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ゲーム世界へ転生したモブ♂、死ぬ未来を回避するために美少女(偽)になる  作者: ゼクスユイ


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第77話 掲示板とこれから6

 ティアマトを倒し、スタンピードを鎮めたエクステラたちが外に出ると同時にワープがホールが閉じる。力業で生じさせたものだから不安定で時間経過によって消えるのかもしれないとは思ったが、あまりにも都合が良すぎる。もしかすると、ダンジョンに意思があって自分たちが出てくるまで待ってくれたのかもしれないなとロマン気味た考えに浸りながらも、辺りを見渡すと瓦礫が転がっている中を懸命に走り回りながら、逃げ遅れた人がいるかもしれない東館の捜索や救助人の治療している姿があった。


(それなりに時間が経ったはずだが、まだ自衛隊やマスコミたちは来ていないんだな)


【地元の戦力が壊滅している状態で、交通事故等により約40km圏内の交通網が遮断されていたようなものですからね。他県から応援に来たレスキュー隊や自衛隊もそちらの救助活動で大変でしょうし、被害中心部まで手が回っていないんでしょう】


 頭ではわかっていたとはいえ、こうして戦いが終わり、冷静になってみると最小限で食い止めたとはいえないほどの被害を出してしまっている。


(原作とは異なる未来を歩んでいるのだからイレギュラーは発生する。わかっていたはずなんだがな……)


【別に心を痛める必要ありません? 私たちはやれること、すべきことをやり遂げました。それに神を名乗る相手から未来を託されるくらいには認めさせました。だったら、美少女らしく胸を張って凱旋すれば良いんですよ】


(……それもそうだな。俯いてばかりなら、ティアマトに失礼か)


 敬意を払っているからこそ立ち止まることは許されない。ならば、今の自分たちにできることをやろうとエクステラは連れてきた天使たちに撤退の指示を出しているセラフィムに相談を持ち掛ける。


「亀北の時のように修復してほしいと?」


「ええ、堕天使が関与していなければティアマトの復活は無かったわ。つまり、この被害をもたらした原因の一つに貴方がたの責任はあるんじゃないかしら?」


「言いがかりだな」


「建前は必要でしょう?」


「……さすがにこの約40km圏内の被害すべてを我らの責任と認めることは出来ない。だが、堕天使が与していなければ被害が無かったのは事実。ゆえに直接被害のあった学院敷地内の修復のみ行い、二次被害によるものは保障外とする」


「妥当なところね。それで手打ちにしましょう」


「元からそのつもりだったのだろう」


「あら、バレていた?」


「最初からな」


 セラフィムが翼を広げて時を戻すかのように壊された校舎を修復していく。だが、超常的な力を持っても亡くなった命までは戻らない。巻き戻しの対象内に知り合いの姿があったのだろう。傷一つない亡骸を見つけては、懸命に揺さぶるもその目が開くことは二度となかった。


