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スライムの復讐  作者: シエラ
一章
37/39


仮眠から目を覚ました後も『河床のダンジョン』の探索を進めていく。

4階層以降はモンスターの見た目は似ているが色が違う個体が紛れる様になってきた。色が違う個体は名前の初めにハイがついていることから上位個体だと思うが総じて動きも強さも上層で見かける個体を上回っている。

最初は速さなどが違ってビックリすることがあったがそれでもレベルが上がった今では大して苦戦することなく相手取ることが出来、レベルを上げることに一躍かってくれている。


他にも冒険者がいたがローブで顔を隠すなどしてそのまま進むこと、体感で1日経ったくらいで6層目へと降りる階段を見つけた。階段を降りたところ、他のダンジョンでも見かけるダンジョンボスに繋がる部屋への扉を見かける。どうやら6階層目全てがボスのフロアの様だ。


幸い、このボス部屋の前には他に冒険者がいない。連戦で疲れているため、再度、食事を取ってから他の冒険者などを警戒しつつ仮眠を取る。

そうしてコンディションを少しでも整えたところで準備運動をしながらステータスを確認する。


・イーライ(繧ケ繧カ繧ッ) Lv.321 ランクE

スキル

剣術:Lv5、雷魔法:Lv5、成長補正、収納、吸収、擬態、魔力操作


「おぉ、35もレベルが上がってる!」


ハイペースでモンスターを狩っていたから300は超えていると思っていたが35も上がっているとは思っておらず少しビックリしてしまう。これで大台だった300を超えることが出来、目標達成に向けて近づけた様に思える。


そのことに嬉しくなりつつも思考を目の前のボスへと切り替える。

確かダンジョンの図鑑によるとボスはキングニュートという平たく黒い四足歩行の蛇の様なモンスターだったはず。推奨レベルを超えることが出来ているし、魔法の相性もいい。


「とはいえ、ダンジョンボスはソロだと推奨レベルよりも最低50は上に見たほうがいいって書いてあったし油断しない様にいかないとな。と、そういえばダン達からもらったこれもすぐに使える場所に入れておいてっと……」


もしものことがあったときにとダン達から脱出用のクリスタルもこの間の夜にもらっていた。ダンジョンの報酬でしか手に入らないため、なかなか市場にも出回らないから固辞しようとしたが向こうもこちらがソロで潜っていることを心配してか引かず、結局押し付けられた形になったが本当に色々と俺の事を気にしてくれているようで感謝しかない。

気を引き締めつつ、ボス部屋へと入り周囲を確認する。中は一階層まるまるボス部屋のため、広いが構造はこれまでの階層同様、基本は岩場で地面には少量の水が流れている。そして右手側の奥には大きな川が見える。

だが肝心のキングニュートが見当たらない。扉から入ってすぐの範囲のため見当たらないだけかと思ったが殺気のようなものを感じ、咄嗟に右に全力でジャンプして避ける。

勢いそのままに転がりながら距離を取ってさっきまで立っていた場所を確認すると青く首の長いドラゴンがおり、口からは何かの黒い足のようなものを咥えている。


「ドラゴン!?そしてあの食べられているのはもしかして……?」


ダンジョンボスの他にモンスターがいるなんて初めてのことに驚愕するもふと図鑑の最初に書かれていたダンジョンの概要の一部を思い出す。


「たしか特殊条件下において通常のボスとは別の個体が出現することがあると書いてあったが……っ!」


考え事をしていたら眼前のドラゴンが咥えていた何かの足をこちらに飛ばしてくる。

なんとか左に飛んで回避するも体勢を立て直す前にドラゴンが間合いを詰めてきており、間一髪で剣を鞘から抜いてガードする。しかし、往なす事はできず、水が流れている方に飛ばされてしまう。

なんとか衝撃を殺して体勢を立て直しながら飛ばされた方へ視線を向けるとドラゴンが口から何かを吐きだそうとしているのが見える。おそらくブレスだろうがこれまで見たことのあるものは主に火を広範囲に吐くものばかり。飛ばされたことで距離が空いていることでそこまで脅威ではないだろうと楽観視しかけるがモンスターもそこまでバカではないと考え直す。

体勢はまだ立て直せていないが念のために魔力をありったけ足にこめて横に飛ぶと背後で衝撃と砕けた岩の破片がこちらへ飛んでくる。

転がりながら背後を確認するとドラゴンの目の前からさっきまで立っていた場所への直線上の地面に一本の亀裂が走っており、その奥にあった岩も真っ二つに切れている。その光景にもしあのまま楽観視して回避が遅れていたらと考えるとゾッとする。

すぐに追撃に備えてドラゴンへと視線を向けるとまだ先程の位置から動いていないようだ。これ幸いと体勢を整える。


「しかし、なんていう威力だよ……。てかキングニュートってのもいないしやっぱりあの食われてた足ってそういうことか?てことは推奨レベル300のダンジョンボスを倒せるレベルのモンスターってことになるがそんなやつ俺に勝てるのか?」


