません。」

 「ダメなの!あれはリンシエの大切なお金なんだから」


 幼い子供が餓死する姿を見たくなかったのだとしても、私がお願いしたことに変わりはない。

 家族のために働いて貯めたお金を使わせてしまったのだ。返さなくてはならない。


 のに……。


 リンシエは断固として首を縦に振らない。


 それならいいもん。別の方法だって考えた。


 「お父様。リンシエの今月の給料を倍にして下さい」

 「ユーリ様。お金のことは本当にお気になさらず」

 「ダメなの!」


 この調子では給料の半額は返してくるか、来月分に回すかしそうだ。

 どうしたらいいんだろう。


 高額ではないため素直に甘えるのも一つの手。私が折れるしかないのもわかっている。

 でもさ。お金のことはきちんとしておきたいんだよね。

 現実でも作られた物語(フィクション)でも、いつだって人間関係を壊すのはお金。


 「むぅ……。受け取ってくれないなら、もう抱っこさせてあげないもん!!」

 「そ、そんな……!!ユーリ様のお心遣い、有難く頂戴致します」


 態度が一変した。

 そんなに私を抱っこしたいの?


 「ユ、ユーリ。いくら何でもそれは酷いぞ!?」

 「今のは俺達も傷ついた」


 私の援護をしてくれるわけでもなく、ホクホク笑顔を浮かべていた兄二人は衝撃を隠さない。

 左胸を抑えたままテーブルに突っ伏す。

 料理が並んでいたら大惨事。


 私が悪いみたいな空気。謝るべきだろうか?

 だってまさか、そんなにショックを受けるなんて思わない。


 両親に助けを求めてみるも微笑むだけ。

 あれは……。謝らなくていいってことかな?うん、きっとそうだ。


 リンシエがお金を受け取ってくれると約束をしてくれたことで肩の荷が降りた。

 バザーが上手くいったのは孤児院の頑張りもそうだけど、リンシエがお腹を満たすパンを大量に買ってくれたからでもある。

 私の無茶なお願いを聞いてくれた料理長達にも感謝は忘れていない。


 「……って、みんな。まさかと思うけど私が孤児院を救おうとしてたこと、知ってたの?」


 事が終わり、思い返してみれば全てが順調すぎた。

 魔道具の場所も持ち出しだって、家族の会話があったから。

 あのときはラッキーくらいにしか思わなかったけど、あれは私に聞かせるための会話。


 いくら変装していたとはいえ、何日も見知らぬ二人組みがウロウロしていたら怪しまれる。

 仮に孤児院に近づいていなかったとしても、報酬欲しさに伯爵へ連絡した人はいたはず。シムを財布泥棒と決めつけたあの男性とか。

 それなのに、伯爵が様子を見に来ることもなく準備は進められた。


 伯爵を呼び出してくれたんだ。街に近づけないように。

 色々と証言を得る聴取だと気取られないように、もてなしていたのか。

 お父様が直々にではなくても、伯爵のようなゴマすり人間は権威を持つ人からのもてなしは上機嫌になるだけ。

 喜びで有頂天になっていたであろう伯爵が、気分の良いときに平民と顔を合わせるわけがない。

 だってヘルビシ・イヤールとは、そういう人間だから。


 みんなは顔を合わせるだけ。何も言わない。それは肯定の証。


 「そうだ。お父様。昼間に掛けてた……」

 「眼鏡のことかい」

 「そう、それ!」


 あれはそのまま眼鏡で良いのか。

 あまり外のことを知っていてもおかしいから、今のは言葉を詰まらせて正解だったな。


 「眼鏡はね、目を悪くしないための物だよ」


 何て?

 視力補正や目の保護じゃなくて、悪くしない?


 私の知っている眼鏡と用途が違いすぎる。


 ………………魔法がある世界なら、それが当たり前か!!


