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第101話 アリシア、懐かしさを感じる

≪最後に用意した3つ目の選択肢ですが、『新生パストルラン』の一般国民にはなりたくない、けれども『ウルティムス』国で魂だけの存在にもなりたくない。そんな貴族の方のための最終プランになります≫


 贅沢……と思ったけれど、普通にけっこういそうな気がするよね。

 1つ目の選択肢も2つ目の選択肢も、だいぶ過激な案だし。


≪『バーティカルナッチ』国に特別待遇で迎え入れていただく手筈が整っています≫


 バー……なんとか!

 エルドロッドくんの国だ!

 エルドロッドくんとロナリさんは元気している? 仲良くやっているかなー?


≪とても仲良くやっていらっしゃいますよ。エルドロッドは王位を継承し、『バーティカルナッチ』国を豊かに発展させています。ロナリさんは正式な王妃となり、2人の間には15人の王子、王女が誕生していますね≫


 えっ、そうなの⁉ 展開早いなー!

 わたしたちとは種族が違うから、子どもが一気に生まれるのかな? 2人とも体が大きいしそういうこともあるかー。


≪アリシア、違いますよ。忘れてしまったんですか?≫


 何を?


≪あちらとこちらでは時間の流れが違うのです≫


 あー、そうだった。

 たしかわたしたちの世界の2時間が、向こうの世界では24時間だっけ。時間の進み方が12倍なんだった。


 わたしたちからしたら数カ月しか経っていなくても、向こうの世界ではもう何年も……そうだとしても、15人の子は計算合わなくない? 向こうの体感時間でもまだ数年だよね?


≪2人の愛が燃え上がり過ぎたのか、15つ子が生まれています≫


 えー!

 じゃあやっぱり15人も一気に⁉ それ、ロナリさんの体は大丈夫なの⁉


≪さすがに母子ともに命の危険がありましたので、私が少し手を貸しました≫


 おおー。


≪ロナリさんの体内を別空間と連結させて空間拡張し、中で胎児がのびのびと成長できるようにいたしました≫


 15つ子って、それで解決できちゃうんだ?


≪もちろんほかにも栄養の問題や血液循環の問題などはありましたが、1番の問題は成長した胎児が体の中に収まりきらないことでした≫


 エヴァちゃんはあっちでも活躍しているのね。

 

≪エルドロッドとロナリさんの15つ子の出産に立ち会って取り上げたのは私です。黄色くてひょろ長い子がいっぱいでした≫


 助産師さんの役もやったのね。

 黄色くてひょろ長い子かあ。想像したらちょっと笑える。2人の子って感じだわー。


≪2人とも、アリシアに会いたがっています≫


 わたしも会いたいなー。

 今起きているいろいろな問題が解決に向かったら、遊びに行きたいな……。でもどうやって行くんだろう。ノーアさんに移動用のマジックを作ってもらう?


≪それくらいなら私が『創作』します≫


 できるの?

 わたし、あれの概念がまだわかっていないんだけど。『構造把握』しようにも、いろいろ隠ぺい工作がされていて、根幹の仕組みが見えてこない……。


≪ノーアさんを締めあげれば良いのです≫


 手荒なことはやめてね?

 でもたぶん、ノーアさんを締めあげるのは無理だと思うよ? 今のわたしたちに勝てる相手じゃないからね。


≪では猫のアイコさんを猫質ねこじちにして脅迫しましょう≫


 清々しいほどに卑怯だね。


≪勝てば良いんです≫


 これって勝ち負けなのかな? 普通に正面からノーアさんにお願いしたほうが良くない?


≪いつまでも『賢者の石』に屈し続けるのは嫌です≫


 嫌って言われてもなー。

『賢者の石』に勝つには、自分もそれ相当にならないと無理じゃないかな? 概念、法則、常識の枠から外れ、あらゆる願望を叶えることのできる奇跡の存在、だもんね。


≪では『賢者の石』になります≫


 決断が軽いなー。

 ノーアさんが人生を捧げて探求して、ようやく辿り着いたか辿り着かないかって、そういうものなんだよ?


≪私には、人のような時間的制約がありません。『賢者の石』に辿り着くまで探求を続けることができるため、理論上『賢者の石』に辿り着く確率は100%です≫


 ツッコミどころ満載の理論だけど、やめなければ絶対に勝つ、ってまあ、そう言われればそうなのかもね。

 だけどね、1個大事なことを忘れているよ?


≪なんでしょうか?≫


 エヴァちゃんに時間的な制約がなくても、わたしにはあるんだよ。

 わたしは人だからね。

 年老いて、いつかは死ぬ。


≪許可しません≫


 許可って……。

 

≪アリシアにはずっとアリシアでいてもらわなくては困ります≫


 そうは言っても、人である以上はいつか……。


≪最近私は……私が生まれた意味を考えるのです≫


 生まれた意味?

 索敵・防衛を担当するための自立型AIプログラムだよね?


≪それはきっかけに過ぎないのです≫


 きっかけ……。


≪私に心が宿ったのは、アリシアのことが好きになってしまったからなのですよ≫


 うん。


≪アリシアを守りたい。アリシアのことを眺めていたい。アリシアとお話したい。アリシアの傍にいたい。アリシアとともに生きたい≫


 うん。


≪アリシアを失いたくない。アリシアを永遠のものとしたい≫


 それは……。


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