第38話 亀北ダンジョンRTA part3
【なぁにこれぇ】
【周りの木々が消し飛んでいたのじゃが】
【名付けてハンドクリーム】
【wwwwwww】
【wwwwwww】
【それを吹き飛ばすエクステラもヤバいが、あのバリアが多層ってのもやべえよ】
【よく被害出なかったね】
【現地にいるのですが、そんなことになっているとは知らず……】
【揺れはあったから外で激しい戦いをしているのだろうなくらいしか】
【あの智天使級を破ったのが未成年という事実】
【大人仕事しろ】
【どうやれと!?】
【勝てぬ!】
【熾天使:改めてみてもなぜ負けたのか、それが分からない】
【結束の力】
【人はそれを友情って呼ぶんだ】
【絆パワー】
【勇気】
【ド根性】
【美少女】
【熾天使:精神論か。だが、その程度で返せるほど甘くはなかったはず】
【火事場の馬鹿力ってのもあるしな】
【危機的状況に陥らない限り、人間の脳は大半が眠っているってのは聞いたことがある】
【リミッター解除って奴だな】
【でも、それって否定されてなかった?】
【そうだっけ?】
智天使級の動画の感想を言い合いながら、ワイワイと言っているうちに下層・2階層を突破する。結局のところ、階層抜けできたのは例の中層ぶち抜きしかなく、ことダンジョン攻略に関しては目立った新情報は無い。2階層となるとひと際ガタイが大きいミノタウロスの強化種やクリスタル系のモンスターに手こずりながらも進軍していく。
【結構時間かかっているね】
【階段前にモンハウあるのが痛すぎ】
【あそこで戦力消耗されるから深層まで行けず撤退が多いことよ】
【6時間は優に経過しているな】
【もう12時過ぎていたんか】
【いつ新情報が出るか分からないから、下手に寝れねえ】
【金曜日で良かった】
【あの明日、仕事……】
【有給とれ】
【社畜、お前の分まで見てやるよ】
深夜帯になったことで同接数が減ってきたものの、それにかまけてこちらも手を抜くわけにはいかない。とはいえ、天使との連戦からの疲れもある。疲労困憊。どこかで休憩が必要なのは明確であった。
「予定通り、このセーフティーゾーンで一休みするか」
「ええ、そうしましょう」
「モンスターが出ない階層間の階段には感謝ね」
休憩の一言でどさっと軍人や自衛隊がその場で座り込み、水筒の水を飲んだり、携帯食を食べ始める。中には仮眠をとる者もいる。
【やっぱきついんだな】
【ぶっ通し6時間はプロでもあかんか】
【すげー汗】
「さてと、休憩している間に投稿されていた質問に答えようのコーナーです。記念すべき一つ目はジャン☆ズバリ、付き合っている人はいますか。速水一尉は居ないとして、鷲崎さんお答えください」
「ちょ、ちょっと誰が居ないって!? 私にだって……」
「リョウコちゃん……」
【六花ちゃんの目が雄弁に語っていて草】
【居ないの確定】
【これほどわかりやすい嘘はない】
「居ねえよ。第一、俺は常在戦場。女を待たせる趣味も、泣かせる趣味もねえ」
【かっけー】
【これはアニキ】
【誰だよ、禿鷹呼びした奴】
「禿鷹は忘れろ。あと貴重な休憩だ。迷惑かけるなよ。こっちは今のうちに関係各所に連絡しないといけないんだ」
「はーい。というわけでエクステラは?」
「そうね。ある意味では貴女かもね」
「ええーっ!?」
【キマシタワー!】
【百合園開園】
【付き合っていた】
【みみみの嫁】
【俺の嫁の嫁】
【↑あ~ん、てめえやるつもりか】
【ちょっと表に出ろや】
エクステラの爆弾発言で沈静化していたコメント欄が大爆発。それと同時にみみみの顔が真っ赤になって首を横に振る。
「いやいや、私たち女の子同士だし」
「じゃあ、私が男の子だったら付き合っていたの?」
「エエー!? それはその……」
【おっ?】
【ん?】
【これ脈ありでは?】
【マジで百合?】
【おめでとう】
【おめでとう】
【おめでとうさん】
「ふふ、冗談よ」
