⑳
4/5改稿
ダンジョンの入口からすこし進むも景色は変わらず、荒れた地面とところどころ生えた雑草が見えるのみでまだモンスターに出くわしていない。
さっき出くわした冒険者達以外にも先に潜っている冒険者がいるのかもしれない。
モンスターになかなか出くわさないため、植物にも意識を傾けてみる。図鑑に書いてあったがこのダンジョンには売却できる植物や鉱物があるらしい。つるはしは持って来ていないから鉱物を取るのは無理だが植物ならば可能だろう。
(たしか地面に生える黄色い実は売れるって書いてあったな。甘くておいしいとも書いてあったから食べてみたいな)
そんなことを思いながら進み続けていると背後の雑草から突然狼が現れ、飛びついてくる。
油断していたこともあるかもしれないが全く気配を感じず、いきなり現れたことで反応が遅れる。とっさに振り向いて避けようとしたため、背中から一撃をもらわずに済みそうだが相手の動きも早く、完全に回避するのは間に合わない。
少しでもダメージを軽くするために地面を蹴って狼の突進を和らげる。それでも勢いが強く、強烈な痛みがガードした左腕を襲う。そのまま吹き飛ばされたが受け身を取り、何とか体勢を立て直すも狼からの追撃がくる。
左腕の痛みを我慢しながら何とか回避して距離を取りつつ剣を構えて狼を観察する。
どうやら相手はウォーグというこのダンジョンでよく出ると書いてあった狼で体長は大きいもので大人よりも大きいものも存在するとか。今回のウォーグはそこまで大きいものではなく俺よりも少し小さいくらいのサイズだ。
基本的に群れで行動することが多いらしく、連携して冒険者を襲うと書いてあったが周りに他に狼の姿はなく、単独で襲ってきたようだ。
(もし群れでまとめて攻めてこられてたら危なかったな……まぁ群れで行動していなかったから気配に気づけなかった可能性もあるが)
もし複数で攻撃されていたらこうして体勢を立て直して冷静に考える時間も余裕もなかったかもしれないし、下手したら命を落としていたかもしれない。
相手もこちらが体勢を立て直して警戒しているためか様子を見るようにこちらを睨み付けているものの攻撃を仕掛けてこない。
いつまでもこうしているわけにもいかないし、他のモンスターが来ても面倒だ。足に魔法を纏わせて痛む左腕を我慢してウォーグに斬りかかる。相手も横に飛びこちらの攻撃を回避しようとするも魔法で強化しているこちらのほうが速さでは上のようで攻撃は届いたものの左腕にあまり力を籠めることが出来ず、致命傷に至るほど深くは斬れなかったがそこそこのダメージを与えることが出来た。
そのままウォーグに数回攻撃を繰り返して何とかウォーグを倒すことに成功する。
「ふぅ、ダメージのせいで思いのほか手こずってしまったな」
周囲を警戒しつつウォーグの回収とポーションでの回復を行い、気を引き締めて先へ進む。
すると今度は3匹のウォーグを発見する。どうやら向こうもこちらに気づいているようで走って近づいてくるがまだ距離がある。
少しでも数を減らして戦いやすくするため、雷属性の魔法を飛ばして先制攻撃を仕掛ける。3発飛ばしたうち2発は回避されてしまったが1発は命中し、ウォーグ1体がその場で動かなくなるが残る2体が勢いを利用してそのまま突っ込んでくる。
前回とは違い今回は相手の動きもしっかりと見えているし不意打ちではないためしっかりと回避を行いつつ素早くこちらから追撃を食らわせるも流石に一撃では沈めきれなかった。しかしそれでもかなりのダメージを与えることが出来たようで動きは鈍くなっている。その後はもう一体の攻撃を注意しながら手負いのウォーグを片付けてから残った1体も冷静に処理する。
(スキルのステータス上昇補正のおかげか今の俺のレベルでも正面からなら何とか行けそうだな。それでも不意打ちにはしっかり注意しておかないとソロだから危ないな……)
正面からなら難なく戦闘が出来ることを再確認するもソロで潜っているため最初のように不意打ちで危険になることもある。特にこのダンジョンはところどころ雑草の背が高くなっている場所もあり、モンスターにとって身を隠す場所はたくさんある。
(まぁ極力背後に背の高い雑草が来ないような立ち回りで回ればなんとかなるか)
それでもすべての不意打ちには対応できないだろうが多少はマシになるだろう。そう考え、ウォーグ3体を回収して魔力のポーションを飲みつつ先へ進む。




