23.ジネットの妊娠 リオネル王太子殿下視点
アンネと結婚してから2週間、私はとても幸せな日々を過ごしていた。
ジネットをついに暗殺未遂事件の動かぬ証拠をみつけて、幽閉する事ができたのだ。
アンネと過ごす日々は、幸せに満ち溢れている。
側妃になってからアンネは政務も精力的にこなしてくれる。
キャペリー伯爵家の人間は皆優秀で、文官として活躍して皆活躍しているから、アンネの将来の夢も文官だったこともあり、仕事をするのが好きなようだ。
ジネットは夜に私が渡らなくなった事に不満を持って、執務室にも押しかけてきても無視をした。
執務室でアンネが一緒に働いていることにも激怒していたが、ジネットが働こうとする事はなく大声でいつも喚いていた。
アンネに対する襲撃にも、毒殺にも、万全の状態で常に備えている。
アンネを殺そうと躍起になったジネットは、毒見や護衛がいるにも関わらず暗殺を強行させようとした。
厳重な警備のおかげで、ついに実行犯が自死する前に、現行犯逮捕をする事ができた。
実行犯から、指示役が分かり、ジネットの手足として動いている人物である証拠が出てきた。
ジネットの指示で、指示役が暗殺の計画をしていたことも分かり、ジネットを幽閉させることに成功した。
「売春婦がいけないの!私は悪く無い!売春婦は殺されて当然!私は王太子妃なのに幽閉なんておかしい!」
と幽閉される時もジネットは怒って暴れていた。
結婚式から2週間が経った日、父から呼び出された。
「リオネル、おめでとう。ジネット嬢に子供ができたぞ。妊娠3ヶ月になったところだ。よく励んだな。」
一瞬、理解が出来なかった。
もう子供は作らないと思ったら、子供ができていたのだ。
ジネットとの間に自分の子供ができたと思うと、気持ちが悪くて吐きそうだ。
「しかし、ジネットは側妃暗殺未遂事件で幽閉中ですが、どうなさるのですか。」
「確かに、ジネットは罪を犯したが、お腹の子供には罪が無いだろう。リオネルもついに父になるのだな。」
退出した後は呆然としていた。
父になると言う実感が湧かない。
しかし、ジネットのお腹に子供がいるのであれば、間違いなく自分の子供であろうとも思う。
結婚して2週間、毎日抱いていたのだ。
子供ができても不思議なことはない。
ジネットと私の間に子供ができたとアンネが知ったら、どう思うだろうか不安になる。
「ジネット王太子妃に会いに行かれますか?」
と侍女声をかけられた。
流石に会いに行かないわけにはいかないから、幽閉中のジネットの部屋を訪れる。
幽閉中でも、王太子妃の部屋なので、とても豪華だ。
幽閉中だと言われなければ分からないような生活をしているらしい。
「リオネル様!全然来てくれなかったから、寂しかったですわ。酷いです。会いに行こうとしても行けないし。私何も悪い事などしていないのに、おかしいですわ。後で全員首にしてやりますの。」
私に抱きついてくるジネットを軽く引き剥がそうとして、それでもまとわりついてくるから諦めた。
「私、リオネル様の子供ができましたのよ。私達の愛の結晶です。私頑張ってリオネル様の子供を産みますね。」
嬉しそうに話すジネット。
まだ、お腹は出ていないようだ。
子供に罪は無いと分かっていても、ジネットの子供だと思うだけで嫌悪してしまいそうになる。
「つわりは大丈夫か?」
「少し気持ちが悪くなる事もありますが、大丈夫ですわ。」
「そうか、それは良かった。無理はしないで、しっかり休むように。また来る。」
「私は妊娠中なのですよ。ずっとそばにいてください。売春婦のところなど行かずに。」
「ジネットの顔を見に来ただけで、まだ政務が残っているのだ。アンネにも…ジネットの妊娠を告げにいかなければならない。」
「それはいいですわね。売春婦がどんな顔をするのか楽しみですわ。売春婦には子供ができないですものね。リオネル様の子供を産むのはこの私なのだと、分からせてやらないと。どんな反応をしたか後で教えてくださいね。」
