大いなる旅立ち。6
私と秀郷様は、まるで急流の様に逃げ惑う街の人々を払い退けながら、荒れ狂う大ムカデの前へと再びやって来た!
大ムカデは橋に登り上がって、怒りに任せて街を襲おうと迫って来ていた!
秀郷様は矢を射掛けるが、やはり弾かれてしまった。
『何だ! やはり先程と同じでは無いかっ!?』
『それでは駄目です!』
『何が駄目なのだ!!』
大ムカデは私達に狙いを定めて、激しく襲い掛かる!
私達は、何とか大ムカデの攻撃をかわした。
『こ、これでは手がつけられん!』
だけど私の眼には、大ムカデは冷静さを無くして、隙だらけに暴れている様にしか映らなかった。
これなら、絶対に倒せる!
『秀郷様! 次の矢を!!』
『し、しかし何本矢を射ようが同じだぞ!?』
『矢尻をお舐め下さい!!』
『や、矢尻を!? こんな時に何を申すと思えば!
やはり、あの目に刺さった刀を抜いて戦うしか有るまいっ!!』
『秀郷様! どうか私を信じて下さい!!』
『し、しかしっ!』
『あ、危ないっ!!』
その時、大ムカデが私と秀郷様に襲い掛かって来た!
『く、くそっ!!』
私も秀郷様も観念した様に眼を瞑った。
あ、あれ??
何も感じない。
恐る恐る眼を開くと、そこには雄々しく立ちはだかる将門様の姿が在った。
『アヤメ! 秀郷殿!!
は、早く逃げよ!!』
将門様は、必死で大ムカデの攻撃を太刀で受け止めていた。
『ま、将門様っ!!』
『将門殿っ!』
『アヤメ! 長くは持たぬ!!
は、早く逃げろっ!!』
そして、将門様は大ムカデの足に捕らえられ、軽々と身体を天高く上げられてしまった。
『ぐわぁぁーーっ!』
『将門様っ!』
『将門殿っ!』
大ムカデは口を大きく開けて、将門様の首を喰らおうとする!
『ひ、秀郷様っ!! お願い!!
早く矢をっ!! このままだと、将門様がっ!!』
『わ、分かった!!』
そして、秀郷様は矢尻を口に含み矢を番えた!
『な、南無三……っ!!』
秀郷様の手から放たれた矢は、月夜に照らされながら、大ムカデの額に向けて弧を描く。
そして、矢は大ムカデの額に突き刺さった。
大ムカデは、大きな音と共に瀬戸の大橋に崩れ墜ちた。
©︎2022 山咲 里




