㉓
4/5改稿
「―――んで――だよ」
どこからか話し声が聞こえてくる。
(あれ、いつの間に寝たっけ?てか何してたんだっけ……?)
少しずつ意識がはっきりとしてくる。
(そうだ、確かダンジョンに潜っていてそれから……)
そこで勢いよく体を起こし周囲を警戒するべく背中の剣を構えようと手を持っていくがいつもある場所に剣の柄がなく空振りに終わる。そして体が重く、思う通りに動かない。
「あ、起きたみたいよ。君大丈夫?」
「おいおい、落ち着けって。俺らは敵じゃねーよ」
声が聞こえたほうを見てみると獣人の男女が焚火の周りから立ち上がってこちらに向かってくる。
「……誰だ」
「ご挨拶だな~、俺らは倒れてたお前を助けてやったんだぜ?」
「そうそう、1層目からの階段を下りてたら人が倒れててびっくりしたんだからね!」
「階段で……」
そういわれて意識を失う前のことを思い出す。確かワイルドフィグを食べながら歩いていたがいきなり気を失ったような…
「……そうだったのか。それなのに失礼な態度をとってすまない。それと助けてくれたこと感謝する」
「わかってくれたのならいいんだよ。だからそんな警戒してないでこっちに来いよ」
「まだしんどそうだしこっち来てゆっくりしなよ」
そういって女性の獣人がコップをこちらに向けてくるが念のために断って焚火に近づいて腰を下ろす。
そこでフードが外れていることに気づいて慌ててフードを被りなおす。
「おいおい、そんな急いで顔隠すなんてお尋ね者か?」
「あ、いや……」
「お尋ね者なら捕まえないとだね~?」
「いや、違うんだ……この見た目ってこの国だと忌み嫌われているから……」
「あーそんなこと?私たちこの国の人じゃないから気にしないよ?」
「そうだぜ?そんなこまけぇこと気にすんなって!」
ガハハと笑いながら二人して俺の背中を叩いてくる。
豪快なだけじゃなく、すごく気さくな二人組のようでそのままお互いに自己紹介をする。男性の獣人は『ダン』で女性の獣人は『シェリー』という名前らしく隣の獣人が納めている国からわざわざ来ているらしい。なんでも再来週の建国祭の為に来たらしいが早く来すぎて暇していたからダンジョンに潜っているんだとか。
「それにしてもイーライはなんであんなところで倒れてたんだ?」
「いや……俺もよくわからないんだよ。この実を食べてたらいきなり気を失って……」
「どれどれ~?あー、ワイルドフィグと間違えて毒あるやつを食ったんだな。よく似ているから鑑定を持っていないやつが間違えて食べて気を失っているところをモンスターにやられるっての聞いたことがあるぜ」
どうやら似ているが別の食べ物のようで毒があるもののようだ。
「まぁ階段で倒れてたし、モンスターにやられる心配はないけど冒険者もいろんな奴がいるんだし気を付けたほうがいいぜ?」
「……そうだな。くそみたいなやつもいるしな」
そこでクリスのことを思い浮かぶ。
「お?何か経験でもあるのかな~?まぁまだ体も本調子じゃないでしょ?今はゆっくり休みなよ!」
「俺らが見張っておいてやるからまずは体を休めろよ」
「いやでも……ただでさえ助けてもらってるのにその上先に休むなんて申し訳ないというか……」
「いいから気にするなって!その代わり起きたら見張り交代してくれよ?俺らも休みたいしさ」
まだあまり関わったことがないため警戒するも殺すつもりなら倒れていた段階で止めを刺すこともできたはずと考え直す。
「……じゃあお言葉に甘えさせてもらってもいいか?」
「おう!病人は大人しく寝てな!」
念のために剣を抱えながら壁にも足り掛かって寝ることにする。