私から離れたジネットに「行ってらっしゃいませ。」と嬉しそうに見送られた。
早くアンネに会いたいけど、ジネットの妊娠を告げるは気が重い。
傷つけてしまうだろうか。
もし、逆の立場でアンネに他の男との子供ができたら、私は嫉妬に狂ってしまいそうだ。
アンネの部屋に行くと、妃教育を受けているところだったが、今日の妃教育は終了して人払いを命じる。
「アンネ、話さなければいけない事がある。ジネットが妊娠した。私の子供だ。すまない。」
「おめでとうございます、リオ様。健やかなお子様が産まれてくる事を願ってます。」
言葉とは裏腹に涙が落ちる。
泣いているアンネを抱きしめる。
「無理しないでくれ。アンネを傷つけてしまう私を許してくれ。本当にすまない。私はいつも、アンネを泣かせてばかりだ。」
「いいえ、リオ様は悪くありません。すみません。王族に子供ができる事は喜ばしい事ですのに…」
「無理に喜ぶ必要などない。私も、子供には罪が無いと分かってはいても、ジネットの子供だと思うと、どうしても嫌悪してしまうのだ。自分に子供ができて、吐きそうになるなど、父親失格だがな。」
「リオ様もお辛いですね。父親失格など言わないでくださいませ。私も、嫌悪している相手と子供ができても愛せるかと言われたら、難しいと思います。」
「アンネに私以外の子供ができたら、私は嫉妬で狂う自信がある。私はアンネとの間に子供が欲しかった。」
「でも、これで王子様がお生まれになったら、私も子供を望めるということですよね。」
「王子が産まれてきてくれれば、アンネとの子供ができるのは嬉しい。早くアンネと私の子供が欲しい。」
激しくキスをして、押し倒す。
「んっ、リオ様っ。」
「アンネっ。夜まで待てぬ。」
日中にアンネを抱くのは、初めての時以来かもしれない。
「はぁ、リオ様っ。でもっ、恥ずかしい…ふぅ…ですっ。ロラン様が…」
アンネが扉の前で護衛しているロランに、情事の声を聞かれるのを気にしている。
夜も扉の前に騎士が護衛するようになると、情事の声が聞こえるのを恥ずかしがって止めようとしていた。
騎士が扉の前にいるから抱けないなどとなったら、夜中も毎日護衛の騎士が立っているのだから、永遠にアンネを抱けなくなってしまう。
騎士が扉の前にいても、少し強引にアンネを抱いたら、アンネも騎士が扉の前にいても抵抗するのはやめるようになった。
恥ずかしそうにはしているけど、行為に夢中になるとそれどころでは無い。
だけど、いつもの夜勤の護衛ではなく、日中いつも一緒にいるロランが扉の前にいるのが気になっているのだろう。
アンネと仲のいいロランに嫉妬してしまう。
アンネとロランが部屋で2人きりになる時は、必ず扉のドアも開いてるし、間違いは起こらないと思うけれど、ずっと一緒にいる事が気に入らない。
「気にするな、聞かせておけ。私との情事で他の男の名前など口にするな。何も考えられなくしてやろう。」
「あぁ、リオ様っ。」
嫉妬もあって、いつもより激しく、何度も抱いた。
アンネも私を求めてくれて、歓喜に震える。
「愛してる、アンネ。」
「私も愛しています、リオ様。」
満足した私は身支度を整えてから、執務室へ向かった。
アンネは疲れたから少し休んでから執務室へ向かうと言っていた。
部屋の扉を開けると、ロランと目が合ったが、顔色が悪い。
仕事とはいえ、愛する女の他の男との情事を何度も聞かされたのだ。
冷静でいられるはずがない。
いつもそばにいるロランに対する嫉妬もあり、もっと聞かせてやろうとすら思いながら、激しく抱いた私は、性格が悪い。
「ジネットの妊娠はまだ公にしないように。アンネは少し疲れてしまったようで、少し休んでから執務室へ行く。私は先に執務室へ行くが、アンネに変な気は起こすなよ。」
「はっ、かしこまりました。アンネリーナ王太子妃殿下が扉から出て来るまでは、こちらで護衛させていただきます。」と、敬礼しながら言うロランを見てから、私は歩き出した。




