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第139話 アリシア、『龍神の館』の現状を聴く

「アリシアは、アイドルに詳しいと伺いましたわ」


「アイドル……? ま、まあ、それなりに?」


 一応、『龍神の館』でチームドラゴンっていうローラーシューズショーのアイドルチームを育てたり、『グレンダン』でレインお姉様をご当地アイドルとしてプロデュースしたりはしましたけれど……。


「この土地でも、チーの信徒を増やすための啓もう活動をするアイドルグループを立ち上げたいのですわ」


 なんですとー⁉

 ぜんぜん静かに過ごす感じと違いませんか⁉


「えっと、それは……『グレンダン』のご当地アイドルみたいな……?」


「以前マナから、『キラキラしたアイドルのショーを見た』と聞いたことがあります」


「我が言ったのは、『ローラーシューズショー』のほうじゃな。『グレンダン』のほうは打ち上げの飲み会しか参加しておらんしの」


 そっかそっか。

 忘れがちだけど、『龍神の館』の『チームドラゴン』のほうもアイドル枠だったわ。わたしが『龍神の館』を離れてから、メンバーも増えたってことだけは聞いているんだけど……。


「チーもその『ローラーシューズショー』というものを見てみたいですわ~!」


 今日出逢ってから1番目を輝かせて……すごく期待されていますね。

 でもあれはわたし1人じゃどうしようもないというか……。


「今はちょっと難しいというか……チームメンバーがいないと、『ローラーシューズショー』はお見せできないんですよ」


 わたし1人でそれなりにパフォーマンスを見せることはできるかもしれないけれど、最近何の訓練もしていないし、ぶっつけ本番はちょっと自信ないなーって。


「連れてくれば良いじゃろ」


 マーちゃんが事もなげに言い放つ。


「そんな単純な話じゃ……」


 最近みんなに会ってもいないし、わたしのことなんて忘れちゃっているかもしれないし、3人を連れてくるなら、オーナーのソフィーさんとも話をしないといけないし、急に言ったら迷惑かもしれないし、お店のほうの事情も把握できていないし……。


「問題ないのじゃ。ソフィーには、すでに我のほうから話をしておいたのじゃ。国とアーちゃんの一大事じゃから、エリオット、セイヤー、エデンの3人はもらい受ける、とな」


「もらい受ける⁉」


 1回ショーをしてもらうんじゃなくて⁉


「我はアーちゃんよりも、彼の店に詳しいからの。『ローラーシューズショー』はすでにソフィーの手を離れつつあるのじゃ。領主セドリック=ガーランドが取り仕切る一大産業になりつつあるからの」


「そんな感じなんですか……」


 この間セドリックさんに会った時には何も言っていなかったような……。


「じゃあ3人はもうあんまりパフォーマンスをしていない感じですか?」


「もちろん今も現役なのじゃ。じゃがの、3人が出演するショーは、プラチナチケットで、今は月に1回のみの公演になっておるのじゃ。あとはVIP向けかの」


「おおー、なんか偉くなったね……」


 ついこの間まで、3人で並んで柔軟体操や筋トレをしていた気がするのに。

 なんだかもう、何もかも懐かしい思い出……。


「じゃからの、3人が抜けたところで店は回るし、『ローラーシューズショー』の興行も問題ないのじゃ。なんならソフィーももうほぼ店におらんしの」


「そういう感じなんだね。お店にいないって、ソフィーさんは何をしているの? 男漁り?」


「狩りじゃよ。魔物狩り。馴染みのメンバーとずっと遠征に行っておる」


「え、急にどうしたの? お店が繁盛しすぎて、コカトリスが足りないのとか?」


 シアヌにめちゃくちゃ食べさせちゃっているけれど、もしかしてヤバかったかな……。


「そうではないのじゃ。例の新法が適用されたら、勝手に冒険もできなくなるしの。今のうちに冒険者としての終活を行うんだそうじゃ」


「そっか……」


 そういうところにまで影響が……。

 生きるために冒険をする人だけじゃないよね。生涯の生きがいとしての……。やっぱりそういう選択肢を勝手に取り上げるのは良くないと思う。


「わたし、やっぱり新政府立ち上げるよ。ソフィーさんみたいな人の余生の楽しみを奪うのは良くないと思うし」


 ソフィーさんが急にボケちゃったら嫌だもん。


「その意気じゃ。そのためには、残りカスのようなチテネティアにも仕事をさせねばならぬの」


「だから言い方が……」


 と、チテネティア様の顔色をうかがってみても、ニコニコするばかりで何も動じた様子はなし、と。


「それで『ローラーシューズショー』を見せていただけるんですの?」


「あー、それはー……」


 マーちゃん、どうなの……?

 3人は協力してくれるのかな……?


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