「エンバーミングまでしてくれるなんて随分と優しいのね」


「リップサービスしておいただけだ。異星人とはいえ、友の最期を痛ましい姿で見送るのは辛いだろうからな」


「それもそうね」


「エクステラ、君に一つ話さないといけないことがある。我が城まで来てくれないだろうか」


「ちょっと待った!先に私たちに話すことがあるでしょう!」


「うんうん、そうだよ」


「先客がいたわね……この際だから、そちらで一緒に話しても良いかしら」


「「えっ?」」


「別に構わんぞ」


「「別に良いの!?」」


 自分たちを助けてくれたとはいえ、敵対していたこともある天使、その拠点にあっさりと案内の許可が下りるとは思っていなかったアスカたちは戸惑いながらも同意する。

 セラフィムの魔法であっさりと宇宙空間にあるドーム状の船の上にある宮殿前まで転移する。


「えっ、宇宙!? スクリーンとかじゃないわよね……」


「あれ、地球じゃない!イエーイ(パシャ)」


「自撮りしている場合!?」


「まあまあ、せっかく宇宙来たんだし、記念写真撮って皆に自慢しちゃおう。きっと驚くよ~」


「このノーテンキ……休戦中とはいえ、ここが相手の本拠地だってこと忘れてないわよね」


「でも、助けてくれたから良いんじゃない? あっ、セラフィムさん、撮影しちゃったけど、撮影OKですよね?」


「このあたりに機密になるものは無いから構わないが、今後は許可を聞いてから撮影するように」


「は~い」


「良いんだ……なんかピリピリしていた私が馬鹿みたいじゃない」


 みみみ(とそれに付き合わされているアスカ)が自分のスマホでそこらの風景を撮影している最中、エクステラは信二の姿に戻り、敵対する意思が無いことを強調する。


「アンタ、変身解いて良いの?」


「ああ、セラフィムにはエクステラの正体を明かしているからな」


「ふ~ん、私たちよりも先に正体を教えているんだ」


「おいおい、これから話すことはセラフィムにも教えていないことを話すつもりなんだ」


【虎西の生徒会長さんには教えたんですけどね~】


「おい、ステラ、黙ってろ!」


「「じっ~」」


 なんで他校の人に教えているのに仲間の自分たちには教えてくれていないのと言わんばかりの冷たい視線が信二に突き刺さる。ここで言い繕っても言い訳にしかならないから、早く事情を話してしまいたいと思うほどだ。

 セラフィムに以前対談したバルコニーに案内され、ポニ子が持ってきてくれた緑茶と栗きんとんを頂きながら、信二は異世界出身であることや原作知識、これまでの裏工作を包み隠さず話していた。


「えっ~と、つまり、アンタはダンジョンの無いパラレルワールドからやってきて、実はこの世界がゲームの世界で、本来ならそこのセラフィムと全面対決になる未来を避けようとしたって言いたいわけ?」


「そうだ」


「異世界からの来訪者か……いかに宇宙広しと言えども、出会ったのはお前が初めてだな」


「今、配信のアーカイブ見直したんだけど、あの研究所で追いかけた男の子、確かに信二君に似ているかも」


「本当? ……って、薄暗いし、後ろ姿しか映ってないじゃない!こんなの髪型さえいじったら私でもマネできるわよ」


「だって、この頃は迷惑系やっていたからバレないようにしていたもん」


「仕方ない……わね。情報の波にのまれたせいで、ちょっと疲れたから一息入れるわ」


「それにしてもこの緑茶。ちょっと渋いけど、後味がさっぱりするというかなんかデトックス効果ありそうな感じだよね」


「それを言うなら、この栗きんとんも栗っぽいけどちょっとミントみたいなすっきり感が……ポニ子、この緑茶と栗きんとんってどこで買ったの?」


「これは惑星バンダラ産のササ茶とマカロンでございます」


「バンダラ?聞いたことが無いな」


「これ、笹なの?」


「マカロン? 栗きんとんじゃなくて?」


「バンダラ語をこの星の言葉に無理やり置き換え、あなた方で言うと英語をローマ字読みしいぇいるようなものなので、同音異義語が含まれている可能性があります。惑星バンダラは太陽系外にある惑星でバンダラ星人、分かりやすく言えば獣人と呼ぶべき人が住んでいる惑星ですね」


「先住民は好意的で知性も高かったが、宇宙線量や有害ガス濃度が高く、移住には不適格な星であったため渋々離れることとなった星だ」


 バンダラ星人というのはこういう生き物だと空中ディスプレイに映し出されると地球でも見覚えのある生き物がカンフーのようなポーズをしたり、店を開いて客寄せしている姿があった。


「こ、これは……」「どこからどうみても」「パンダじゃない!」


「我々もこの星で見かけたときは驚いたが、こちらでは喋らないのだな」


「パンダが喋ったら大問題よ!ってか、その星の飲み物とか食べ物口に入れても大丈夫なわけ!? 毒物が多いんでしょう!」


「それはあくまで大気の問題だ。バンダラの植物や動物は自身で毒を分解するように進化してきたおかげで、食用にしてもデトックスやストレス軽減効果がある。我々が口にしても問題は無い」