「だ、ダヨネー。うん、そんなことしたらダメなんだから」
【まだ顔が真っ赤】
【これでマジで脈ありでは?】
【何言っているんだ。命の危機を2,3回くらい救って、家族の敵を討って、妹さんを蘇生しただけじゃないか】
【十分すぎて草】
【惚れる要素しかねえわ】
【エクステラが男だったとしても惚れる】
【掘られても良い】
【ホモォ】
【エクステラ男体化本に需要が!?】
【馬鹿な、このリハクの目をもってしても読めなかった】
【節穴定期】
【お前、何なら見抜けるんだよ】
【く、くそやられた(エクステラ×みみみ百合もの執筆中)】
【エクみみ百合ものが時代に取り残されるなんて……】
【怖いか、新時代が】
【これより、エクステラ♂×みみみ本の制作に取り掛かる!】
【コミケに間に合わねえよ!】
【間に合わすんだよ!】
「ちょっと、私の知らないところでそんなものを作らないでよ。あっ、でも一冊お願いします」
【wwwwwww】
【草】
【書き終えたらあげないと】
【郵送しなちゃ】
【地方民なのでスパチャしておきます】
その後も雑談を続けるも、さすがのみみみも疲れたのかダンジョン壁を背にして仮眠を取り始め、その場から動かなくなった画面を見た視聴者たちも各々眠りにつくのであった。
朝が明けると同時にエクステラたちの進軍が始まる。3階層となれば、レアモンスターであった強化種も通常エンカウントし始め、国防軍の装備では有効打になりにくくなってきた。そのため、ここまで温存してきた自衛隊が矢面に立ち始める。
対峙するは3階層のボスモンスターであるブルーオーガとレッドオーガの2体。ミノタウロスと比べれば体力や突進力こそ劣るものの、魔法が使える知性がある分厄介さは上といえる。そんな2体のオーガに屈強な男たちが帯刀していた剣を抜き、ある者は魔法を放つ。
【下層は剣と魔法のファンタジーだって聞いたけど、本当なんだな】
【国防軍も銃を撃っているけど、効いてねえ】
【昨日言っていた物理耐性が高いって奴か】
【えぐいな】
【バズーカでもひるませるだけか】
【隙はできているから無駄ではないけど、コスパ悪そう】
【景気よくドカドカ撃つとか普通のパテだと真似できねえ】
炎を吐いているレッドオーガに弱点属性である水属性を纏った斬撃が浴びせられ、よろめくところに氷の槍や剣、氷柱が突き刺さり、倒れていく。相方が倒されたことで凶暴化したブルーオーガが氷で作り出した分身と共に自衛隊員に襲い掛かるも、魔法障壁でしっかりとガード。オーガの勢いを殺したところに、バインド魔法でブルーオーガの動きを封じ込め、背後から忍び寄った隊員たちの攻撃がお見舞いされ、ブルーオーガも倒れるのであった。
【焦る様子も無くリタイアゼロかよ】
【改めてみるとえぐいな】
【でも、この連携は普通に参考になる】
【やっていることはタンクが止めて、隙作って攻撃。基本に忠実】
【ネタ扱いしてごめんなさい】
「だが、俺の部隊の大半はここでリタイアだ」
【どうして?】
【この先は深層で通常武装が通用しないから】
【ここからは魔法を主体にしないといけないらしい】
【らしい?】
【深層の生配信はこれが日本初】
【日本の法律だと深層以降は国の許可がない限り配信行為は禁止されている】
【そもそも入るのに国の許可いるしな】
【じゃあ、これが日本初の深層の映像記録ってこと!?】
【土曜日の朝なのに同接100万超えているのも納得】
【むしろまだ伸び続けているからな。休日ってこと考えたらダブルミリオン行けるやろ】
鷲崎の言葉に従い、国防軍メンバーが緊急脱出装置で地上に帰還し、配信前に行った打ち合わせ通り数人だけが残る。戦力ダウンは否めないが、攻撃が通用しない者を連れていけるほどこちらに余裕はない。この後の激戦も考えればなおのことである。
「さてと、行くか。大物を狩りにな!」
鷲崎が深層に繋がる扉を開け、足を踏み入れた瞬間、灼熱のマグマが襲い掛かるのであった。