体勢も立て直すこともできて相手もブレスの後はすぐに動けないようで余裕ができた事で現状を把握する時間ができたが考えれば考えるだけ悪い予想が立つ。

このままクリスタルで脱出しようかとも考えたが……


「コイツに尻尾巻いて逃げるようじゃあいつに一泡吹かせてやることなんて出来ねぇよなぁ……!」


俺には超再生というスキルがある。死にかけてからでもクリスタルを使えばなんとか生き延びることができるはず。何もしないうちから逃げる事を考えている自分自身に喝を入れて眼前のドラゴンへと目を向ける。


ドラゴンも連続でブレスを打つことができないのか少し距離が離れているこちらへブレスを放ってくることもなく、軽く助走をつけた後に翼で低空飛行しながらこちらとの距離を詰めにくる。

相手も勢いのまま噛みつこうとしてくるがこちらも迎え撃つべくドラゴンへと距離を詰め、スライディングの要領で下に抜けて回避してから腹を斬りつける。しかし、体勢的に踏み込めないため魔法を纏わせていても深くは斬り込めない。

それでも軽くは斬れた。そこまですごい硬いというわけでもなさそうだ。


そのままドラゴンは低空飛行のまま背後に飛んでいくのを体勢を立て直しながら確認する。するとそのまま川の方まで飛んで行き、水を口に含んでお腹が少し膨れていく。

もしかしたらさっきのブレスはああして水分を体に取り込んでそれを飛ばしていたのかもしれない。

そのことに気づいたときには遅い。再度、ドラゴンは先ほどブレスを放った時のように少ししゃくるような頭の動きをさせたかと思うと口からブレスを放ってくる。


「マズイ……!」


今度はさっきよりも余裕があった為に横に飛んで回避しながらブレスを確認することができた。見た限り、火やその他のものではないように見える。やはりさっき体内に取り込んでいた水を飛ばしているようだ。

また水を蓄えられてはマズイ。急いで距離を詰めようとするもドラゴンも水を体内に取り込んでいく。

なんとか追加でブレスを撃たれる前に近づくことが出来たが距離があった為、体内にはある程度の水が蓄えられてしまった。距離を詰めた勢いのまま今度はこちらから攻撃を仕掛ける。しっかりと踏み込んで魔力と魔法を纏わせつつ首を狙って横薙ぎに斬りつける。

相手も爪で塞いでくるが構わず全力で斬りかかる。水とは相性のいい雷の魔法を纏わせているためか多少の抵抗を感じるがそのまま爪ごと切断して首へと斬りかかる。

しかし、爪を間に挟まれたことで軌道がずらされてしまい首を落とすことは出来ず、少し斬りつけただけに終わる。それでも多少のダメージを与えることができたようでドラゴンも吠える。

顔の近くで吠えられたことで頭を揺さぶられたかのような衝撃と耳の痛みに少し怯んでしまうが気力でなんとか堪えて追撃をするべく剣を斬り返す。

しかし、ドラゴンもしゃくりながら噛み付いて来るかのような動きを見せる。少しとはいえ怯んでしまったのが災いしたのかこちらの攻撃よりも先に向こうのほうがこちらを捉えそうだ。斬り返すのをやめてなんとか地面を蹴って右斜め後ろに少し下がって噛みついてくるであろう軌道を予想してギリギリで回避し、そのまま再度首を斬りつけようとする。斬りつけようと体勢を変えようとするも目の前でドラゴンの口からブレスが吐かれた。幸い、噛みつきを想定して右斜めに下がっていたから体を真っ二つにはされなかったが左手が肩の根本辺りからバッサリと飛ばされ、ブレスの勢いで右後ろへと飛ばされそうになる。

この距離だから噛み付いてくるものだと、ブレスは撃たないものと勝手に思い込んでいた。それによって左手が飛ばされてしまった。

しかしまだ攻撃の機会は残っている。ブレスを放った反動でドラゴンは頭が上を向いており、首元がガラ空きの状態になっているという千載一遇のチャンスだ。

ブレスの衝撃で飛ばされそうな勢いもそのまま活かせる様に体勢を無理矢理変えながら時計回りに一回転する様に動き、ブレスの勢いを残しつつ、右手に全力で力と魔法を込めた一撃をドラゴンの首元へと斬り込む。

左腕が無いことでバランスがうまく取れずに倒れそうになりながらも急いで距離を取りつつドラゴンを確認する。

背後では喉から青い血を溢れさせながら倒れるドラゴンの姿があった。


毎晩副業で出かけてたら全然書く時間がなかったです……。

そして戦闘シーンってやっぱり難しいですね……。


作中のニュートはオオサンショウウオみたいなもの、ドラゴンは海外の雨樋にもあるようなガーゴイルの元ネタとも言われているガルグイユです。

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