「地球人に食べさせたのは?」


「初めてだが」


「でしょうね!客人に毒味させてどうするわけ!せめて、事前に言ってから食べさせなさいよ!」


「これが浪速のツッコミという奴か」


「ツンデレというものでは?」


「なんでやねん!」


「キレキレのツッコミ芸人はさておき『誰がよ!』、俺に何か話したいことがあったんじゃないか?」


「ああ、そうだ。他の船団とコンタクトを取り、堕天使の正体を探ろうとしてな。つい先日、その調査報告が届いた」


 後ろで控えていたみつ子が、空中ディスプレイにその詳細を表示させる。天使時代の顔写真にわざわざ日本語に翻訳された内容をじっくりと読んでいく。


「今から3000年以上前、セラフィムたちよりも先に太陽系方面に向かった移民船団員。異能は【同化】、相手を取り込んでその能力を得ることも、相手に自身の能力を与えることも可能。ドーピング薬は同化作用を抑えて作られたものだが、多用すると同化作用により天使化するか……」


「昔すぎてどれくらいの時代かよくわからないわね。古代ローマくらい?」


「確か古代ローマが建国されたのは紀元前8世紀ごろだから、もう少し古いな。紀元前10世紀となるとダビデやソロモン王の時代、日本だとまだ縄文時代だな」


「うわ~神話だとか神秘色濃く残る時代だ……」


「ティアマトの口ぶりからするに地球にやってきた地球に降り立ち、堕天使を使役していた天使が古代人と交流。今回と同じく、天使たちはティアマトの戦いでは古代人側として戦ったのだろう」


「まさに歴史は繰り返されたわけね」


「だったらなんで堕天使はあんなに人を憎んでいるのかな? 昔の人とは仲良くしていたんでしょう?」


「考えられる理由としては交流していた古代人が別の古代人に滅ぼされたんじゃないか。疫病や自然災害なら憎む理由は無いし、古代文明が滅びる理由としては疫病や災害に次いでメジャーどころだからな」


「待て。当時の天使たちと交流していた現地民はティアマトを封印できるほどに強いのだろう。そんな簡単に滅ぼされるものなのか?」


「ティアマトを倒すのにどれだけの犠牲が掛かったのかは分からんが、それ相応の犠牲は出たはずだ。実際、俺たちもダンジョンが無かったら滅びかけていただろうからな。そして、侵略者にとっては相手が世界の英雄だろうと弱っている内に叩く。兵法の基本だろうさ」


「……ってことは堕天使の目的は」


「ああ。世界を救ったのに滅ぼした恥知らずの子孫が俺たちなら、あれだけの憎悪を抱くのは分かる。ましてや、その子孫が自分の身体を使ってドーピング剤を作っているとなれば、なおさらな」


「……なんてことだ」


「あくまでこれは推測に推測を重ねたもの。真実は堕天使だけが知っている。仮にこれが真実だとしても……この世界に住む人々が背負うべき原罪だったとしても……俺たちは異なる道を選ぶことができる!」


「異なる道って?」


「ああ。セラフィムが調べてくれたこの情報で堕天使が次に打ってくる策は見えた!」


「堕天使の策とは一体?」


「地球人と友好的な関係を築き上げている天使、ティアマトの出現と撃退、ここまで過去の歴史と一致しているなら、奴の取ろうとする策は一つ。歴史の再現!つまり、外部の人間によって日本を滅ぼそうとしてくるはず」


「!? ちょっと待って、それって外国人が日本に侵攻してくるってこと? さすがに馬鹿じゃないでしょう!」


「いくらなんでも突拍子も無いんじゃあ……」


「俺が元居た世界ではアメリカや中国が日本よりも経済面では追い抜いている。だが、この世界ではダンジョンの出現によって日本が1世紀以上リードし続けている。だが、そのリードもステラの事件をきっかけに成長は鈍化、今やその二か国に追い抜かれるのは時間の問題だ。いや、時間の問題だった。天使との和平の可能性が出てくるまではな」


