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行ってみましょう

     ◆



 しかし、そんな駿平たちの決意とは裏腹に瀬名の姿は一向に見つからない。

 探した田んぼ道にマーカーを付けて、全ての道を潰していく。

「マズイな……」

 康弘が地図を見ながら言う。

 緊張しているせいか、さっきから唇を何回も舐めている。

「早く行きましょう」

「ああ」

 俊也たちと情報を共有し、ぐるぐると田んぼの中を走り続ける。

 時刻は既に午後十時に迫っている。

 瀬名の目撃情報が途絶えたのは六時辺りだ。そこから山の方向へ一直線に進んでいったとするともうそろそろ山道へ入ってしまってもおかしくない時間だ。康弘の言葉通り、そろそろ見つからないと、本気でマズイ。

 足を滑らせて山道を転げ落ちたなどと言ったら洒落にならない。

 目を凝らし、絶対に見つけてみせると意気込む。



 ――が、



「……」

「山、入ってみます?」

 十一時を過ぎたところで、間違っていたのではないかと思い始める。

 田んぼ道はほぼ全て行きつくした。動き続けているだろう瀬名と行き違いになっている可能性も否めないが、だとしても時間が経ちすぎている。それに、これはないと思いたいが、途中ですれ違ったのに見落としている可能性だってある。山に近付けば近付くほど道が暗くなるのだ。立ち上がっているのなら分かるだろうが、道端でしゃがみこんでいたら、たぶん、見逃してしまう。

「いろはさんや俊也さんからの連絡は?」

「どちらも見つかってないそうです」

 康弘も、すっかり意気消沈している。

 康弘自身に責任はないかもしれないが、グループホームの管理者という立場上、歯がゆいものを感じているのだろう。

「……」

「……」

 駿平も、半分諦めかけていた。

 これ以上の捜索は、特にチーム氷牙の面々にとってはキツイだろう。リーダーのいろはだっていつも十二時前には帰宅していたのだ。不良だからという言い分が通る時間帯はそろそろ終わる。現在、一番人数の多い彼女らが抜けてしまったら捜索などほぼ無理だ。

 これだけ探し回って見つからないのだから、二人三人の捜索でどうにかなるとは思えない。家族として、どうしても見つけたい気持ちはもちろんあるが、体力的にも、精神的にも限界だった。

「せめて、市内の方へ向かっていてくれればな……」

「ですね」

 警察には連絡済みだ。

 もしも市内の方へ向かってくれているのであれば、自分たちが捜索を打ち切っても、夜中に警察が見つけてくれるかもしれない。それに、市内であれば山の中で野宿するのよりも安全だろう。

「ちょっとだけ、山道に入ってみる?」

「ダメもとで、行ってみましょう」


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