 難しく考えてはダメだ。そういう物だと無理やり納得することにした。


 お父様は文官で書類仕事が主だ。毎日のように朝から夕方まで細かい文字や数日と格闘。

 目を休める時間なんてほとんどない。

 文官は皆、数年もすれば視力が落ちていき仕事に支障をきたす。

 重要な書類に目を通すのが一苦労。そんなとき。魔道具を開発する研究所が視力低下を防ぐ眼鏡を造り上げた。

 開発当時はレンズやつる、眼鏡全体が分厚く顔が重たく感じるような造りだったとか。


 女性研究員が試行錯誤した結果、今のようにバリエーションが増えて好きなタイプを選べるようになった。


 「持ってるのはお父様だけ?」

 「私達はそれほど、目を酷使していないから必要ないのよ」

 「んぅ……。でもね、見たいの。だってだって、お父様ね。すっごくカッコ良かったんだよ。お母様もノルアお兄様もティアロお兄様も、眼鏡が絶対に似合うと思うな」

 「リミック!すぐに子供達の分を新調して」

 「明日の朝、カタログが届くように手配しておく。ノルアとティアロに似合うと思った眼鏡をユーリが選んでおいてくれ」


 カタログがあるなら私達のも選べばいいのに。

 新調ってことはオーダーメイドってことだよね。お金も時間もかかるし、一点物にこだわるつもりはない。

 あと私の分はいらないんだけどな。見たいのは家族だけだし。


 ──お揃いになるのは嬉しいけどさ。


 「あーあ。子供サイズがないと、こういうとき不便だよな」


 何で?子供……学生は教科書読まないの?読むって言ってたじゃん。

 じっと座っているのが苦手なティアロお兄様は、座学がなくなって剣術と芸術コースだけでいいと嘆いていた。

 両親の才能を良いとこ取りしているこの二人は予想通り、めちゃくちゃ頭が良い。学年で常に首位をキープ。

 その上、長男は剣術、次男は歌の才能まで。

 容姿端麗。成績優秀。家柄も申し分ない。

 現代風、学園の王子様。


 ──本物の王子様は実在してるしね。


 「ユーリ。選んでくれるかい?」

 「うん!」


 どんな種類があるのか楽しみ。

 顔が良いからこそ、派手ではなくシンプルが一番似合う。


 そして翌日。研究所の人がカタログを持ってきた。

 眼鏡は国が認めた要は特許を与えられた魔道具だね。

 一般での販売はおろか、開発も禁止されている。発覚したら罰金及び、最低でも10年の牢獄人生。悪質だと判断されたら終身刑。


 お洒落センスがあまりない私はほとんど第一印象で三人の眼鏡を決めた。


 お母様にはフレームと……何だこれ。レンズとレンズを繋ぐ、よくズレた眼鏡をクイっとする部分。そこがシルバーと色彩がかなり薄い青色の二色で異なる眼鏡。

 ちなみにこの眼鏡が過去、女性研究員が一番最初に造り上げた改良品。


 ノルアお兄様には丸みを帯びたフレームが特徴の眼鏡。上品さに溢れていて、物腰が柔らかいお兄様にはピッタリではないだろうか?


 ティアロお兄様にはどシンプル眼鏡。フレーム等は細くて上品な印象を与える。レンズを繋ぐ部分が二本なのがまたお洒落。こちらもフレームは丸い。


 というか。ほとんどが丸眼鏡。楕円形で眼鏡といえばこれ!!みたいな印象を持つ。


 テロイ家からの注文だからか、そんなに時間がかかることなく届いた。本革の眼鏡ケースに入って。


 家族全員で眼鏡を掛けたことにより、カッコ良さと美人さが増す。

 あまりの美形揃いに内なる私が悶え苦しむ。

 美しすぎる輝きに目を抑えゴロゴロと転がる。


 現実の私はニマニマが止まらない。


 新しい記念になるからと、初めての家族の肖像画を描いてもらう。

 七枚も描いてもらい、食堂と談話室、各部屋にに飾ることとなった。

 訪問者を迎えるメインホールには飾らないのかと聞くと


 「ユーリの可愛さは自慢したいが、他人にはあまり見せたくない」


 と、わかったようなわからないような答えが返ってきた。

 メインホールに飾るとなると、部屋用よりかは大きくなるのでないほうがいいのかも。


 1日にそんなに絵を描いて、疲れている状態で、家の顔である玄関に飾る絵を描くなんて精神的疲労が半端ない。


 とまぁ。後日談はこのくらいにしておこう。


 孤児院救出大作戦。これにて一件落着。そう、本当に本当の。

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