「もし、我らが和平を結べば、住ませてもらう代わりにこの国と技術や人材交流を行っていく。そうなれば、他国がこの国に追い付くのは当分先になる」


「ああ、本来の歴史ならば世界の覇権を取れていたはずの大国がダンジョンと天使の出現で極東の小さな島国に大きく差を付けられているってのは面白くないだろうさ。つまり、なんらかの難癖をつけて攻め込む理由がある」


「我らの存在自体が火種になっているというわけか……ならば、おとなしく去れば……」


「そうもいかないだろう。配信で大々的に発表した上に、居なくなっても裏で取引していたんじゃないかと勘繰る連中はいる。侵略が遅くなるだけで根本的な解決にはならない」


「議論が白熱しているところ、失礼します」


「どうしたの、みつ子?」


「掲示板の書き込みをご覧ください」



 456.名無しの探索者

 現地民の情報によるとエクステラがワープホールを作ってスタンピードを引き起こしたらしい


 457.名無しの探索者

 ああ、知っている俺も見たぜ


 458.名無しの探索者

 もしかして虎西のスタンピードを引き起こしたのエクステラの仕業じゃねえwww


 459.名無しの探索者

 ああ、メタルザウルスのことやけに知っていたみたいだし、自作自演じゃねえwww


 460.名無しの虎西生

 でも、助けてくれたし……

 いくらなんでも自作自演ってことは……


 461.名無しの南雀生

 そうよ、ティアマトに吹き飛ばされそうになったところを助けてくれたのよ

 いくらなんでも命がけで助けてくれた人をそういうふうに言うのはひどくない


 462.名無しの探索者

 バーカ、エクステラは自作自演の偽英雄なんだよwww


 463.名無しの亀北生

 アンチはアンチスレな

 あと通報しておいたから


 464.名無しの探索者

 そのうち中傷コメント消されるやろ

 せやけど、なんで急にアンチが現れたんや?


 465.名無しの探索者

 有名税みたいなものだろ

 俺たちだって、有名人の不倫とか叩くし……


 466.名無しの探索者

 ああ、分かるわ~



「なによ、これ!?」


「アンチコメは複数のIDから書き込んでいるようだな。動けない代わりに情報戦を仕掛けてきたか」


「よくこんなあること無いこと書かれて平気でいられるわけ!」


【そうですよ!美少女の頑張りが賞賛ではなく誹謗中傷になるなんておかしいです!】


「確かにこのままアンチ工作を許せば、掲示板のデマからメディアによる扇動に移る。そうなれば、いくら火消しをしたとしてもダークヒーローから一転、ただの犯罪者、いや虐殺者になるだろうな。このままだったらの話だが」


「その言い方だと策はあるようだな」


「無くはない程度しかないが……要はエクステラの自作自演という疑惑、その話題をすり替えられるほどの大きな話題を用意すれば良い。そのためにもセラフィムとみみみ、それとアスカの協力も必要になるかもしれない」


「私の?」


「私も?」


「堕天使が絡んでいる可能性がある以上、協力するのは構わないが何をするつもりだ」


「決まっている。配信だ」


 この場にいる全員に自分の策を教えていくうちに、みみみとアスカは頭を抱え始める。あまりにも突拍子もない策だったからだ。


(忘れていた……信二って結構パワープレイ大好きだったんだ。それにしても無茶でしょう。煙を立たせている放火魔に向けて爆弾を放って、火種ごと消し飛ばすみたいな)


(私の責任重大過ぎない? 今更BANは怖くないけど、私、ただの迷惑系Dtuverだったんだよ……)


「こちらから餌を渡せば、やれなくはないな。それで卑劣な策を潰せるなら、喜んで協力しよう」


 あと数日で夏休みが明ける学園生活が怖いくらいにはどうしようかと思うほどに策を聞いたのを後悔するのであった。

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